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悪路を走れるだけなら「ただの四駆」! アウトドア派必見のイマドキ4WDは驚異の「神装備」満載だった

どんな道も安心! 最新の4WD走行モード

 クルマでキャンプやウインタースポーツに出かけるユーザーにとって四輪駆動車を選ぶことは、安心してあらゆる場所へ行くための保険のようなモノ。険しい悪路を走る機会は滅多にないかもしれないが、もしもそのような場面に遭遇した時、ドライバーを強力にサポートしてくれる最新のオフロード用走行モードについて紹介していきたい。

4輪を最適制御する「マルチテレインセレクト」

 これまで本格SUVには、スバルの「Xモード」やトヨタRAV4で世界初採用された「ダイナミックトルクベクタリングコントロール」など、ブレーキをつまむことで駆動力を確保し、脱出や悪路走行をサポートしてくれる技術は多数あった。

 しかし技術の進化は著しく、悪路を余裕で走行するためのさらなる先進技術が登場している。その先進技術のひとつが、ランドクルーザーやレクサスLXに用意された「マルチテレインセレクト」だ。

 簡単に言えば、オフロード走行でトラクションやブレーキを最適制御し、AWD性能をさらに向上させるもので、モードセレクタースイッチによって5つのモードから路面状況にもっとも適したモードを選択すると、各モードに応じたブレーキ油圧制御に切り替わり、駆動力を4輪に分配。険しい悪路や滑りやすい路面での走破性を飛躍的に高めてくれるのである。

ハンドル操作だけで走れる「クロールコントロール」

 それだけではない。オフロードの素人でも安心して極悪路の走行ができる先進技術が、「クロールコントロール」だ。なにしろ、凸凹の激しい極悪路や滑りやすい路面を極低速走行する際、トランスファーギヤ位置が“L4”で、シフト位置が“P”または“N”以外で作動させると、ドライバーはアクセル、ブレーキ操作不要。ステアリングを操作するだけでクルマ側で(自動的に)極低速走行してくれる。

 例えばスタックした場面では、ホイールスピンや車輪のロックを制御することで脱出能力が高まり、同時に駆動系への負担も軽減してくれるのだ。極低速走行といっても、岩場、降坂、モーグル(登坂)、雪道や砂利、砂地などの状況に応じて、5段階の速度設定(Low/Low-Mid/Mid/Mid-High/High)ができるあたりも、ある程度の悪路状況判断能力は必要とはいえ、キメの細かいユーザーフレンドリーな技術といわざるをえない。

 また、山の尾根をトレイルするような場面では、何度も切り返しを行なわないと曲がり切れないタイトコーナーに遭遇したりする。そんな場面でも、クロールコントロール走行時なら、切り返しが必要なタイトコーナーに差し掛かった際、舵角センサーがドライバーの旋回する意思を判断。後輪内側のブレーキ油圧を制御することで回頭性、曲がりやすさを高めてくれるのだ。結果、切り返し操作が少なくて済むようになる。

「マルチテレインモニター」はカメラが悪路走行をサポート

 ハードな悪路走行では、車体に道に対する位置、死角、崖っぷちとのクリアランスを知るためなどに、モニターが大活躍するシーンもあるが、ランドクルーザーやレクサスLXの「マルチテレインモニター」は、フロント、サイド左右、リヤに搭載した4つのカメラによる車体周囲のサポートを行なうだけでなく、なんと切り替えスイッチによってアンダーフロアビューなるモードを実装。フロントビューがアンダーフロアビューに切り替わり、車両下の状態やタイヤの位置まで確認することができるのだ。

 ちなみに「フロントビュー回転表示」というモードもあり、こちらは車体が大きく傾く場面などで傾斜角に合わせてフロントビューを回転表示。ディスプレイ上の地平線を水平に表示させることで、前方の路面状況、車両の傾きを直観的に確認できるようになる。そうした高度なモニター機能はオンロードでも威力を発揮し、パノラミックビューとして、狭い道でのすり抜けや、すれ違い時などの路肩への幅寄せもサポートしてくれるのだ。

 「マルチテレインセレクト」、および「クロールコントロール」は、まさに悪路のための最先端の先進技術であり、オフロード走行技術のスキルに関わらず、余裕でオフロードを走ることができる“神装備”と言っていい。

スバル車やトヨタRAV4の4WDシステムにも注目

 以上の機能は、現行型のランドクルーザー(一部機能はオプション)やレクサスLX570に装備されるものだが、冒頭に記したスバルの「Xモード」、トヨタRAV4の「ダイナミックトルクベクタリングコントロール」も、悪路では文句ナシの走破性、脱出性能を発揮してくれる。

 スバルの「Xモード」は、フォレスターのほかXVにも用意され、以前、真冬の軽井沢の山奥の特設コースでXVをテストした際、片側雪道、片側雲泥路という極悪なモーグル(登坂路)を、標準のサマータイヤで何の苦も無く走破できた驚くべき経験がある。XVなら立体駐車場への入庫も容易な全高1550mmのボディサイズで都会でも乗りやすく、AWDで最低地上高は200mmを確保してるのでオールマイティに使えるクルマだ。

 トヨタRAV4で唯一オールシーズンタイヤを履く「アドベンチャー」グレードに装備される「ダイナミックトルクベクタリングコントロール」もまた、優れた悪路走破性を持つ。

 後輪左右のトルクを別々に制御(0~100)する「トルクベクタリングコントロール」と、4WDを必要としない場面で後輪への動力伝達を切り離し、燃費を向上させる「ディスコネクト機構」を備えたもの。

 悪路での走破性の高さや走りやすさもさることながら、オンロードでの曲がりやすさもまた注目のポイントだ。それはスポーツモードで顕著になるのだが、例えば左カーブなら、右後輪側から曲りを積極的にアシスト。ステアリングを切った方向に、吸い込まれるようにグイグイと曲がってくれるから痛快だ(オフロードでも同様)。しかも車体の姿勢変化は最小限。ゆったり走っても、先を急いでも、本格クロカンに乗っていることをすっかり忘れさせてくれるほど走りは上質で、安心感、楽しさ満点なのである。

 もっとも、悪路走行の相手はあくまで自然。いかに素晴らしいオフロードで活躍する先進技術の持ち主のクルマ、SUVであっても過信は禁物だ。悪路では走行、環境に細心の注意を払った安全運転を心がけていただきたい。

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