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トヨタのスポーツブランド「GR」「GRスポーツ」「GRMN」の3つは何が違う?

開発コンセプトが明確になっている

 トヨタのスポーツカーには「GR」というサブ・ブランド的な何かが付いていることに気付いっているだろうか。GRスープラしかり、GRヤリスしかり。GRヤリスは「GR」という二文字がつくだけで通常のヤリスに対して、まったく異なるカーボンルーフの3ドアボディを与えられている。

 こうしたクルマの開発を担っているのはトヨタの社内カンパニーである「GRカンパニー」で、トヨタのスポーツカー部門であり、モータースポーツ活動を支える組織として位置付けられている。つまり、GRスープラ、GRヤリスはGRカンパニーによって開発されたスポーツカーといえるのだ。

GRとは「GAZOO Racing」の略称

 では、「GR」とは何だろうか。トヨタ自身の言葉を借りれば『モータースポーツのDNAを継承するスポーツカーブランド』である。そして、GRというのは、これまたご存知のように、同社のモータースポーツ活動を示す「TOYOTA GAZOO Racing」に由来するアルファベットだ。

 もともとGAZOOというのは画像から生まれた造語で、当初はトヨタのディーラーで利用する中古車検索システムの名称だった。その立ち上げに関わったのが、社長になる前の豊田章男氏であり、その後GAZOOというのは自動車関連のポータルサイトやオウンドメディアとして活用されていく。

 そうした背景もあり、豊田章男氏が、モリゾウというニックネームによりお忍び的に行なうプライベーター的モータースポーツ活動をGAZOOの名前を使って展開していた。つまり、そもそもはワークスとはほど遠いところにいたのだ。   

 しかし、2009年に豊田章男氏が社長に就任する時期に合わせて「GAZOO Racing」という名称で呼ばれるようになり、トヨタのオフィシャルなモータースポーツ活動への発展していく。それでも純粋なモータースポーツのプロ組織ではなく、社員を鍛える場として活用されてきた。そうして腕を磨いてきたスタッフが中心となって2017年にGRカンパニーが生まれたというのが、大まかな流れだ。

GRスポーツがもっともライトな仕様

 GRカンパニーの生み出すモデルは、冒頭で記したようなゼロベースのスポーツカーだけではない。むしろ、同カンパニーが「スポーツコンバージョン」と呼ぶ、量産車をベースにGRの知見によるチューニングを施したコンプリートカー・ビジネスが中心となっている。

 スバルと共同開発したFRスポーツカー「86」、ファミリーカーの王道である「ノア/ヴォクシー」、さらにはダイハツの軽スポーツカー「コペン」までもGRカンパニーによるスポーツコンバージョンの対象となっている。

 そして、GRのスポーツコンバージョンには3段階のチューニングが存在している。それはライトな方からGRスポーツ、GR、GRMNという風に名付けられ、それぞれ車名の後ろに付け加えられるというのがルールだ。

 どれも共通しているのは、GRテイストで統一されたアピアランスチューンと、ドライビングにこだわった専用ステアリングホイールを与えられているということ。チューニングレベルの違いを簡単にいえば、エントリー仕様といえる「GRスポーツ」はエンジンに手を入れず、ボディ補強とサスペンションチューン、そして前述の専用アピアランスや内外装のディテールアップによってGRの走りを表現する仕様だ。現在、GRカンパニーの手掛けるスポーツコンバージョンのほとんどが、この「GRスポーツ」となっている。

GR仕様はサーキットまで視野にいれたメニュー

「GR」という仕様は、スポーツという言葉が抜けているだけに、さらにライトな仕様と勘違いしやすいが、じつはGRスポーツのグレードアップ版。こちらも基本的にエンジンには手を入れていないが、GRスポーツがストリートメインのチューニングなのに対して、サーキットまで視野にいれたメニューとなっているのが違いだ。

 なお「GR」仕様についていえば、2020年6月時点では「86 GR」くらいしかラインナップされていないが、「86 GRスポーツ」との違いを挙げれば、ステアリングラックの補強、車高が10mm下がるサスペンション、フロント6ポット・リア4ポットのブレーキシステム、そしてGRMNから継承したレカロシートといった内容になっている。

 GRカンパニーのスポーツコンバージョンにおける最高峰といえるのがGRMNだ。現在はラインナップされていないが、GRMNについては過給機を追加したり、そもそもの排気量を上げたりするなどエンジンまで手を入れた仕様であることが多かった。

 もちろん、シャシーがパワーに見合った内容にグレードアップされているのは言うまでもない。とはいえ、パワーアップの手法は時代に合わせて変化していくものであるし、電動化が進んでいる時代に必ずしもエンジンに手を入れた仕様のみGRMNと呼ぶという条件がついているわけではない。

 しかしながら、スタンダードモデルよりパワートレインにおいてパフォーマンスを上げていることを、ユーザーはGRMNに求めることは間違いないだろう。

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