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「ベンベ」「アーマーゲー」って若者には意味不明! 呼び方ひとつでオヤジ度がわかる「クルマ死語」5選

現地の発音や漫画の影響で変わったものも

 BMWを「ベンベ」と読んでいたことは30代以下の若者の皆さんには初耳かもしれないが、メルセデスのチューニング・ブランドのAMGを「アーマーゲー」と読む人が今なおいることはご存じかもしれない。ドイツ語と英語という言語の違いなのか? それともいわゆる“和製英語”による間違った呼び方が修正されたのか?

BMW=ベンベ

 BMWが「ビーエムダブリュー」という英語読みに統一されたのは、どうやら1981年のことだと思われる。それまでの日本への輸入代理店だったバルコムを吸収して、BMWジャパンが設立されたタイミングからのようだ。もちろん、日本法人の正式な会社名も「ビー・エム・ダブリュー株式会社」だ。

 それまではドイツ語の発音に近い「ベンベ」あるいは「ベーンヴェー」というような表記も珍しくなかったし、しばらくはあえてドイツ語読みしていたファンも少なくなかったと記憶している。それでも20世紀のうちに「ビーエムダブリュー」はすっかり定着し、逆に「ビーエム」という略称でも通じるようになってきた。

AMG=アーマーゲー

 同じくドイツ語での読み方が先に定着していたのに、メルセデス・ベンツのチューニング・ブランドとして有名なAMGがある。現在のAMGはダイムラーの傘下に入っており、読み方は英語で「エーエムジー(厳密にはエイエムジーのほうが発音的には正解かもだが)」に統一されているが、じつはドイツ語っぽい「アーマーゲー」だと信じている人が未だ少なくないようだ。AMGそのものについては、5月11日に本サイトで妻谷裕二氏がリポートしているので、ぜひご覧いただきたい。

 さて、先ほど“ぽい”と書いたのには理由があって、じつは「アーエムゲー」というのが正しいドイツ語読み。これは楠みちはる氏が1986年から連載を開始した人気漫画『シャコタン☆ブギ』の中で、登場人物が
AMG560SEC6.0-4Vのことを呼ぶときに「アーマーゲー」と言っていたことが、そのまま広まったという説が有力。

 さらに当時、AMGチューンのクルマが並行輸入業者の間で「アーマーゲー」と呼ばれて、広告にもその名で登場させていたことも伏線としてあるらしい。人気漫画の影響力、まさに恐るべしだ。

ティレル=タイレル

 さて次は、1970年から1998年まで活動を続けたF1の名門チーム、TYRRELLをどう読むかという問題。1971年と1973年にジャッキー・スチュアートがチャンピオンを獲得し、1976年には前輪がダブルの6輪車「P34」を登場させた頃は「タイレル」と呼ばれていた。これについては、F1解説者の小倉茂徳氏が「当時はアメリカ英語的な読み方の影響力が強かったせいでしょう。イギリスのチームなので、やはり“ティレル
”が正しいということで修正されたのだと思います」と分析している。

 その後、1980年代半ばには「ティレル」という読み方がすっかり定着。1990年には中島悟がジャン・アレジとともに参戦し、その後も片山右京や高木虎之介も在籍。日本人ドライバーとも縁が深いチームとなったが、1998年を最後に撤退を余儀なくされた。ちなみに後を継いだチームの「BAR」でも、のちに佐藤琢磨が大活躍している。

ドゥカティ=ドカティ

 次はイタリアの老舗オートバイメーカーのDUCATIを、なんと読むかという問題だ。ファンからは略称の「ドカ」または「ドゥカ」と呼ばれることも多いが、日本の車検証(バイクにもいわゆる400ccクラス以上には車検がある)にも「ドカテイ」と「ドゥカティ」という2種類の車名コードが存在したが、2013年以降は「ドゥカティ」に統一された。また創業家については「ドゥカーティ」という音引きを加えた名前で呼
ばれることも多く、20世紀の前半までは大手の電気メーカーとして繁栄。

 1952年まで生産していたカメラのメーカーとしては「デュカティ」と記載されることも多いので、まことに悩ましい。つまりオートバイメーカーとしてのキャリアは、第2次世界大戦後の1946年からという比較的新しいメーカーなのだ。なお2012年からはアウディの傘下となり、親会社は同じ系列のランボルギーニとなっている。

ツートーン=ツートン

 最後に紹介するのは、ボディカラーで頻繁に使う用語の「ツートン」と「ツートーン」。英語としては「バイトーン(BYE TONE)」という表現もあるはずだが、多くの日本人が2色づかいのことを「ツートン」または「ツートーン」と言っていることは間違いない。そして20世紀あたりまでは「ツートン」が圧倒的に主力で使われていたのが、いつのまにか「ツートーン」または「2トーン」が多数派になっている印象だ。

 カーデザイン評論の第一人者、千葉匠さんに訊ねたら「私も若い頃は何も考えずに“ツートン”と書いていたと思います。でも一つの原稿に“モノトーン”と“ツートン”が出てくると上手くないので、いつの頃からか“ツートーン”と書くようになりました。ひょっとすると“ツートンカラー”という単語から始まったのが原因かもしれないですね。“ツートーンカラー”ではちょっと間延びしますから。あくまで想像ですけど」とのこと。

 千葉さん、さすがです。ひょっとしないでも、これが正解じゃないでしょうか!

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