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ガソリン車よりも渡河性能は上! 落雷も問題ない「電気自動車」の「間違えだらけの」イメージとは

キャンプで雷に遭遇した場合

 ゲリラ豪雨などと言われる突然の雨が襲ってくることがある。一転にわかに掻き曇る雷雲が出来上がってゆき雷が落ちてくる。アウトドア、キャンプなどで開けたところにいる場合変わってきた上空の様子がわかり始めるので、できるだけ早く安全な場所に移り避難したいものだ。

クルマは雷のシェルターにもなる

 雷が鳴ったら、クルマに逃げろとよくいわれる。その通り正解で、乗っているクルマに雷が落ちても、車体を通じて電気は地面へ流れるので、乗っている人が感電することはない。

 電気は水の流れと一緒で、流れやすい方へ流れていく。人間の体と、車体の鋼板とでは、鋼板のほうが電気は流れやすいので、そちらへ雷の電気も流れていくのだ。

 しかし、そこで一つ疑問がある。最終的に地面と接しているタイヤは、ゴムでできている。ゴムは絶縁体なので、電気を流さないはずだ。だから、電気工事をする人は、ゴム手袋とゴム長靴を履いている。

 もう一つ絶縁体なのが、実は空気だ。それであるのに、雷は大気を通して地面へ落ちていく。つまり、雷ほどの大電流・高電圧の電気の流れは、少々の絶縁体などまったく問題とせず流れていくのである。

 ちなみに雷の電力は、数万~数十万アンペア(A)の電流で、電圧は数億から数十億ボルト(V)に達し、電力に換算すると900ギガワット(9億キロワット)にもなるといわれる。発電所1基の発電量は50万~100万キロワットなので、その1800倍~1900倍という猛烈な大きさだ。

 したがって直撃は避けられても、近くに落ちて感電したら大火傷をして死亡に至る可能性があるのはいうまでもない。命を守るためにも、落雷しそうな樹木など自分の背より高い柱のそばはまず離れ、頑丈な建物などへ避難するのが無難であり、そうした建物がない場合はクルマに逃げ込むのがいい。

 その際、たとえば電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)でも、電気の影響は及ばないのだろうか。素人にはちょっとした疑問もあるだろう。だが心配無用。

 初代日産リーフが発売されるに際し、日産は落雷の試験を疑似的に行っている。リーフの車体に雷に相当する高電流を流し、感電しないかを確認しているのだ。

 落雷とは話が変わるが、EVは搭載するバッテリーから高電圧(300ボルト以上)の電気を得てモーターを駆動し、走行させている。その電気が万一漏電したらどうなるのか。乗車した人が感電しないか、気になるところだ。

 通常であれば、漏電の心配はないが、万一衝突事故にあい、衝撃によって配線が損傷を受け、高電流が車体を流れるということはゼロとはいえない。その車体に、人の手や体が触れてしまったらどうなるのか。

電気自動車はバッテリー電気遮断システムも備える

 それに対してもしっかりした対策はなされている。「ボンディングハーネスと」いう考えから、家庭電化製品のアースのように、車体と地面との電圧差をなくす措置が施されているのだ。そのうえで衝撃を検知すると、リチウムイオンバッテリーから流れる電気が遮断される仕組みにもなっている。

 もちろん、安易に高電圧の電気系統を素手でいじるべきではない。だが、これまでのエンジン車と同じようなクルマとの接し方で、感電などしないように設計された機構となっているわけだ。

 逆に、エンジン車のような吸排気管がないことから、水深のある水溜まりでも走行を続けられ、停止してしまわないのがEVでもある。初代リーフでは、水深70cmでも走行可能であることを日産は実験で確認している。それでも、無暗に水溜まりへ入り込まないようにすべきなのはいうまでもない。エンジン車は、吸排気管から入ってきた水で塞がれ、排気できなくなってエンジンが止まってしまうのである。そこで悪路走破をする4輪駆動車などの吸気管は、通常とは異なり、エンジンルーム脇などから高く掲げるように改造されていたりもする。

 いずれにしても、EVやHVを含め、雷が鳴ったらクルマに避難することは間違いではないのだ。

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