サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

「コーティング」に「ラッピング」! 新車時のボディを保つ施工の「持続年数」や「金額」などをズバリ聞いた

ボディ色の寿命を延ばすにはどうすればいい

 せっかく購入した大事な愛車。すぐにアフターパーツを買ってスタイルアップしたい気持ちもわかるけれど、それと同じくらい、いやそれ以上に純正ボディ色が艶の保った状態をキープするかは大事かもしれない。多くの車ユーザーが屋外駐車をしている現状、寒暖差も激しく、夏の日差しも厳しい日本の過酷な環境下では、思いのほか塗装が傷みやすい。

 猛暑・酷暑・残暑と、今年は長梅雨から一変してクルマのボディにとっても酷な紫外線を浴び続ける日々が続いたなか、市販のワックスやコーティングを1~2週間毎にかけている、マメな方はスゴいと思うが、月1~2回程度洗車機に突っ込んで終わり!  気が向いたら洗う、という人がほとんどなのかもしれない。

 しかし、純正のボディ色をキープするのに有効な技術もある。『コーティング』『ラッピング/プロテクションフィルム』『ラバーディップ(剥がせる塗装)』といった、いま注目されているボディ保護の方法を、いくつかの業界のプロに聞いてみた。純正塗装を楽しむか、下地に純正色を残して当分の間は違った色を楽しむか。いろんな視点からカーライフを楽しんでみてほしいものだ。

コーティングもガラス質皮膜の時代

 純正ボディ色、または施したオールペインティングの状態をキープしたい人はコーティングをするのが常道。その中でも現在の主流となっているのはガラスコーティングだ。これはガラス質の被膜で覆い、ボディを艶やかな状態に保ってくれる施工で、施工後の洗車は水またはシャンプー洗車でOKと飛躍的にラクになる。

 じっさい、派手なボディペイントを施したSHOWカーやユーザーカーの多くが、ガラスコーティングを選択している。カーコーティングのプロ「トリル」の佐藤代表によれば「艶やかな状態が保たれるのは保管状況や施工方法にもにもよるが、寿命はおよそ3年ほど」だという。

 それでも環境下によっては強固な水垢、ウォータースポットができないとも言えないので、1年毎に施工ショップに足を運びメンテナンスすることは必要だ。コーティングは同じボディに何度もできるため、プロに依頼することで新車から10年10万キロ程度であれば(その間、計算上では約3~4回の施工+メンテナンス)、艶やかな状態をキープできるという。

 ちなみにこのコーティング施工、トリルではミニバン系で料金がおよそ9〜10万円、期間中の代車ありとのことだ。

ボディ全体ラッピングでベース色を保持 

 バスやバンなどの車両に貼る宣伝目的の“大きなカッティングシート”は、以前から存在している。ここから派生した、いわゆる『バイナル(Vinyl=ビニールからバイナルと変化した呼称)グラフィック』が、愛車のカラーリングとして一気に流行したのは、2001年公開の映画『ワイルドスピード』の影響が大きい。クールなグラフィックをラッピングフィルム(=カッティングシートと同意)にプリントして、それを愛車に貼ってアピールする効能を、一気に世に知らしめたのだ。

 スープラやエクリプス、ゴルフといったスポーツコンパクトカー(通称スポコン)に貼ったバイナルグラフィックは、当時のオーナーたちの心をグッと掴み、劇中車両そのままを表現しようとオリジナルにこだわり専門ショップに依頼して製作された車両も数多く存在した。

 そこから年が経つにつれてグラフィックで個性を追求する時代から、オールペイントのようにフルラッピングを施して下地を残しながら、その上に一時的に違ったボディカラーを展開させ楽しむ方向へとチェンジしていった。

 ボディに施工するフィルムは現在、純正ボディ色を守るプロテクションフィルムと、インクジェットプリントした柄を守るために、上に貼るラミネートフィルムの2つの保護フィルムが存在する。耐久性としては、使用するフィルムメーカーや保管状況(屋内/屋外、屋外でも終日日差しを受ける環境など)によって変わるが、メジャーブランドのフィルムであればともに3~5年ほどの耐久性を有しているという。

「貼った後の保管状況が大事で、(ラッピングフィルムは)熱を吸収しやすい色を含めて使用する色によって変わります。メーカーが推奨している耐用年数は、車両の側面に貼った場合を指すケースが多く、ボンネットやルーフなどはエンジンの熱や日差しを受ける箇所なので、他の部位と比べても早まる恐れがあります。とくに日本の環境は過酷で、寒暖差や高温多湿なども影響します。ちなみに5年というのはガレージに保管した場合を指しています」とはP.G.Dの大塚代表。1〜2週間ほどの施工となるので代車対応となり、ミニバンクラスは大まか65~70万円とのこと。

 そうはいってもラッピングフィルムであれば魅力はやはりイメチェン。マット系からメタリック、アニマル柄を入れてみたりもできるので、純正色に飽きた人は“他の人はやらない”突飛なカラーも試してみたいところ。剥がせば元の下地のボディ色に戻せるので、施工自体は何度でも可能だ。

“塗って・守って・剥がせる”塗装のラバーディップ

 3年ほど前にカスタムショップのジェットストローク(千葉県)がアメリカ合衆国より取り寄せたスタイルのラバーディップ。日本の高温多湿の気候に合わせてイチから開発をし直した日本仕様の塗料は、当初のUSバージョンに比べ格段に耐久性が高まって劣化も遅い、と石井店長。

 柔軟性があり飛んできた小石などからボディを守ることも利点で、もちろんはがして元のボディカラーに戻せる本来のテーマだけはしっかりとキープされている。現在では82色+オリジナル調色により、自由自在なカラーリングを楽しむことができる。

 耐久性は通常の施工+プレミアムトップコート仕様であれば3~5年ほどだという。また1液のマットカラーとリキッドディフェンド(水性)では1~2年程度だとも。

 施工時間はパーツを外さず、付けたままのオールペイントであれば1週間程度、パーツを外しての全塗装では1~3週間程度を必要としている。

 また、先述の推奨期間を過ぎたり、悪条件の下で長い期間放置してしまうと紫外線によって硬化してしまい、強引に剥がそうとすると下地が傷つく恐れもある。その際は施工店に相談して剥がす時期を見極めることが得策だ。ちなみにラバーディップも施工は何度でも可能だ。工賃はセダン系で35万円ほど。

 紹介したように、これらボディ保護の施工はプロに頼めばそれなりの費用がかかる。ただそれなりに耐久性を求めるならそれなりの対価が必要になる、ということ。自分のスタイルやボディの状態にあった施工を選び、愛車のボディをいつまでも艶のある状態にしておきたいものだ。

モバイルバージョンを終了