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思わず道を譲ってしまう「オラ系」ベンツの正体! 「ロリンザー」「ブラバス」「カールソン」の御三家チューナーとは

メルセデス・ベンツ専門チューナー御三家

 マイカーを選ぶときの選択肢として、国産車だけでなく輸入車が候補に挙がることも一般的となった現代。世界各国のクルマを日本国内で購入することができるが、なかでももっともメジャーな海外の自動車メーカーはドイツのメルセデス・ベンツだろう。

 輸入車の代名詞的存在と言えるほど日本に浸透しているメーカーであり、その車両をベースにエアロやホイール、さらにはエンジンチューニングまで手がけるドイツ本国のチューナーも、1990年代から2000年代にかけて日本のコアなユーザーから人気を集めた。

 今回はその当時のチューナー御三家である「ロリンザー」「ブラバス」「カールソン」にスポットを当て、各社の歴史や特徴などを紹介したい。

【ロリンザー】

 3社のなかでもっとも古い歴史を持つチューナーがロリンザーだ。創業は1930年、ドイツのヴァイブリンゲンに設立した自動車修理工場が始まりである。その後メルセデスの乗用車・商用車のディーラーとなり、整備などを請け負っていた。

 チューナーとしての活動を始めたのは1976年。新たに開設したヴィネンデン支社ではクルマの販売だけでなく、「スポーツサービス・ロリンザー」を立ち上げてメルセデスのチューニングを始めた。エンジンだけでなくエアロパーツの開発も進め、1981年に独立。その後はメルセデスのさまざまなモデルを手がけ、ついにはメルセデス公認のアフターパーツメーカーに指定される。メーカーも認めるチューナーとしてその名を轟かした。

 ロリンザーの強みと言えば、ベース車のイメージをガラッと変えるド派手なエアロパーツ。2000年代に入ってからはより過激化が進み、ダイナミックな造形のバンパーエアロや奥深く刻まれたフェンダーダクトなど、エクステリアで強烈なインパクトをアピールする。

 特にW220(Sクラス)やW211(Eクラス)などで人気を博した「F01」のキットは、日本でロリンザーの知名度を大いに高めた意欲作である。

 またホイールも、名作を数多く市場に送り出した。重厚なディッシュデザインのRSK2やD93、スポークにひねりを効かせて躍動感を演出したRS8など、どのモデルもコピー品が出回るほど人気を博した。日本では正規輸入元のロリンザージャパンがパーツを販売している。

 面白いところではメルセデス以外に、レクサス(セルシオ)のエアロパーツも開発。セルシオはレクサス・LSの名でヨーロッパでも販売されていることもその由縁だが、大手チューナーが日本の高級セダンに着目したのは嬉しい。現在も40系・LS460のエアロパーツを販売している。

【ブラバス】

 パーツの販売も行なっているが、1台をトータルで手を加えるコンプリートカーの製作でも知られるブラバスは、1977年に設立。創業者の「ボード・ブッシュマン」が愛車のカスタマイズを検討するものの、彼を虜にさせるパーツがなかったことから、自らブラバスというチューニングブランドを立ち上げてしまったという経緯を持つ。

 W126から始まり、メルセデス・ベンツのさまざまなモデルを独自の技術でチューニング。現在ではエンジンをコントロールするサブコンピュータの追加で走りに一層磨きをかける、「パフォーマンスキット」が高い評価を得ている。エクステリアもパワフルな走りに見合った、スポーティなエアロパーツやホイールを手がけている。

 近年はキャンピングカーにも力を入れ、Vクラスをキャンピング仕様にカスタマイズした「マルコポーロ」に、エアロパーツの装着やECUチューンを施したモデルを販売する。日本での展開はブラバスジャパンが唯一コンプリートカーの輸入・販売を行なっており、パーツ単品は日本総輸入元のエクゼが販売している。

 日本で知られているのは映画「ミナミの帝王」で主役の萬田銀次郎(竹内力)が乗る、ブラバスチューンのメルセデス・ベンツSL。ホイールまで同色で揃えた黒塗りのボディが、イカツい「萬田はん」にマッチしていた。

 変わり種としては、コンパクトモデルを得意とする自動車メーカーのスマートをベースに、ブラバスがチューニングを施したモデルの販売だ。2002年にブラバスの創業者であるボード・ブッシュマンが、スマートブラバス社を設立。

 スマートのラインアップであるフォーツーやフォーフォーに、オリジナルのエアロパーツやスポーツサスペンションなどの専用部品を装着してトータルカスタマイズ。日本のメルセデスディーラーでも販売していることから知名度は高い。

【カールソン】

 最後は「ロルフ・ハルトゲ」と「アンドレアス・ハルトゲ」の兄弟が、1989年に設立したカールソン。ブランド名は2人がリスペクトしていたラリードライバー、「イングバル・カールソン」の名を用いたもの。

 同社はメルセデスをベースにエアロパーツやホイール、足まわりなどの専用パーツを開発し、特にエクステリアのパーツはベース車の印象を損ねることなく上品なムードを醸し出しており、ラグジュアリー志向のオーナーにも好まれた。同社は2015年に倒産したが、その後は韓国のサンボモータースが事業を継承し、現在も商品開発を続けている。

 カールソンはコンプリートカーの製作も得意としており、有名なところで言えば「SL65AMG」のボディを軽量なカーボンファイバーで作り替え、V12エンジンを753馬力までパワーアップさせた「カールソン・C25」。価格は何と6300万円という超プレミアムモデルだった。

 モータースポーツ活動にも積極的で、ドイツのニュルブルクリンクで行なわれる耐久レースにも参戦。そこで培ったノウハウを製品開発にフィードバックしている。2013年のジュネーブモーターショーでは、レーシングモデルの「カールソン・SLK340」を出展。わずか780㎏とといいうう超軽量ボディに、、レース用に専用開発した610馬力の3.4リッターV8エンジンを搭載。強烈なダウンフォースを発生させるダイナミックなスタイリングも注目を集めた。

 日本では2000年に設立したカールソンジャパンが、パーツの販売を行なう。日本市場をターゲットとしたパーツの開発も積極的で、特に知られているのがホイールだ。当初はメルセデス向けのサイズラインアップのみだったが、その後は国産車向けサのモデルもリリース。大型セダンからコンパクトまで、幅広い車種に選ばれている。そのため、「カールソン=ホイール」というイメージを持っている人も多い。

 特に有名なモデルは、細身の16本スポークをフィン上に配置した「1/16」。上品さを全面に押し出したデザインやカラーリングが人気を博し、シンプル志向のVIPセダンなどに装着されている。派生モデルとして、2ピース構造の「2/16」も登場した。他には11本スポークの「1/11」、ラフメッシュの「1/10X」など様々なデザインのホイールを手がけている。

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