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「公道使用」OKだけど実際に使うのはヤメるべき! 一応「溝」のあるサーキット用タイヤの中身とは

モータースポーツ用タイヤは一般道でも最強?

 サーキットで使っている人を見かける、溝が少なく、いかにもグリップが良さそうなモータースポーツ用のタイヤ。性能が優れているのはわかるけど、一般公道で使用するのはアリなのだろうか? グリップ力や耐摩耗性に加え、車検のときの扱いなどについて確認しておこう。

舗装路で強力にグリップする「セミスリック」

 モータースポーツ用のタイヤといってもカテゴリーはいろいろある。溝がまったくないサーキット専用の「スリック」に舗装路用の「セミスリック」、ウェット用の「レイン」や「ラリー用」など。ここではもっとも使っている人が多いであろう、セミスリックタイヤ(Sタイヤとも呼ばれる)を前提に解説したい。

 最大の特長は説明するまでもなく、通常のラジアルタイヤを大きく凌駕するグリップ力だ。どの製品も溝面積が極端に少ないうえ、柔らかめのコンパウンドが使った製品が大半で、旋回・加速・減速のいずれに対しても有効。使ったことがある人はわかるはずだが、まるでクルマが変わったかのようにさえ感じてしまう。

 とはいえ“誰が使っても速くなる万能かつ魔法のタイヤ”というワケじゃない。モータースポーツという狭いカテゴリーに性能を全振りしたがゆえの、デメリットや“使用上の注意”も決して少なくないのだ。

一般ドライバーにはメリットなし?

 その筆頭といえるのは耐摩耗性だろう。セミスリックタイヤには複数のコンパウンドがあるが、その多くは減りがハイグリップのラジアルタイヤより激しいと考えて良い。特に路面温度が低い時期やレースの予選で使う「ソフト」はまるで消しゴムを削るかのように減ってしまう。 逆に真夏や耐久レース用の「ハード」コンパウンドを冬に使えば、いつまでもタイヤに熱が入らずグリップ力は低いまま。そのため季節やカテゴリーに合わせたコンパウンドを用意しなければならず、使いこなすには相応のノウハウと資金力が必要となる。

一般公道も走行できるが…

 続いて一般公道での使用だが、結論としてはオススメできない。摩耗の早さと適切なコンパウンドを選ぶ必要性に加えて、ロードノイズや乗り心地といった快適性は考慮していないにも等しい。さらに「レインタイヤ」と呼ばれる特殊な製品を除いては、ウエット路面とドライ路面での性能差が大きいので、サーキット用と割り切ったほうが安全だ。

 ちなみに車検は「競技専用」と謳うまったく溝のないスリックタイヤなどを除き、規定の残量があれば一般的なラジアルタイヤと扱いは変わらない。

 以上のようにグリップを極限まで追求したがゆえの注意点はあるが、正しく使えばサーキット走行において強い味方になること間違いナシ!

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