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ハードルの高さは「ゴルフ」を始めるのと同等! 意外なほど共通点だらけの「サーキット走行」と「ゴルフ」

サーキットを走る費用っていくら? ゴルフと比較して解説

 最近になってよく「多様化」という言葉を聞く。さまざまな分野で聞かれるキーワードなのだが、そのひとつがレジャーや趣味における多様化。少し前に比べて、週末の過ごし方もだいぶ様変わりしてきた。

 レジャーの種類を挙げるとキリはないが、すぐに思い浮かぶのが、ドライブや旅行、キャンプなどのアウトドア系、野球やサッカーなどのプロスポーツ観戦、最近ではフィットネス通いやD.I.Y(日曜大工)、ネットゲームも人気だ。そして、ジョギング、テニス、ゴルフは自分のカラダを動かして汗を流すという意味では、昔から押しも押されもせぬ、定番スポーツになっている。

 そのスポーツレジャーも多様化するなかで、昨今のスポーツカーブームに後押しされ、週末になれば愛車をサーキットに持ち込み、スポーツドライビングを楽しむ人が徐々に増えてきているのをご存知だろうか? とはいえ、日本国内ではようやくメジャー化してきた兆しはあるが、ヨーロッパやアメリカのモータースポーツカルチャーと比べれば、まだまだそれには及ばないのが現状だろう。

 サーキットを走ってみたいけれど……、「いったい、どうすればサーキットを走ることができるの?」「サーキットを走るにはどれぐらいの費用がかかるの?」など、入り口で行き詰まっている人も多そうだ。

 そこで今回は、趣味やレジャーという括りで、サーキット(モータースポーツ)をもっと身近に感じてもらうために、大人のスポーツとして例えるならこれ以上ない“ゴルフ”と比較して解説してみることにした。モータースポーツもゴルフも、元来は『紳士のスポーツ』と呼ばれているところも、両者を引き合わせるのにちょうどイイかもしれない。

道具をそろえ、練習を重ねてコースに出る

 サーキットでのスポーツドライビングやモータースポーツというと、すごく特別なことと思われがちだが、見出しにある通り、サーキットもゴルフも「道具をそろえ、腕を磨いて、コースに出る」という過程においてはどちらもまったく同じと考えていいだろう。決して難しくなく、意外にもカンタンなのだ。

 以下に比較ポイントを箇条書きにしてみた。

【道具をそろえる】
◆ゴルフ:ゴルフクラブ、ボール、グローブ、シューズ、ウェア
◆サーキット:車両を整備(メンテ)する、ヘルメット、レーシンググローブ

【腕を磨く】
◆ゴルフ:ショートコース、打ちっ放し、レッスン
◆サーキット:ショート(ミニ)サーキット、シミュレーター、ドライビングレッスン

【コースに出る】
◆ゴルフ:ゴルフ会員権(メンバーになる)、ラウンドデビュー
◆サーキット:ライセンスを取得、サーキット(レース)デビュー

 サーキットもゴルフもすべてが同じように例えられるわけではないが、ここにざっと挙げただけでも、互いに似たような説明がつけられることがお分かりいただけるたはず。モータースポーツを一般的な“ゴルフ”に例えてみたら、「あぁ~そうだったのか!」的な発見がきっとあるだろう。

『道具』の比較では、まったくゼロからゴルフを始める場合には、最低限ゴルフクラブとゴルフボールを準備しなくてはどうにもならない。同じように、サーキットではドライバーの安全を守るために、ヘルメット、レーシンググローブを着用しなくてはならないというルールがある。そして、サーキットを走るにはもちろん、クルマ(愛車)がいるのだが、サーキット用にチューンナップする必要はナシ。意外かもしれないが、ちゃんと整備されていれば、フルノーマル車両であっても走行OKというサーキットがほどんど。

 むしろ、いまどきのスポーツカーは純正のままでも高性能に仕上げられているので、新車から何もイジっていなくても十分にサーキットでのスポーツドライビングを楽しむことができる。そういう意味では、適正なエンジンオイル交換、タイヤのコンディションチェック、ブレーキパッドの残量チェックなどがきちんとおこなわれていれば、それ以上にお金をかける必要もないということ。

 ちなみにドライバーの装備面では、先述したヘルメットとレーシンググローブ以外では、長袖&長ズボン、スニーカーを着用しなければならないが、これはタダ同然と言えるだろう。公式戦ではレーシングスーツなどを着用する義務はあるが、ひとまず、ここはスルーで問題ない。ウェアに言及すると、ゴルフのほうが紳士度が高めなので、着るものにもお金はかかる。

 次に『腕を磨く』の比較。ゴルフの練習といえば、とにかく打ちっ放しのイメージが強い。さらにはゴルフスクールも各地にたくさんあるし、上手な先輩プレーヤーに教えてもらったり、ショートコースで経験を積むことも重要だ。これをサーキットに置き換えるとどうなるか? 大きな駐車場を利用した「広場練習会」や「ドライビングレッスン」も毎週末のようにどこかで開催されているし、ゴルフのショートコースと同じような位置づけで、「ミニサーキット」も全国各地に存在する。それからゴルフでは以前からレッスンに使われてきたバーチャル方式だが、レーシングシミュレーターでトレーニングする方法もとっても有効である。

 最後の比較は『コースに出る』というメインのイベント。ゴルフなら打ちっ放しやショートコースで力をつけ、本コースにていよいよラウンドデビューとなる。18ホールをまわってほかのプレーヤーとスコアを競うとなると、練習とはまた違った「緊張感」や「ゲーム」という楽しさを味わえるというもの。

 そのゴルフコースが会員制なら、ゴルフ場を利用するために会費を支払って会員になるのと同じく、鈴鹿サーキットや富士スピードウェイなど大きな国際サーキットの場合は、サーキットを走るためのサーキットライセンスなどを取得しなければならない。ちなみに、サーキットを走るだけなら、サーキットライセンスがあればオッケーだが、JAFの公式競技(レース)に出場する場合は、JAFが発給するドライバーズライセンスも必要になってくるので覚えておくといいだろう。

 これにてサーキットデビューの準備は完了。練習の成果を存分に活かして、日本一、いや、世界一のレーシングドライバーを目指す道も開かれたことになる。ゴルフならプロテストに合格し、世界ランキングに名前を連ねるようなゴルファーを目指すのと同じだ。

サーキットとゴルフ、費用面での比較

 サーキットデビューするには最低限何が必要で、さらにはコースデビューまでの一連の流れを、ゴルフの例え話を交えて解説してきた。ゴルフを始めるのにもクラブやボールが必要なら、サーキットデビューするにもヘルメットやレーシンググローブが必要といった具合だ。

 そして気になるのが、やはりコスト面。ヘルメットやレーシンググローブをそろえ、ドライビングレッスンで腕を磨き、ライセンスを取得しコースを走るにはいったいいくらかかるのだろうか? ここでもサーキットとゴルフを比較して見ていこう。

《道具をそろえる》
【ゴルフの場合】
・ゴルフクラブセット 2万5000円前後~ 
・ゴルフボール 1000円前後~
・グローブ 1000円前後~ 
・シューズ 8000円前後~
・ウェア 上&下1万円前後~

【サーキットの場合】
・愛車 普段乗りなら0円
・走行会用ヘルメット 2万円前後~
・走行会用レーシンググローブ 8000円前後~
・長袖長ズボン 0円
・スニーカー 0円

《腕を磨く》
【ゴルフの場合】
・ショートコース 平日3000円前後~
・打ちっ放し 2000円前後~
・個人レッスン 1時間1万円前後~

【サーキットの場合】
・ショート(ミニ)サーキット 1時間4000円前後~
・シミュレーター 1時間5000円前後~
・ドライビングレッスン 1日イベント2万円前後~

《コースに出る》
【ゴルフの場合】
・ゴルフ会員権 30万円前後~ ※会員制の場合
・プレー料金 8000円前後~

【サーキットの場合】
・鈴鹿/ライセンス取得 3万6300円~
・鈴鹿/サーキット走行料金 30分6600円~※上記はすべて編集部調べ

 価格はあくまでも目安で、初心者がこれからコース(サーキット)デビューを目論むというレベルを想定してみた。ネットオークションやフリマをうまく利用して、中古品のグッズを手に入れ安く済ませる方法もあるだろう。逆に、有名ブランド品や高性能なモノになれば、当然、上には上がある。そして、サーキットとゴルフを比較して分かったことだが、イニシャルコストに対する開きはあまり見られなかった点が興味深い。

週末のレジャーとしてサーキットはとてもオススメ!!

 サーキットに愛車を持ち込み、スポーツドライビングを楽しむにはたくさんのお金がかかるというイメージがあるかもしれないが、そんな人には「ゴルフを始めるのとあまり大差はないよ!!」と、ぜひ教えてあげてほしい。

 サーキットで何を楽しむかは、人それぞれで構わないと思うし、必ずしも、レースや競技で優勝することを目標にする必要はまったくない。せっかく手にしたスポーツカーの高性能ぶりを試したくても、一般道でアクセルを全開にしたり、ハイスピードでカーブを曲がることなどほぼ不可能。サーキットはそれを試すことができる数少ない場所。サーキットであれば、その逆に、ABSを効かせた急ブレーキだって体験することもできる。

 自分のクルマが、どれだけスピードが出て、どれだけ急に止まれるのか、そして、どれだけの速度でカーブに突っ込んだらスピンするのか……、これらの限界に気づくだけでも、事故防止や普段の安全運転に大いに役立つことは間違いない。

 運転スキルの向上を兼ね、週末のレジャーとしてサーキットでスポーツドライングを楽しみ&汗をかくのは、とても素晴らしい趣味だと思うのだがいかがだろうか?

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