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eモータースポーツにはゲーム機付属の「コントローラー」ではなく「ハンコン」が必須? 凄腕プレイヤーに聞いた!

リアルに「操っている感」を味わえるハンコン

 ハンドルコントローラー、あるいはステアリングコントローラー。通称「ハンコン」をご存知だろうか。プレイステーション4の「グランツーリスモSPORT」や、Xboxの「フォルツァホライゾン4」などのドライビングシミュレーターゲームに対応した、本物さながらのステアリング&ペダルを用いたゲーム用コントローラーのこと。

 普通にハードに付属しているコントローラーパッド(「パッド」と呼ぶ)の代わりに、このハンコンを使ってプレイするわけだが、指でスティックを倒すのではなくステアリングホイールを回して操舵し、ボタンを押すのではなくペダルを踏み込んでアクセルやブレーキを操作する。商品にもよってはパドルシフトやシフトノブでギアチェンも可能と、実際のスポーツカーの運転と同じ感覚だ。

 またFFB(フォースフィードバック)機能対応のモデルであれば、路面から伝わってくる振動やステアリングを切った際に感じる抵抗感なども、ハンドルを通して驚くほどリアルに再現される。初めて触った人はきっと驚くに違いない。

コレを使えばタイムも縮められる気がする !?

 といった感じで、ハンコンは基本的にはゲームをより深く楽しむためのデバイスである。だがその一方で「ハンコンを使ったら速くなれるんじゃないの?」というイメージもないだろうか。何しろ見た目からして本格的だ。リアルさながらのハンドル操作によって、パッドでは届かなかったタイムを叩き出せそうな予感がしないでもない。

 確かにeモータースポーツのオフライン大会の様子(※コロナ以前の話)を見てみると、そこで使われているのはハンコンばかり。ということは、エントリーしている選手たちも日常的にハンコンを使っているものと思われる。パッドで練習してハンコンで本番、とは考えにくいからだ。

 つまりハンコンは上達の道しるべなのだろうか。逆にいうなら、ガチで上手くなるにはハンコンが必須なのだろうか。そのあたりをもう少し考察していきたい。

 なお、今回は国内外のドライビングシミュレーターゲームの中でも屈指の人気を誇り、eモータースポーツのメインソフトとして扱われているPS4の「グランツーリスモSPORT」での使用を前提として話を進めさせていただく。

調べてみると種類豊富。値段もいろいろ

 そもそも世の中にはどんなハンコンが出回っているのだろうか。実は種類も価格もバリエーションは幅広い。試しにAmazonで「ハンコン」と検索してみると、山ほど商品がヒットする。

 だが基本的にハンコンといえばステアリングとペダルのセットだ。ペダルはアクセル・ブレーキの2ペダルと、それにクラッチも加えた3ペダルの商品もあり。オプションでHパターンのシフトも組み合わせ可能という感じだ。他にはステアリング&ペダルをマウントできるスタンドや、バケットシートのようなゲームチェアも販売されている。

 価格は安いものだと1万円以下から、高いものだと10万円前後まである。安いものと高いもので何が違うかというと、ステアリングやペダルの造りや質感であったり、FFB機能が対応だったり非対応だったり。対応品でもモーターの駆動方式(ギア式/ベルト式)やトルク(FFB機能の出力)の強さによっても変わってくるらしい。

 グランツーリスモSPORTのオンラインマニュアルによると、「スラストマスター」や「ロジクール」の商品が対応品とうたわれている。ネット通販でもこの2ブランドは必ず上位に出てくるので、きっと使っている人も多いのだろう。

凄腕プレイヤーに質問してみた

 より具体的な事情を知るべく、実際に上手いプレイヤーに話を聞いた。協力してくれたのは、「ALL CAR」というWEBメディアを運営し、ネイションズカップ(グランツーリスモSPORTの公式大会)でアジアリージョンファイナル進出、マニュファクチャラーカップでアジア12位といった実績を持つ【Jam023】さん。

 もともとはパッド派だったが、2018年の大会を機にハンコンに移行。まず「ロジクールG29」を皮切りに、「スラストマスターT300」「スラストマスターT-GT(現在も使用中)」と、これまで3機種を使ってきたという。そんな【Jam023】さんにいくつか質問。

Q.パッドからハンコンに切り替えた理由は?
「純粋に、使ってみてめちゃめちゃ楽しかったからです」

Q.ハンコン選びで重視しているポイントは?
「FFB機能ですね。これがあるのとないのとでは、プレイの楽しさがまったく違う。価格は少し高くなりますが、ハンコンを買うならFFB機能付きが絶対おすすめです」

Q.ずばり、おすすめのハンコンは?
「プレイスタイルによっても変わってくるのでなんとも…。ただ私のまわりでは、ほとんどロジクールG29、スラストマスターT300、スラストマスターT-GTの三択という状況。いずれもFFB機能付きではありますが、それぞれ特徴・長所・短所が異なります。あとは今年9月にロジクールG923という新商品も出ましたので、今後はそれを使う人も増えてくるかもです」

Q.ハンコンを使ったら速くなれますか?
「パッドからハンコンにしても、劇的にタイムが縮むことはないというのが私の自論です。またハンコンを高価な上位機種に買い替えても、それで急に速くなるわけでもない。速い人はどんなコントローラーでも速いです。ですが、機種によって伝わってくる『情報量』は違うので、それによって『走りやすさ』は変わってきます。またオフライン大会ではT-GTが使われることが多いので、大会を目指す人であれば、普段からコレを使っておけば有利になる可能性があります」

Q.ECサイトでハンコンを買う際に注意することは?
「並行輸入品の場合、保証が効かないことがあります。あとはユーザーのレビューをあまりアテにしないことですかね(笑)」

プレイが楽しくなればきっと速くなれる

 やっぱり「ハンコンを使えば速くなる」というのは安易な考えだった模様。しかし、ハンコンを使うとゲームが楽しくなり、よりプレイに集中できたり、上達へのモチベーションが高まるといった効果は期待できそうだ。それは結果的に「速さ」に繋がっていくことだろう。ハンコンを買っただけではどうにもならないが、ハンコンで練習すれば上を目指せるのではないか。

 eモータースポーツ関係者にもハンコンについて聞いてみると、「大会常連のトップ選手たちは大多数がハンコン派」「パッドでも腕は磨けるが、大会で用意されるのは基本ハンコン。そこでシビアに勝負するならハンコン派の方が有利」といった話をしてくれた。突き詰めていけば自然とハンコンにたどり着くのだろう。

 ちなみにトップ選手が使っているのも、ロジクールかスラストマスターが多いそう。前述したロジクールG923については、ハンドルが軽めで運転しやすく、初心者にもおすすめとのことだ。

 例年に比べると、自宅で過ごすことが多くなるであろう今回の年末年始。ハンコンを導入して腕を磨いてみるのもアリかもしれない。現在コロナの影響でeモータースポーツのオフライン大会はほぼ開催されていないが、その分オンライン大会はけっこう行われており、リアルのプロレーサーも参加するなど盛り上がりを見せている。レベルが上がればそうした大会に出られるチャンスもあるのだ。

【写真協力】
◆NGM株式会社 https://n-g-m.com
◆JeGT GRAND PRIX https://www.jegt.jp

【取材協力】
◆ALL CAR https://allcar.jp

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