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燃料だけでも5種類! いざ買おうとすると奥深すぎて悩むアウトドア用「バーナー」の選び方

使い勝手や携帯性で選ぶ調理用コンロ

 ソロキャンプでもファミリーキャンプでも、楽しみのひとつに自然の中で料理をしたり食事をするということがあります。料理をするには当然、火を使って煮たり・焼いたり・茹でたりすることが必用で、大人数だったり食事を大量に作るときには炭や薪を使ってのバーベキュースタイルになると思いますが、一人や少人数でちょっとした料理をするときには「バーナー」と呼ばれるアウトドア用のコンロがあると便利。また炭や薪よりもカンタンに火加減を調整できるので、料理にこだわりたい人にも向いています。今回はこのバーナーについて、種類や選び方のポイントなどを紹介したいと思います。

「シングルバーナー」と「ツーバーナー」

 まずシングルバーナーとツーバーナーとの大きな違いは、2つ同時に調理できるかどうかということ。ファミリーキャンプ=ツーバーナー、ソロキャンプ=シングルバーナーというイメージがありますが、シングルバーナーを2つ持って行けばツーバーナーと同じように2つの鍋を同時に火にかけられます。

 大型の風防がないシングルバーナーは2個あわせてもツーバーナーより軽量なので、コンパクトカーに乗るファミリーでも積載に頭を悩まさずにすむというメリットもあります。「いつもはファミリーキャンプだけれど、たまにはツーリングや釣りでバーナーを持っていく」なんてときにも改めてシングルバーナーを買い足す必要はありません。ただし、軽量シングルバーナーの中にはゴトクが小さく、大きめの鍋に対応できないものがあるので注意しましょう。

 2口あるツーバーナーはハイスタンド(バーナーやジャグ、クーラーボックスなどを載せる天板のない台)に乗せれば、立って作業できます。またゴトクが大きいので、大鍋を乗せても安定感があります。その反面、風防を取り外してテーブルに置いて鍋料理をするときは場所をとってしまいます。 

 シングルバーナーとツーバーナーはどちらも一長一短で、どちらかといえば椅子に座って調理するロースタイル派はシングルバーナー、キッチンテーブルを使って立って作業をする人はツーバーナーが使いやすいといえるでしょう。

 それよりも気をつけたいのが、蓄熱性の高い調理器具を使うとき。燃料の位置、遮熱性能はバーナーによって異なるため、鉄板やダッチオーブン、折りたたみ式オーブンを使えないものがあります。これは一概にツーバーナーだからOK、シングルバーナーだからダメというものではありません。重量・サイズ・発熱量といったスペックとともに確認しておくようにしましょう。

弱火・とろ火の有無にも注目

 最大火力(発熱量)が大きいほど優秀ということではありません。すぐに湯を沸かしたいときは高火力が有利ですが、炊飯や煮物など「とろ火」が必要なシーンは多々あります。そんなとき、とろ火・弱火が効かず、中火から少し弱めると火が消えるようでは調理のストレスになってしまいます。湯を沸かすだけでなく、積極的にいろいろな料理をするなら、弱火・とろ火をキープしやすいバーナーを選ぶようにしましょう。

使用燃料の違い

 バーナーの燃料は一般的に、家庭用コンロなどでよく使われるCB(Cassette Gas Bombe)缶と、アウトドア向けのOD(OutDoor)缶があり、バーナーのメーカーが推奨するものを使用するのが原則。CB缶仕様のバーナーは非常時に他社CB缶を使えるものの、それ以外の燃料は見た目がよく似ていても、取付金具や缶内部の構造、成分、添加物の有無などにより不具合や事故がおきかねないためです。

 アウトドアで使用できる調理用バーナー(コンロ)はガス以外にも、以下で紹介するガソリン式やアルコール式、さらに固形燃料を使う方法もあります。それぞれの燃料によるバーナーのメリットとデメリットを知り、自分のキャンプスタイルにあったバーナーを選びましょう。

バーナーの種類【OD缶ガス式】

 キャンプ用バーナーの主流ともいえるのがOD缶仕様のバーナー。燃料を取り付けたら、着火ボタンやマッチの炎で着火するだけ。あとは自宅のコンロ同様、つまみを回して火力調整すればよく操作が簡単です。燃料は肩が丸く、太い缶に入っており、気温10℃以上のノーマルタイプ、10℃以下でも使える寒冷地用が用意されています。登山向けブランドには−20℃まで使えるエクスペディション用も。

 CB缶にも寒冷地用がありますが、一般的に寒冷地用OD缶を取り付けたバーナーのほうが低温時に強い傾向にあります。ただしCB缶よりも高価で、バーナーと同じブランドのOD缶を取り付けなくてはなりません。キャンプ場売店で取り扱っているとは限らないので余裕をもって燃料を用意したり、飛行機を使って目的地近くに行く場合はスケジュールに余裕が必要です。

バーナーの種類【CB缶ガス式】

 OD缶と人気を二分しているのがCB缶仕様のバーナー。CB缶はOD缶よりも安価で、さらに非常時には他社CB缶を使用できるので防災アイテムとしても優秀です。なお、同じCB缶仕様のバーナーでも屋内で使えるものと屋外専用がある。自宅で鍋料理にも使う予定なら「屋内・屋外兼用」とされるものを選びましょう。またOD缶仕様のバーナーにも言えることですが、年に1度は燃料取り付け部分のパッキンの状態を確認しましょう。

バーナーの種類【ガソリン式】

 燃料を入れて加圧(ポンピング)する作業があり、キャンプ初心者には敷居が高い「ホワイトガソリン仕様」のバーナーですが、同じ燃料で夏も冬も使えるのが魅力。可動部のオイルアップや詰まりの除去など定期的なメンテナンスが必要だし、着火ひとつとっても手間がかかるわけですが、ちゃんと整備すれば50年前のバーナーでも問題なく使えるため根強い人気を誇ります。

 現在、手に入るガソリン仕様ツーバーナーはコールマンくらいですが、シングルバーナーならMSR、コールマン、SOTO、オプティマスほか数種あります。コールマンは純正ホワイトガソリンを用意しており、こちらは不純物を取り除いているので目詰まりしにくい。MSRやSOTOにはホワイトガソリンのほかに無鉛ガソリン(レギュラーガソリン)を使えるものがあり、有人ガソリンスタンドで燃料を補給できるのはありがたい。

バーナーの種類【アルコール式】

 燃料用アルコールは安価でドラッグストアでも手に入ります。また、バーナー自体も非常に軽量。低温下でも安定するし、燃焼音がないため静かにキャンプを楽しみたいソロキャンパーに支持されています。

 ただ、アルコールバーナーは一部製品を除き、火力調整、使用直後の燃料補給ができません。自分のアルコールバーナーの燃焼時間を把握しておかないと、燃料切れとなることも。燃料が残っている状態での消火も、吹き消すかフタを被せるしかないありません。また、太陽の下では炎が見えづらく、消えているつもりで触れる危険もあります。そんな手のかかる道具ではありますが、シンプルな構造のため自作可能。試行錯誤しながら好みのバーナーを作れるのはアルコールバーナーならではの楽しみです。

バーナーの種類【固形燃料】

 家庭・飲食店用の青い卓上固形燃料、缶入りの防災用などもありますが、アウトドア用とされているのはタブレット型固形燃料。アルコールストーブと同じくストーブ本体は軽量で火力調整ができませんが、固形燃料は使用直後にタブレットを追加できます。またタブレット1個の燃焼時間がわかれば持っていくべき燃料の計算ができるので、なるべく荷物を軽くしたいときに重宝するでしょう。焚き火の着火剤にもなるのでサブバーナーとして持っていくのも良いと思います。

 気をつけたいのは冬期の使用。燃焼自体は安定してますが、固形燃料用のストーブは風防がないものが多く熱が逃げやすい。気温が低いと炎が安定していても沸騰までに時間がかかるので、燃料は多めに用意しましょう。また風防もマストになります。

まずはレンタルという手もあり

 シングルバーナーかツーバーナーか、どの燃料を使うタイプにするかは人それぞれ最適解が異なります。何度かキャンプに行けばその基準がわかってきますが、初心者は自分好みのスタイルがどんなものかわからないと思います。まずはレンタルショップでド定番のバーナーを借り、自分好みの使い方を探るのもひとつの手かもしれません。

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