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走りの「専用車」でもハードルは低い! 中古で狙える国産「カップカー」4選

きちんと中身を理解して買う人には断然遅得なパッケージだった

 2021年から新たに始まるヤリスカップ。ナンバー付きのマシンで争われるレースシリーズに向けて、5ドアのヤリス1.5Lエンジン車にロールケージやサスペンションといった専用装備を与えたヤリス「カップカー」を発売することがTRDから発表されている。

 この「カップカー」という言葉はトヨタの専売特許というわけではなく、昔からワンメイクレースの市販車両に使われている名前。海外メーカーでいえば、ポルシェ・カレラカップはよく知られているところだろう。 そんなカップカーだが、ヤリス以外にも存在している。ここでは中古車市場で稀に見かけることもある、国産メーカーのナンバー付きのワンメイクレースマシン4台紹介しよう。

中古のタマも比較的見つけやすいヴィッツ

 まずは、ヤリスカップの前身といえる「ネッツカップ・ヴィッツレース」に参戦していたマシン。多くの個体が見つかるもっとも身近なカップカーといえよう。

 その中でも参加車両としても比較的多かったのが、TRDがワンメイクレース仕様のベースとしてリリースしたのが「RSレーシング」だ。 ロールケージなどサーキット走行に必要な部品が最初から付けられ、インパネは軽量なベースグレードのものにするといった特別な仕様で「ヴィッツレース」がなくなった今もなお、十分にスポーツドライビングを楽しめる存在。よって公道を走れるクルマでありながら、サーキットでドライビングの練習をするにもピッタリといえよう。

 また、地方戦として各地でヴィッツレース仕様を用いるシリーズ戦も予定されているので、引き続き公式レースに参加するという楽しみ方もできる。

ロールケージさえ装着すればレース参戦可能なロードスター「NR-A」

 日本においてナンバー付きレースの元祖的存在が、マツダ・ロードスターの「N0(エヌゼロ)」。その歴史はメーカーが後援するパーティレースが始まったのは2代目ロードスターの時代からで、現在まで途絶えることなく続いている。そんなパーティレースのために生まれた“カップカー”といえるグレードが「NR-A」だ。工場からラインオフした段階で既に駆動系や冷却系が強化され、ディーラーオプションのロールケージ等をつけば、サーキット走行ができるよう進化させることができるというもの。

 最新のロードスター(4代目・ND型)にも同グレードは用意されているが、中古車で探せば、3代目(NC型)や2代目(NB型)のNR-Aを見つけることもできる。 オープンカーでサーキット走行をするには、たとえ練習走行であっても安全を考えるとロールケージが基本必用(サーキットによってはクローズドにすれば走れるところもあるが)。その意味ではパーティレースに出ようというユーザーでなくともロードスターを本気で振り回したいならば、探すだけの価値はある“カップカー”仕様といえよう。

もっともハイレベルなワンメイクレースの86/BRZ

 執筆時点で、日本におけるナンバー付きレースの最高峰といえるのが86/BRZレース。2021年にはBRZのフルモデルチェンジが予定されているが、少なくともレース自体は初代モデルを使って開催されることが決定している。

 そこで使われているのがトヨタ 86「86 Racing」とSUBARU BRZ「RA Racing」という、それぞれに用意されたレースベース・グレードだ。ご存知のように“プロフェッショナルシリーズ”と“クラブマンシリーズ”の2シリーズ制を導入(2019年からは“クラブマンシリーズ”をオープンクラスとエキスパートクラスに細分化)するなど、非常にハイレベルな戦いが繰り広げられている。

 それゆえエンジンこそノーマルだが、ロールケージによってボディを引き締め、かなり作り込んだ本格的なレーシングマシンが揃っている。2013年からスタートしたレースだけに、実績のあるマシンが中古車として流れてくることもあるようだ。型落ちマシンについてはレースでの戦闘力は疑問だが、サーキットでの練習機として考えれば十分以上の実力で、これからスキルアップしていきたいというドライバーなら探す価値は十分にある。

フレンドリーの中にしなやかさを兼ね備えたATマシンのN-ONE

 もっとも手軽なワンメイクレースといえるのが、ホンダの軽自動車N-ONEを使った「N-ONEオーナーズカップ」だろう。

 ターボのCVT車に限定したナンバー付きのワンメイクレースだ。安全性を考慮してロールケージの装着は当然ながら義務化されているが、乗車定員の変更は不可というレギュレーションがあり、日常は4名乗車で活用できる余地が残っているのも、ナンバー付きレースらしいところ。

 メーカーとしてカップカー的なグレードは用意していないが、純正アクセサリーメーカーであるホンダアクセスの知見を込めた空力ボディを持つ「N-ONE モデューロX」をベースにしてもN-ONEオーナーズカップには参加可能。

 中古市場でオーナーズカップ仕様のマシンを見つけることは少ないが、出物があればお買い得な一台になるだそう。なお、N-ONEは2020年にフルモデルチェンジしたが、オーナーズカップは引き続き初代モデルにて開催されることが執筆時点では決まっている。

「改造車」扱いのカップカーを正しく「売り・買い」してくれるサービスも登場

 こうしたレース仕様に仕上げられた“カップカー”というのは、言うなれば改造車であり、通常の中古車市場では正しく評価されないことが少なくない。また、競技車両は通常の探し方では見つけることが難しい。そこで注目したいのが、トヨタGAZOO RacingとAncarが協力して運営しているのがTGR TRADEという競技車両に特化した個人売買サービスだ。

 出品者・購入者とも利用料はかかるが、レース仕様として気になるスペックや実績が明示されており、また競技に参加していたガレージなどから直接買えるというのは、その後のことを考えてもメリットアリ。TGR TRADEの利用件数はまだまだ多いとはいえないが、出自もはっきりとした“カップカー”を手に入れたいならチェックしておきたいサービスだ。

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