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ツインモーターの「化け物」リーフで参戦! 奴田原文雄選手がパイクスピーク参戦マシンをシェイクダウン

奴田原文雄選手による「パイクスピーク2021」の挑戦

 東洋人初の「FIAモンテカルロラリー優勝」(2006年)経験もあるトップラリードライバーの奴田原文雄選手。今年のパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム参戦マシンのシェイクダウンを行った。

 パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(通称:パイクスピーク)は、アメリカ・コロラド州にあるパイクスピークという山を誰が一番速く上り切るかを競う単純明快なヒルクライム・レースだ。初開催は1916年で、同じアメリカで開催されているインディ500(インディアナポリス500マイルレース)に続く、世界で2番目に歴史あるレースだ。

 スタート地点の標高は2862mだが、ゴール地点は山の頂上であり4301mと標高が高く空気も薄い。そのため走行して標高が上がっていくにつれ酸素は薄くなり、ゴール付近での内燃機関のエンジン出力は約30%低下すると言われている。

 全長20km、コーナー数156のコース。以前は未舗装のダート部分も多く存在していたが、2012年には道路全域が舗装された。近年その走行タイムは極端に削られていき、パイクスピーク殿堂入りも果たしたレジェンドドライバー、田嶋伸博選手が2011年に出した9分51秒278(スズキSX4)のタイムは関係者を驚愕させたものだった。それ以後スリックタイヤの装着も認められるなど環境は大きく変わってきており「誰も切ることができない」と言われていた10分の壁はもう過去の話となっている。ちなみに現在の最速レコードは、2019年にロマン・デュマ選手がフォルクスワーゲンの電気自動車I.D.R PikesPeakで出した7分57秒148。わずか9年で2分もタイムアップしているのだ。

 

奴田原選手の「パイクスピーク挑戦」のこれまで

 先日の全日本ラリー選手権第3戦「ツール・ド・九州in唐津」でGRヤリスに初表彰台をもたらした奴田原文雄選手。2012年に「#230 トヨタ・モータースポーツTMG EVP002」を駆り、EV(電気自動車)クラス優勝(総合6位/10分15秒380)も経験しているドライバーだ。2018年からは日産リーフで参戦を続けているものの、2018,2019年の2回ともに天候悪化によるコース短縮の憂き目に遭っており決勝レースで山頂まで上がっていない。

 2020年も電気自動車での参戦、ということでGLMのトミーカイラZZ(#230 2020年式 GLM Tommy Kaira ZZ)での出場に向けマシンを作製していたものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、参戦を断念している。

 

2021年大会用のニューマシンをシェイクダウン

 そして2021年大会に向けて再び車両を製作し、5月7日、埼玉にあるGOLDEX本庄モーターパークでシェイクダウンを行った。

 今年のパイクスピークのマシン「NISSAN LEAF e+ KAI」である。KAI(改)とあるように、普通の日産リーフとは異なる。ベースとなるのはリーフe+である。これを2台用意し、モーターとインバーターを片方に移植。モーター2基で前後の軸を駆動させる4WDモデルに改造しているのだ。駆動バッテリーはリーフe+に搭載していた62kWhのものを使用(1台分のみ)。ふたつのモーターは独立制御はせず、フロントの信号をそのままリヤにも送って、デフロックのような状態で4輪を駆動させる。左右の回転差収束には減速ギヤのケースに1.5WayのLSDを収めている。

 外装については、ドアパネルとルーフに植物バイオマスから取り出した天然由来の繊維である大王製紙の「セルロースナノファイバー(CNF)」を使用。ルーフ部分には大きく穴が開けられ、荷室上部に置いたリヤの駆動モーター&インバーター冷却用のラジエータに送風するようにもなっている。また、バッテリーを冷やすためサンデン製の冷却システムを搭載。バッテリー冷却用ラジエータをリヤ下部に装着しており、後席ウィンドウから外気を直接ラジエータコアに当てるような仕組みともなっている。

今後のスケジュールはどうなる?

 シェイクダウンではマイナートラブルが頻発。予定していたテストがこなせなかった部分はあったものの、課題も見つかったという。この「NISSAN LEAF e+ KAI」は、この後すぐにアメリカに向けて送られることになっており、すでに現時点で輸送の途に就いている。アメリカ入国後に協力ファクトリーで、車両のカラーリング、そして今回のテスト結果を反映させた最終仕上げを行なう予定となっている。

 今年で99回目を数える「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」。エントリーリストは、5月6日にアップデートされている。今回の参戦台数はこの時点で63台。EVは奴田原選手のリーフ改以外にテスラモデル3が3台エントリーしている。そのうちの一台は吉原大二郎選手(#90 2018年式Tesla Model 3)である。現在アメリカ在住でフォーミュラDシリーズに参戦しながら、一昨年のパイクスピークにトヨタ86で初参戦。ルーキーながら予選7番手のタイムを出し(決勝はマシントラブルでリタイア)、昨年はクラス優勝(アンリミテッドクラス/総合9位)を果たしている。

 他にも、パイクスピークで”山の男”の称号を手にしているリース・ミレン(#8 2021年式Bentley Continental GT3)やロマン・デュマ(#38 2019年式Porsche 911 GT2RS Clubsport)の参戦も発表された。他にもインディドライバーのJ.R.ヒルデブランド(#99 2021年式Dallara DW12/IR18)や、地元デンバー出身ラリークロス・ドライバーのタナー・ファウスト(#34 2020年式Porsche 718 Cayman GT4 Clubsport)などの名前も挙がっている。

 パイクスピークは現地時間6月21日(月)に車検日となり、22日(火)から4日間練習走行日が設けられ、6月27日(日)に決勝レースが開催される。

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