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リゾートホテル並みの宿泊費!「グランピング」に「お値段以上」の価値はあるのか

贅沢に自然を堪能できる「豪華キャンプ」

 近頃話題の「グランピング」は、「グラマラス(魅惑的な)」と「キャンピング」というふたつの言葉をかけ合わせた造語で、テント設営の手間なく快適にアウトドア体験ができる過ごし方のこと。2005年ごろより、ヨーロッパでラグジュアリーなアウトドア旅のことを「グランピング」と呼ぶようになり、日本では2012年ごろにアウトドア専門誌で紹介されていた。一般的に知られるようになったのは2015年以降のことだろう。どんな魅力を持ったものなのか、少しばかりお伝えしよう。

そもそもグランピングの定義とは?

 その歴史は浅く、定義もあいまいだが「ベッドやランプなどを配置した大型常設テントの部屋。バーベキューグリルやコンロでの調理は自分で行うが、上質な食材が用意されていてボリューム満点。テント設営に費やす時間をアクティビティなどに使う」プランを「グランピング」とする施設が多い。

 テント内はランプやカトラリーなどの小物に至るまで、それぞれの施設が目指す世界観を表現するようなまとまりが見られたりもする。タオルやアメニティ、ドライヤーなども用意されているので、着替えだけを持っていけばいいという施設も多い。

 トイレや風呂は共同施設の場合が多いが、どれもすこぶる清潔。近隣の温泉を利用できるのはもちろんだが、話題のサウナテント体験ができる「グランピング」施設も増えている。

 なかには宿泊用大型テントの一部をバスルームにしている施設もある。ここまでくれば、悪天候でテント内に閉じこもる羽目になってしまったとしても、不満はないだろう。

リゾートホテルとの違いは?

 充実した施設での宿泊ならリゾートホテルで十分だ。「グランピング」の魅力はなんといってもフィールドがすぐそばにあるということ。

 快適でありながらも、鳥のさえずりや風が木々を揺らす音、雨がテントに落ちる音が聞こえ、朝、テントのドアパネルを開くと森や海が広がる。焚き火の香りや冷えた朝の空気など、五感を刺激する要素がたっぷり。施設が置かれている環境にもよるが、梅雨〜初夏にはテントの周辺に飛び交うホタルを見ながらテント前のデッキで過ごす、などというピュアな体験も期待できるところもあったり。 朝の自然観察ツアー、釣りやカヌーといったアクティビティが豊富なシチュエーションで、気軽にそれらを体験できることも「グランピング」の楽しみだ。自分でテントを設営する従来スタイルのキャンプでも同じことはできるが、設営・撤収の時間がないぶん時間をかけて遊べる。それにホテル泊よりもフィールドに近いので移動時間も短く、慣れない山道ドライブも短時間ですむというわけだ。

「オールレンタル」「コテージ泊」「トレーラー泊」とは違う?

「グランピング」に似たプランに「オールレンタル」「コテージ泊」「トレーラー泊」がある。

「オールレンタル」とはその名前の通り、テントから小物まですべてレンタル品を使うキャンププランで、テント設営も食材調達もすべて利用者が自ら行う。寝具もベッドではなく、マット+寝袋。テント泊をしたいけれど何を揃えていいかわからない人、興味があるけれどまだすべての道具を用意できていない人にうれしいプランだ。

 大型コットンテントや木製ファニチャー、エアベッドなど、自分でグランピングサイトを作れる道具一式のレンタルは大きいだけに注意しておきたいことがある。大型コットンテントは構造自体はシンプルだが非常に重量感があり、雨で濡れると撤収が大変。また、いくつものファニチャーをセットするだけで時間がかかり、キャンプに不慣れな人はほかのことをする余裕がなく、自然の中での優雅なひとときとは真逆になるかもしれない。

 一方、「コテージ泊」と「トレーラー泊」はテント設営の手間がかからず、手軽に自然の中で過ごせる点では、グランピングとよく似ていると言えるだろう。ベッド+テント泊ではないものの食材付きのコテージ泊(またはトレーラー泊)プランをグランピングプランと呼ぶ施設もある。

 ただし呼び名に「グランピング」が付けられていても、ホテルライクな設備のコテージやトレーラーがある一方で、ベッドなどはなくテントとさほど変わらない簡素なものもある。ユーザー好みにぴったり重なるグランピング風の快適施設を期待するのならば、予約時にしっかり状況を確認しておきたいもの。

 さて、気になるのは「グランピング」の利用料金だ。

 一般的な常設テント利用時の倍は当たり前で、ちょっとしたリゾートホテル並みの料金も珍しくない。一般の常設テントではメンテナンスと清掃はされていても、そのほかの手間はかけられていない。

 一方、「グランピング」の場合はチェックアウト後にベッドメイクやアメニティ補充などホテル並みの手入れがなされ、さらに食材の用意や油汚れや灰でいっぱいになったBBQグリルなどの手入れもまた、管理施設側でなされるわけだ。設営・撤収、焚き火台やダッチオーブンの手入れといった、普通のキャンプでの面倒事から開放されることを考えれば、決して高価格ではないだろう。

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