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白熱のデッドヒート! HREは大クラッシュでリタイア【2021NASCARトラックシリーズ第20戦】

トラックシリーズはプレイオフ戦に突入

 服部茂章代表率いる「Hattori Racing Enterprises(HRE)」。アメリカで大人気のストックカーレース「NASCAR(ナスカー)」の3大シリーズのひとつである「CAMPING WORLD TRUCK SERIES(トラックシリーズ)」へ、若手ドライバーのオースティン・ヒル選手とともに参戦中だ。シリーズはすでにプレイオフ戦に入っており、残念ながらヒル選手がドライバーズタイトルを獲得する可能性は消滅してしまった。だが、HREはチームタイトル獲得に向けて、挑戦を続けている。

超接近戦が注目のタラデガ・スーパー・スピードウェイ

 その第20戦となる「Chevrolet Silverado 250」の舞台となる、アラバマ州北東部にあるタラデガ・スーパー・スピードウェイは、1周2.66マイル(4.28km)のトライ・オーバルコース。33度とナスカー開催サーキットでもっとも深いバンクを持つサーキットだ。ピットに戻るとき以外、レース中はブレーキをほぼ使わない超接近戦のドラフティング合戦が繰り広げられるコースである。94周で争われるレースは、昨年からのコロナ禍の影響により、練習走行と予選セッションを省いた決勝のみを行うスケジュールとなる。

 HREの「#16 United Rentals TOYOTA TUNDRA」は、くじ引きで5番グリッドを獲得。10月2日 (土) に行われたレースでは、それぞれチェッカーが第1ステージ20周、第2ステージ40周、そして最終ステージが94周という3ステージ制のレースとなる。

 スタートから前車の背後にピタリと付いた隊列がひと塊となって進んでいく、スーパースピードウェイならではのレース展開となる。イン側とアウト側の2列の隊列が周回毎に順位を入れ替えながら周回を重ね、イン側3列目につけていたヒル選手は、3番手から5番手を走行。

 第1ステージのチェッカー直前に、前車のドラフティングから抜け出しアウト側のラインでトップに並びかけるも、わずかに届かず2番手でチェッカー。貴重なステージポイントを獲得し、このステージブレイクでピットに向かう。チームはピット作業時間を短縮するため、給油と右側2本のタイヤ交換を素早くこなしてピットアウトさせるが、上位陣はタイヤ無交換作戦を取っており、第2ステージは9番グリッドからのスタートとなった。

最終ステージは最前列ポジションをゲット

 25周目にリスタートのグリーンフラッグが振られ、わずか15周の第2ステージが始まると、イン側5列目の位置につけた16号車は、ここでも前車の背後にピタリとつけ、前の隙を伺いながらサイドバイサイドの展開を続ける。一時12番手まで落ちることもあったが、その後着実にポジションを挽回し、第2ステージのチェッカーを5番手で受け、さらにポイントを重ねる。このステージブレイクのピットインでは、先ほどとは逆のイン側2本のタイヤを交換し、トップでコースへ戻すことに成功。最終ステージは最前列という好ポジションからのレースとなった。

 そして迎えた最終ステージは、48周目にグリーンフラッグが振られた。アウト側の先頭から後続を引き連れて、16号車も2列隊列のドラフティング合戦でトップ争いを展開。50周目にはトップに躍り出てイン側にレーンチェンジするも、その後は上位陣で順位を入れ替えながらの一進一退の攻防となる。

 各ドライバーは前車のリヤバンパーに接触すれすれの激しいドラフティングの攻防を繰り広げ、イン側の隊列とアウト側の隊列のスピードとレース展開を見極めながらポジョションを移動していく。

 57周目、イン側2番手にいたヒル選手は、フロントストレートエンドで後方のマシンからリヤに接触を受ける。320km/hの超高速で走行中の車両は、リヤエンドが浮き上がってしまい一瞬でコントロール不能となり、真横の車両に接触しながらアウト側の壁に激しくクラッシュ。跳ね返った車両は多くの後続車を巻き込む多重クラッシュとなってコース上にストップ。ヒル選手は幸いに無傷だったものの、車両は大きなダメージを受けてコースへの復帰は叶わず。32位でレースを終えることとなってしまった。

 タイトルを狙っているドライバーがほぼクラッシュに巻き込まれ、最後まで完走したマシンが15台しかいないという厳しい一戦となった。

チームタイトル獲得を目指して挑戦は続く

 シーズンも残り2戦だが、HREチームのタイトル争いではトップと31ポイント差となってしまっているが、まだドライバータイトルもチームタイトルと決定せず、混戦模様となっている。次戦は10月30日(土)に行われる、0.546マイル、ショートオーバルのナッシュビル戦。チームタイトル獲得の可能性を大きく引き戻すべく、この200周150マイルで争われるショートオーバル戦に臨むこととなる。

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