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「8ナンバー」は税金は安くても「任意保険」が割高の場合も? キャンピングカー維持費の「リアル」

キャンピングカーのイメージ

今ではキャンピングカーの種類も増えてきた

 キャンプ好きにとって究極の贅沢として、憧れの存在になっているのが「キャンピングカー」だ。好きな場所に出かけ、簡単にアウトドアを楽しめる相棒だが、多くの人は「維持費が高い」、「管理が大変」と思っているのも事実。そこで、今回はキャンピングカーのリアルに迫り、維持費やメンテナンスについて考えてみたい。

外観サイズが変わらないモデルが人気急上昇

 キャンピングカーというジャンルには軽自動車をベースにした「軽キャンパー」、ハイエースやキャラバンなどのミニバンを使った「バンコン」、トラックベースの「トラコン/キャブコン」、バスを使った「バスコン」、オリジナルで製作された「フルコン」が存在し、それぞれのスタイルによって区別されている。最近はバンコンの人気が高く、通常のミニバンとサイズが同一ということもあり、特殊な操作を必要としないもの大きな魅力。

 また、手軽さに注目するのなら軽キャンパーとなり、居住空間を求めるのであればトラコンやキャブコンに軍配があがる。フルコンやバスコンは贅沢な別荘感覚で使用できる一方、価格も高く限られた一部の富裕層向けといえるだろう。

8ナンバー登録になれば税金は安くなる

 キャンプが好きな人にとってキャンピングカーはどう映っているのだろう……と考えたとき、「維持費が高そう」、「メンテナンスが大変」と思っているはず。しかし、本当にそうなのだろうか? まずは維持費の問題に迫ってみるとキャンピングカーは消防車や救急車などと同じ「8ナンバー」に区分されることが多い。この8ナンバー登録車は道路運送車両法により「特殊用途自動車」とされ、じつは自動車税が通常の自家用車と比較して2割程度も安く設定されている。

 排気量によってバラつきがあるものの8ナンバー車の方が自動車税は安く、例を挙げれば同じハイエースに乗るのならキャンピングカーの方がお得ということになる。キャンピングカーとして8ナンバー登録する場合には、乗車定員の1/3以上のベッド数を有すること、10L以上の貯水排水施設があること、炊事施設があること、室内高1600mm以上を満たしていることなどが条件となる。

 車検に関しても少しばかりの違いがあり、一般的な乗用車の場合には初回登録から3年後、以降は2年ごとの車検になるのに対して、8ナンバー登録車は新車・中古車を問わず2年ごとに車検を受けなければならない。簡単にいえば8ナンバーのキャンピングカーを新車で購入すると初回車検が2年後となり、それ以降は通常の乗用車と同様の2年ごとになるのである。

 車検取得時の費用として必要な重量税や自賠責保険にも違いがあり、自動車重量税は8ナンバー車の方が安い。簡単な例を挙げると車両重量が2.5tの自家用車では4万1000円の重量税が8ナンバー車では2万4600円に設定され、その差額は1万6400円とかなりのお得感を感じることができる。

保険では割高になってしまうケースも……

 しかし、自賠責保険(24カ月)では一般的な乗用車が2万5830円なのに対して8ナンバー登録車は3万210円となり、少しばかり割高になってしまう。逆に軽キャンパーの場合、一般的な軽自動車は2万5070円だが8ナンバーで登録した場合には1万5190円となり、8ナンバーの方がお得に設定されている。

 ここで説明したように、税金に関しては8ナンバー登録を行ったキャンピングカーの方が優位であり、絶対的なお得感を得ることができるはずだ。しかし、ひとつだけ落とし穴があり、8ナンバー登録車は「任意保険」が高く設定されている場合があり、キャンピングカー専用(特殊用途自動車)の保険を取り扱っている保険会社でなければ加入できないこともあるので注意してほしい。キャンピングカーを取り扱っている販売店では専門の保険会社と提携していることも多く、新車・中古車に関わらず問題になることはないが、個人売買で購入するときには事前に保険会社を調べておくことをお忘れなく。

 キャンピングカーが税金面で優遇されていることはおわかりいただけたと思うが、もうひとつの心配は維持費の問題。「車検が高いのでは」や「メンテナンス費用が高額」という不安を持つ人も多いはず。基本的にはキャンピングカーという特殊な車両ではあるが、車検取得時に掛かる費用は一般的な乗用車と同様となり、検査費用に大きな差はないはずだ。

 とくに軽キャンパーやバンコンはベース車両が市販車であり、定期的なオイル交換やクーラント、ワイパーやベルト類の消耗品の交換をしておけば問題はない。ただし、架装された部分に関しては別。ベッドやキッチンなどの建て付けやパーツの緩み、配線や配管のチェックを定期的にチェックすることが必要となる。トラコンやキャブコンのように、荷台に独立した躯体を持つものは雨漏りを防止するコーキング部分のメンテナンスが必要になる。

軽キャンパーやバンコンなら日常メンテなども不安なし

 そのほかの維持費として考えられるのが、駐車場や日常的なメンテナンス費用。バスコンや巨大なフルコンは一般的な駐車スペースにて保管することは難しいが、軽キャンパーやバンコンの場合には、それほど問題はないはず。また、日常的なメンテナンスも同様で、キャンピングカーだから……という特殊性はない。強いて挙げれば、トラコンやキャブコンの場合には荷台に乗せた躯体のワックス掛けやコーティングに手間が掛かる程度のものだろう。

 キャンピングカーは憧れの存在……と思っていても、維持費が高いという先入観に苛まれてしまい手を出せなかった人も多いはず。しかし、税制面でお得となり、維持費も乗用車と変わることのない事実を知ればキャンピングカーという存在がより身近に感じられるのではないだろうか? アウトドアを楽しむために軽バンやミニバンを買うのなら、思い切ってキャンピングカーを買ってしまった方が「お得感」とともに「精神的な豊かさ」を手に入れることができるということだ。キャンピングカーに対する間違った先入観を払拭した今、「憧れ」を拒む理由はどこにもない。

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