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料理から狩猟まで用途は色々! 意外と奥が深い「キャンプナイフ」の選び方

安全で快適なキャンプのためにナイフの役割を再点検 

 キャンプといえばナイフの使用が定番になっていますが、シースナイフ、とくに大型のナイフになると重量もあり動きにくくなるのをご存知でしょうか。使用のたびにシースから取り出したり戻したりを繰り返す際、つい面倒でロックをかけなかったりすると、ナイフがシースから抜け落ちたり思わぬケガや事故を招くことがあります。

 フォールディングナイフはポケットか専用ケースで腰にぶら下げてもじゃまにならず安全性は高いですが、大型ナイフになるほどキャンパーの動きを阻害します。扱いやすい装備は安全性を高めます。

 これは斧や鉈にも言えることですが、力任せの作業は危険度が増します。道具には適切な使用範囲があり、斧はヘッドの重量で仕事をするようになっているのです。鉈にも同じことが言えるでしょう。その斧や鉈の領域を大型ナイフで代用しようとすれば過剰な力をかけることになり、手からすっぽ抜ける、ブレードが折れて飛ぶ、跳ね返される、弾かれて予想外の方向に刃が向かうといった事故が起こります。

 刃厚が6mmもあるフルタングナイフでも料理はできなくはありませんが、タマネギやニンジンは切れずに割ったような切り口になってしまいます。オピネルやペティナイフに任せたほうが、ずっと安全で美味しい料理ができるでしょう。

 ブッシュクラフトで木材からスプーンのような凹面を削り出す作業は、ストレートブレードには困難で支えている側の手指をケガします。カービングナイフや彫刻刀など作業に適した専用ナイフを用いるのは安全のためでもあるのです。

 ナイフの基本は使用目的に合わせること。過剰なナイフ装備は安全を損なうこともありますので、「適材適ナイフ」を考えて選択するのが懸命です。キャンプに持ってゆくナイフの選択のために、それぞれの役割を挙げてみます。

ナタの役割をカバーするナイフ

剣鉈/ナガサ、大型フルタングナイフ 刃厚約4mm以上

 薪のバトニング、枝払い、動物の解体。これらの大型ナイフはおもにハンターが使用します。フクロナガサは長い柄(山歩きの樫棒)を取り付け、熊やイノシシとの遭遇時の撃退や罠にかかった動物の止め刺しに使用。山小屋での薪づくり、マチェテとしての下草払いなど活用範囲は広いです。

狩猟、サバイバルをカバーするナイフ

シースナイフ(中小型フルタングナイフ)、狩猟ナイフ 刃厚約3mm程度

 動物・魚の解体、肉料理、フェザースティックづくり。刃体15cm程度の小型シースナイフはフルタング構造で強度が高いです。ハンドルと一体構造のため隙間がなく、動物や魚の解体で血液や内蔵がフォールディングナイフのように内部に入らないため清掃が楽で衛生的です。

料理、サイト設営、キャンプ全般をカバーするナイフ

フォールディングナイフ、ポケットナイフ 刃厚約2mm程度

 食材のカット、開封、ガイラインの切断などこまめなニーズに素早く対応できるのが、小型フォールディングナイフです。サムホールやサムスタッドと呼ばれる、片手の親指でブレードをオープンできるものもあリますが、基本は両手でホールドし確実に出し入れするほうが安全。グリップの収納部が清掃しにくいため、食材や汚れがなかに入ってしまう用途には向かないです。発展形にツールナイフがあり多彩なラインアップが魅力。

料理専用ナイフ

フィレナイフ、ペティナイフ 刃厚約1〜1.5mm程度

 魚の解体、料理全般、パンのスライスなど料理専用に特化したナイフ。刃体が薄くしなるため、魚の皮剥ぎやフルーツ・野菜の皮剥きなど調理全般にはフィレナイフ、ペティナイフの使い勝手はキャンプ用ナイフの比ではないです。極めて切れ味の良い鋭角の研ぎを施すため刃こぼれするような用途には向きません。また運搬用にシースを用意しましょう。

ブッシュクラフトに有効なナイフ

中型フルタングナイフ、切り出しナイフ、カービングナイフ、彫刻刀

 ブッシュクラフトはキャンプをしながら、木材でハンガーやスプーンなどさまざまな道具を手作りするスタイル。ですが、木材に溝などの細かな加工成形、スプーン・カップなどの凹面の削り出しといった加工は、一般的なストレートブレードのナイフでは難しくほとんど不可能といっていいでしょう。また用途に合わない道具での無理な作業はケガの元。カービングナイフや切り出しナイフ、彫刻刀といった加工専用ナイフをぜひ使用しましょう。

斧、鉈を積極活用する

 木材相手の作業は斧、鉈の専門領域で基本的にナイフはかないません。装備を簡素化・軽量化したい、剣鉈や大型ナイフ1本でカバーしたいといった特別な理由がない限り、薪割りには最適な斧・鉈を使いましょう。

 たとえば枝をチョッピングするといった場面で、大型ナイフでは重量が足りず力任せに振ればケガもしやすくなります。木材を割るスプリッティングの仕事を斧・鉈に鉈に任せれば大きなナイフは必要なくなり、小型シースナイフやフォールディングナイフ、ポケットナイフで足ります。ぜひ「システム思考」で必要なナイフを選択・構成することをおすすめします。

まとめ

 ナイフは旧石器時代から人類を発展させてきたかけがえのない道具ですが、道具は使い方を誤ると自分や他者を傷つけます。ナイフの所持・運搬・使用については法律に従って正しい運用を行うことはもとより、他者の模範となる安全な使用を心がけてください。

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