マイナス10℃対応を目安にしっかりとした防寒を準備する
冬キャンプのいちばんのポイントは防寒対策です。震えるような寒さにはとても耐えられませんし、暖がとれないと眠ることもできません。マイナス10℃程度の気温は真冬のキャンプ場なら当たり前のように下がりますので、マイナス10℃に対応することをひとつの目安にしておけばいいでしょう。ただし、これはあくまで平地での冬季キャンプの話で、東北地方や降雪地帯、1000m以上の高地はまた別の防寒対策が必要です。
冬キャンプのポイントは夜間の冷え対策ですが、簡単で有効な方法は「重ねる」こと。ウエアもパーカーの下にセーターなどを重ねることで、簡単に耐寒性を高めることができます。ズボン下に股引などのインナーウエアを1枚追加するだけでも、劇的に暖かくなります。
寝袋も同様で、テント内の冷えはおもに地面からの底冷えですので保温シート、ブランケット、エアマットなどで断熱し、寝袋もシュラフカバーを併用してレイヤーを重ねることで暖かさをキープします。
ストーブの使用で気をつけたい強風によるテント倒壊時のリスク
外からストーブなどの器具によって暖を得る方法もありますが、テントのなかは基本的に火気厳禁を原則としてください。火災や一酸化炭素中毒は命を落とすリスクがあります。照明もLEDなど火を使わないバッテリー式を使用してください。
薪ストーブをインストールするには耐火性の高い大型テントを使用する必要があり、山岳ベースキャンプ用など特別に耐風性能を高めたテントを除き、大型であるほど強風で倒壊しやすくなります。
また倒壊しなくても排気の逆流によるガスの充満など、危険な状況に陥ります。石油ストーブは比較的簡便ですが、強風時にはテント倒壊に備えて消火するなど安全優先の判断が必要ですし、小型テントでの使用は危険です。冬キャンプでのストーブの使用には、対応した装備とともにノウハウや十分な準備が必要ですのでビギナーがトライするのはおすすめできません。
冬キャンプは安全第一! 火気を電気に変えてみる
近年、アウトドアで使用できる大容量ポータブル電源が普及し、電気カーペットや電気ブランケットで暖を取る人も増えているようです。リスクのある火気に変えて、冬季は電源サイトかポータブル電源を活用するのもおすすめです。電気毛布の消費電力は40W程度ですので、400Whほどの充電容量があればひと晩使用できます。災害時にも活用できますので、1台入手して冬キャンブに使用するのもありでしょう。
夏場にはポータブル冷蔵庫の電源としても使用可能ですし、ソーラーパネルからの充電に対応した機種もありますので、エコシステムに関心のある方はポータブル電源とソーラーをキャンプに持ち込んでみるのも拡がりがありそうです。
1泊キャンブでは出番はないかもしれませんが、2泊以上のキャンプなら日中にパネルに日向ぼっこをさせながらソーラーで充電することも可能です。発電容量にもよりますが、快晴なら冬季の太陽でも1日で十分に充電できるようです。
冬キャンブの対策ポイント
・テントの多重化
ダブルウォールテント、グランドシート、カーペット、ブランケットで外気と底冷えを回避
・シュラフの多層化
ダウンシュラフ+シュラフカバー、断熱マット、エアマット、コットで底冷え回避
・防寒着衣
寒さは耐えられない。暑ければ脱ぐ、くらいの余裕で防寒を準備する
ウールやフリースのセーターなど重ね着調節で対応する
スボン下、股引、タイツ、パッチが有効
着替えやソックス、毛布などを余分に車に入れておく
ダウンジャケットやパーカーは焚き火で穴が開かないようアウターの素材に注意
・濡れ防止
融雪や降雨が想定される場合は極力濡れを避け体温低下に備える
長靴、傘、カッパ、ゴム手袋など有効
・冬用ガスボンベじゃないと着火しない
ブタン、イソブタン、プロパンの順で低温揮発性が高くなる
ハイパワーガスはプロパン含有量を高めておりノーマルガスでは着火しない低温下でも着火する
・暖を確保する
使い捨てカイロ、湯たんぽ、電気毛布など火気を使用しなくても暖が取れる対策を装備
・シュラフの防寒対策
ダウン量が多いと暖かい
FP値(フィルパワー値)が高いほうが保温性が高い
底冷え防止にエアマット、コットが有効
シュラフカバーで保温性が高まる
シュラフカバーは防水と通気性を確保したものがよい
シュラフの上から毛布をかけると暖かい
インナーに毛布を入れると暖かい
シュラフ形状にマッチしたインナーシュラフで保温性アップ
夏用シュラフでも2枚重ねすると暖かい
電気カーペット・毛布と組み合わせれば暖かい
・トランスポーター
車のタイヤは路面凍結を考慮してスタッドレスに。できればチェーンも積載しておこう
寒ささえ対策すれば冬のキャンプは快適です。晴れた穏やかな日には、つくづく太陽がありがたいと痛感する、日向ぼっこキャンプができます。ですが、寒いとつい焚き火を大きくしがちですので、風と相談しながら火災に十分注意を払って行ってください。