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「ハンコン」と「ゲーミングチェア」で筑波サーキットのタイムはどこまで縮まる?「グランツーリスモSPORT」で試してみた

「グランツーリスモ」歴だけは長い、下手の横好き記者が自腹で検証!

 世の中では「eモータースポーツ」が盛り上がっている。クルマ好きなら「グランツーリスモ」を代表としたレースゲームを持っている人も多いだろう。シミュレーターとしての精度も進化しまくった現在、「ハンドルコントローラー」(ハンコン)はほとんど必須のような装置でありながら、価格、固定方法、置き場所といったハードルが高くて、導入を躊躇してしまいがちだ。

 そんなひとりだった記者が最近ようやく、これらの装備を自宅に導入。「PS4」の純正コントローラーパッドとどれだけ違うのか、「マツダ・ロードスター」と「筑波サーキット」の同一コンディションでタイムアタックしたリポートをお届けする。

純正コントローラー時代、走りは捨てて着せ替えゲームに

 初代「グランツーリスモ」が発売された1997年12月は大学受験の直前だった記者。めでたく大学に進学してひとり暮らしを始めたとたん、サルのようにグランツーリスモをやりこんだのは言うまでもない。

 憧れのアイテム「ハンコン」も一度は所有したことがある。2003年くらいだったか、知人のお下がりをもらい、ステアリングは「膝ではさむ」アタッチメントを使い、ペダルユニットはカラーボックスを細工して固定。剛性もへったくれもないし、いまの技術と比べればお遊びみたいなものだったが、それでもペダルでアクセルとブレーキの開度を調整できるだけで嬉しかったものだ。

 時は流れて、現行の最新バージョンはPS4用の「グランツーリスモSPORT」。2017年10月に発売された数カ月後には買ってしまったものの、ハンコン単体で3万円代という価格もさることながら、「固定できないと意味がない」、「固定するためのゲーミングチェアやフレームは高いし置き場所に困る」というデメリットから、PS4純正のコントローラーパッドでプレイ。

 コントローラーパッドだとどんなに走りこんでも、コーナリングでのブレーキングとアクセルワークが非常に難しく、タイムを削ったりレースしたりする遊び方からは遠のいて、撮影モードやクルマの着せ替えをエンジョイしてきたのだった。そんな遊び方も許容するのが「グランツーリスモSPORT」の懐の深さ、ではある。

後先考えずに「ロジクールG29」を衝動買い!

 んで、春には次世代機「PS5」で最新作「グランツーリスモ7」が出るとアナウンスされているこのタイミングで、なんだか今さらながらだけど個人的にテンションが高まってハンコンを買ってしまった! ブツは定番の「ロジクールG29」でお値段は3万円台後半。固定方法は「あとで考える」という方向で、勢いありきの衝動買いだ。

 まずはリビングの折り畳みテーブルに固定してみた。ペダルユニット底面の摩擦係数もそこそこあるから、申し訳程度の状態とはいえ、これでもどうにか走れるかも?

比較の基準は「NDロードスター」×「筑波サーキット」

 さて、この先、公正な比較をするために基準を決めておこう。記者もかなり(ゲームでだけ)走りこんでいる「筑波サーキット」のタイムアタックで、クルマは2015年式「マツダ・ロードスターS」(ND型、車重990kg)。ゲーム内でのチューニングを一切キャンセルした純正の吊るし仕様で、タイヤは「スポーツミディアム」、ゲーム側のドライビングアシスト機能もすべてOFFにする「上級者向け」セッティングだ。トランスミッションは、操作がツラそうだから基本的に「AT」モードでやってみる。

 なお、PS4純正コントローラーでアシスト機能を全カットすると、そもそもマトモに走れない。どうにか1時間ほど走りこんでみて、「1分19秒」を少し切るくらいが限度だった。

 参考までに、自動車雑誌「CARトップ」の名物企画「筑波アタック」において、2015年に「ロードスターSスペシャルパッケージ」(車重1010kg)の吊るし仕様でタイムアタックした際のラップタイムは「1分13秒521」である。

 ハンコンを申し訳程度に固定した状態で走ってみると、ステアリングの「フォースフィードバック」(FFB)の進化ぶりに感動。ただ、急な操作をするとステアリングがガタつくし、ペダルも強く踏むとズレてしまう。使わない左足でペダルユニットを押さえながら、不自然な姿勢でドライブしていたら、30分もしないで背中と腰が痛くなってきた。

 そこで早々に断念して、ベストタイムは「1分16秒936」。気分はさておき、純正コントローラーから1秒程度しか短縮できていないのだった。

© 2017 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc.
“Gran Turismo” logos are registered trademarks or trademarks of Sony Interactive Entertainment Inc.
※「PlayStation」は株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標です。

レースゲーム専用チェアも買っちゃった!

 そこで、仕事部屋のワークデスクに固定すればもう少し快適にプレイできるのでは? とホームセンターに行ってあれこれ試したけれど、わがDIYレベルではうまくいかずに断念。

 こうなれば乗り掛かった舟というわけで、いわゆる「レーシングコックピット」の類いを調べて検討した末、コスパと収納性、それに「そこそこの」剛性の3つのポイントから、「PLAYSEAT レーシングコックピット Challenge」というゲーミングチェアを導入。お値段は3万円弱だった。

 シートの座面部分は布になっているため折り畳みが可能で、ペダルユニットの台となる部分もプレイヤーの自重でしっかり固定されるのがナイスな設計。もちろんステアリングはボルトで固定するので剛性はなかなかのものだ。

 座るときは、ステアリング部分のアームの片側を外して回転できるようにもなっているが、直接、足を通してヨッコラショで収まることもできる。座り心地も良好だ。

 使わないときは折り畳んでベルクロで固定する仕組みで至ってカンタン。「eモータースポーツ」の頂点で激しい操作をするのでない限りは、このくらいが必要十分なスペックかと思えるのである。

もはや限りなく「クルマの運転」を味わえる

 さっそく「レーシングコックピット」に座って筑波を走ってみる。いや、これ、いままでと完全に別次元! ステアリングもペダルもグラつかず、ブレーキを思いきり踏みこめることで、本当にリアルな走り方ができるのだ。

 筑波の第1コーナー手前でしっかりブレーキングし、ステアリングを切りこんでいくときも手元に繊細なフィードバックがあるので破綻しないように配慮でき、立ち上がりでアクセルを踏みこみつつ姿勢を整えるまでの動きもじつにスムース。本当に走っている感覚そのものだ!(なお記者は筑波をリアルで走った経験ゼロ……)

 手のひらの小さな純正コントローラーでプレイしていた時間はいったい何だったんだろうと思えてしまった。確かにこれこそ、グランツーリスモが「ゲーム」ではなく「シミュレーター」と名乗る所以であって、味わわないのはもったいなさすぎる!

 ロードスターならではの「アクセルワークで曲がる」感覚を堪能しながら、ゲーム内とはいえ、コースアウトやスピンをしないように丁寧に走って少しずつペースを上げていく。結果、筑波のベストタイムは「1分14秒367」まで短縮することができた。

操作に余裕が生まれるからMTモードで走れる

 こうなると欲が出てきて、CARトップ誌「筑波アタック」の1分13秒521に挑みたくなる。ずっとATモードで走ってきたが、14秒を切るには、もっとエンジンパワーを使い切りたいし、コーナーでは2速に落としたいタイミングが少し自分の感覚と違ったりする。

 そこでMTモードに切り替えてみた。さすがにシフトチェンジは、ハンコンのパドルを使うということでご容赦いただくとして……。

 正直、レースゲームでMTを使うのは自己満足の領域だと、長年にわたり思っていた。でも、ステアリングもペダルもきちんと固定され、プレイヤーの体もシートにきちんと固定されてのドライブだと、操作に余裕が生まれて、シフトチェンジしてもデメリットがないのだ。

 とても気持ちよく、リアルに「人馬一体」を感じながら筑波を走っていたら、リズムに乗って走れたラップでついに「1分13秒168」を記録! 参考タイムにしたCARトップ誌のタイムを切ることができた。バーチャルでクルマを壊す心配をしないで走っていることや、タイヤ、20kgの重量差などあるので、現実世界でこう走れるわけではないのだが、ともあれ嬉しい!

 こうなったら次はシフトレバーも増設しようか、と気分は盛り上がりつつ、まもなく新作「グランツーリスモ7」も出るし、ともあれ皆さん、まだの人は「自分へのお年玉」と思って、ハンコンまわりの装備を整えると超ハッピーになれることをお約束したい。

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