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愛犬家もアウトドア派も「廃止」に涙した! ステップワゴンの「わくわくゲート」は魔法のトビラだった

RP型ステップワゴンと愛犬

アウトドア派や愛犬家には使い勝手◎の「わくわくゲート」

 いよいよ、今春発売予定の新型ステップワゴンが、先行してYouTubeで発表され、発売を待つのみになった。その新型で大きく変わった使い勝手のひとつが、先代5代目ステップワゴン最大の特徴と言えた「わくわくゲート」のサブドアの存在だ。バックドアを第5のドアとして使うことができ、大きく開く縦開きとともに、玄関ドアのように横開きするサブドアを備え、その内側にドアオープナーやアシストグリップがあるため、人やペットの乗り降りも可能だった。

 しかも、ボックス型ミニバンのデメリットとされる、車体後方にスペースのない駐車場所でのバックドアの開閉、つまり荷物の出し入れを容易にしてくれる画期的なアイデアだったのである。しかし、後ろから見ると左右非対称じゃないし、運転席から後ろを見るとリヤウインドウ部分に縦線が入っていて違和感がある。さらには、リヤバンパーレスのため後部をぶつけると大きなバックドア全体に被害がおよぶといった点で、一部のユーザーに受け入れられず販売が低迷。

 そこで新型ステップワゴンでは、残念ながらわくわくゲートが廃止され、その代わりにスパーダプレミアムラインに標準装備される新機能として、背が低い人でも手が届く位置にピタっと止まるよう、ドアの開度を記憶できるパワーテールゲートが採用されのである。

 だが、アウトドアや愛犬との生活をこよなく愛する筆者は、今でも先代ステップワゴンのわくわくゲート信者である。その使い勝手の良さは、左右非対称だの、縦線がどうのといったネガティブな要素に対して、余りあるメリットをもたらしてくれるからだ。

まさに隠し扉のような秘密基地感が子どもも大喜び

 ここでは、そんな5代目ステップワゴンのアウトドアでの使い勝手の良さに照準を合わせ、説明したい。まず、アウトドア派ではなくても、子どものいるファミリーにとって、わくわくゲートは移動する子ども部屋としての楽しさが満載だ。なにしろ自分専用(!?)の出入り口があり、そこから乗り降りできるという、ほかのクルマでは経験できない嬉しさ、楽しさがあった。

 わが家では、大型犬など多頭のペットと暮らしていたが、3列目席の左側席をあらかじめ床下にすっきりと格納し(※そうしておかないとサブドアからの乗降はできない)、そこにできた縦長フロアを愛犬専用席としていた。隣に飼い主が座れば、犬も飼い主も安心してドライブを楽しむことができるのだ。

 3列目シートには専用のエアコン吹き出し口もあるから、1年中、快適でもある。よって、スライドドアから犬を乗せ降ろしさせるより、広大なキャビンの前2/3が犬の抜け毛などで汚れる心配もなく、車内の汚れにくさが格段に向上するメリットは大きい。

キャンプはもちろん愛犬家にとってもメリットばかり

 では、ステップワゴンのわくわくゲートがアウトドアでどう活躍してくれるのだろうか。まずは、車体後部にタープを張った際も、巨大なバックドアを大きく開けることなく、人やペットの出入り、そして荷物の出し入れができるから便利で楽しい。バックドアの開け閉めがより楽で、簡単に閉められるため害虫の侵入防止にも役立つのだ。

 愛犬家にとっては、スライドドアやバックドアの縦開きより横開きのサブドアのほうが、愛犬の車外への飛び出し防止効果があるのは明白(※一気に開かないため、飛び出しをブロックしやすい)。動物専門業者が犬の移動用として、ステップワゴンはもちろん、例えばルノー・カングーのような観音開きドアを安全のために好んでいるのも、同じ理由である。また、ラゲッジフロアの地上高は3列目席格納部分で500mmと、世界のステーションワゴンのラゲッジフロア地上高の平均値である630mmよりずっと低いのだから、乗り降り(アシストグリップあり)、重い荷物の出し入れも楽々。

 ちなみにMクラスのボックス型ミニバンの巨大なバックドアを全開にするには、車体後部に1m前後のスペースが必要になるのだが(※途中で止まらない場合)、わくわくゲートのサブドアなら、車体後部からの張り出し量がたった400/640/760mmの3段階で済むのだから、あらゆる場面でじつに使いやすい。アウトドアであっても、クルマの駐車スペースの後ろに柵や茂みなどがあって、バックドアを全開しにくい場面でもバッチリなのである。

2〜3列目席のフラット化で車中泊仕様へのアレンジも簡単

 タープを使わない場合でも、ほかのMクラスボックス型ミニバンより縦長のバックドアは、全開にできるシーンでは、巨大なひさしになる。直射日光や雨をよりしのぎやすい便利さまであるのだから、アウトドアでの適合性は、じつはミニバン随一だったりするのだ。

 さらに、3列目席を床下ではなく、背もたれを倒すだけのアレンジでは、2〜3列目シートのフラット化が可能。簡単操作で即、全長2300mmほどのベッドスペース&お座敷スペースを出現させることができる(2列目ベンチシートのほうがベッド化はしやすい)。それだけじゃない。3列目シートの背もたれを後ろに水平に倒すことで、そこがベンチやテーブルとして使えたりもするのだから(※ほかのミニバンでも可能だが)、使い勝手は自在である。

 ハイブリッドモデルなら、AC100V/1500Wコンセントも使用でき(ノア&ヴォクシーのハイブリッドモデルも設定されるがセレナには設定なし)、コーヒーメーカーや簡易電子レンジなどが車内外で使えるメリットは絶大と言っていい。

やっぱり新型がいいけどアウトドア派は先代モデルも検討したい

 そんな5代目ステップワゴンのわくわくゲートでしか経験できない便利さ、楽しさをわが物とし、アウトドアで活躍させたいのであれば、あえて今、5代目ステップワゴンの最終モデルを手に入れるのもアリかもしれない。第5のドアを持つミニバンなど、この先、ないかもしれないからだ。

 ただし、新型は2列目キャプテンシートがノア&ヴォクシーやセレナ同様、ついに左右にもスライドし、7人乗りキャプテンシート仕様でもセミベンチシート化できるようになった(※もちろんロングスライドもする)。そのほかにも先進運転支援機能=ホンダセンシングの大幅な進化は確実で、とくにACC、アダプティブクルーズコントロールの機能性については圧倒的に良くなっているはずだから、今5代目を買うか、新型を待つかの判断はクルマの用途を熟考した総合的な見方が不可欠ではあるが……。

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