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ビートルの皮を被った最新レーシングカーで激走! ベルギー発祥の伝統レースが想像のナナメ上をいくバカっぷりだった

25年も続いているファニーな雰囲気のワンメイクレース

 ワンメイクレースって、イコールコンディションでクルマに差がない分、抜きつ抜かれつがハードで、小さなサーキットでコース幅が狭いとなおさらね……。そう知ったかぶりしがちだが、レースの本場欧州はワンメイクレースも想像のナナメ上をいく規模だったりする。それが1997年に始まり、今年25周年を迎えた、ベルギーの「VW Fun Cup(フォルクスワーゲン・ファン・カップ)」だ。

ゆるいルックスだけど中身は別モノのレース専用マシン

 レース車両のカタチはまんま「VWタイプ1」こと「ビートル」だが、中身は鋼管チューブラー・フレームにFRPボディ、エンジンは現代のVW製2L直4、もちろん水冷ユニットを使っている。なぜそんな風にするかといえば、ノービス(初心者)ドライバー向けでファン目的のレースとはいえ、だからこそ最新のFIAレギュレーションに合致させた、安全性の高いワンメイクレースとするためだ。

VWの水冷180psエンジンで799kgのマシンを駆りたてる

 主催団体の一部、「WRT」傘下の精密金属加工会社で鋼管チューブラーフレームを製作する「AMPベルギウム」は、トヨタGRヨーロッパをも顧客に抱えている。生産キャパは年産90台ほどだが、VWファン・カップの人気が高まって数百台がすでにラインオフした現在では、WRTは真顔で「ベルギー最大の自動車コンストラクター」を名のっている。

 ちなみに現在のカップ車両は2L/180psで車両は799kg、トランスミッションはサデヴ(SADEV)製シーケンシャルという、ファニーな見た目だが限りなく本気仕様だ。

国際格式のコースで和気あいあいとレース

 実際、あのアイコンともいえるビートルのカタチで大真面目に競り合うのだから、人気が出ないはずもなかった。しかも、スパやザンドヴォールト、アッセンやゾルダー、マニクールといった、F1すら開催してきた国際格式で質の高いサーキットが舞台。加えてFIAレギュレーション的には2座カテゴリーなので、体験試乗などで助手席からレースの世界を疑似体験できる身近さもあり、潜在的なエントリー層の裾野をも拡げやすい。

近年はニュルブルクリンクなど欧州全域に拡大中

 元のシリーズはベルギーとオランダ、北フランスを中心に年間6~7戦が組まれていたのだが、最近ではフランスのディジョンやイタリアはムジェロ、ドイツのニュルブルクリンクに英国のシルバーストーンまで、VWファン・カップというイベントごと遠征し、新しいファンとエントラントを増やしている。

今後はeスポーツでヴァーチャルにも展開

 シーズン中最大のイベントは何といっても「スパ25時間」で、150台近くがエントリーして600人近いドライバーが参戦するという。そして最新のアップデートとして、「VW e-ファン・カップ」という、ヴァーチャル枠組みでのeスポーツとしても開催される予定なので、何だかかわいくて楽しそうなこのレースに、われわれが巻き込まれる日も近いのかもしれない。

【VW FUN CUP RACEの動画】

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