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延期となっていた開幕戦が開催! 初心者でも思い切り楽しめるダートラトライアルレースに注目

ダートレースのイメージカット

ダートコースでひたすら走る耐久レース

 福井県にあるオートパーク今庄を舞台に開催されているダート耐久レースは、ゆるめのレギュレーションもあり極めて敷居の低いレースで、毎回老若男女がその参戦を楽しんでいる。いわゆる足グルマといわれるような車両を中古車市場で見つけ出しては数万円で購入してきてそのまま参戦。多少ぶつけてもOK、転倒してしまったら車両入替! さらにレンタル車両も用意されているのが魅力だ。今季は全6戦が予定されているが、当初3月に予定されていた開幕戦がこのコロナ禍で延期され、4月の第2戦のあととなる5月8日(日)に開催となった。

長年のファンもいるほどの伝統あるレース

 すでに30年ほど前からスタートしているこのシリーズは、一部の愛好家を中心に毎年開催されているダートトライアルの耐久レースである。ダートトライアルという競技は、通称ダートラと呼ばれているが、不整地路面のサーキットで走行タイムを競い合う競技である。これを多くの参加者で楽しめるように、と耐久レース化したものである。

 現在の開催場所は、福井県南越前町にあるオートパーク今庄。2009年にオープンした全日本ダートトライアル選手権なども行われる、未舗装路のダートトライアル専用のサーキット。タイムトライアルではなく、一斉に走行する方式となる。予選などもなく、前戦のリザルトなどからグリッドが決められ、ローリングスタートでレースは進行する。

初心者から全日本経験者までさまざまな参加者が楽しむ

 競技参加者は、まったくレース経験のない若者も多く、それでいて元全日本選手権参戦経験者などもおり、じつに幅の広いさまざまな顔ぶれとなる。ちなみに競技は、ヘルメットに長袖長ズボン、グローブ着用というレギュレーションであるので、レーシングスーツを購入する必要はない。そういった意味でも気軽に始められるシリーズである。

 各チーム4名から多いところで8名というドライバー構成。ドライバーの年齢制限はないため、親の承諾と、親もしくは親代わりとなる人との出走なら未成年でも参戦が可能だ(免許の所有は不問)。耐久レースでは予選セッションはないものの、代わりにコースを歩いて下見する完熟歩行、そして完熟走行の時間も用意されるので、そのタイミングで初心者が練習するタイミングも取れる。

排気量が増えればピットインの階数が増えるというルール

 参戦する車両は、レギュレーションとして排気量が大きくなると最低ピット回数も増えるということで均衡化が図られている。ピット作業では、ドライバー交替と、フロントウインドウの清掃やラジエター前部の泥落としなどの作業が発生するが、1回のピット滞在は最低2分となる。レギュレーション上最も規定ピット回数が少ないのは、排気量1000ccまでの5回、最大では排気量1501ccから1600ccまでの8回となる。また、FF車に対して不利なFR車には改造可能範囲を広げるなど駆動方式でも均衡化が図られている。

 このシリーズでは、4点式以上のシートベルトが必要だが、ロールケージは推奨ということで、装着の義務はない。ということでリーズナブルな中古車を見つけてきて参戦するというチームが多い。それもあってAT車も多く、実際にその参戦車両を見てみるとトヨタ・ヴィッツやファンカーゴ、トヨタ・パッソ、そしてスズキ・スイフトやマツダ・ロードスター、マツダ・デミオ、マツダ・ベリーサといった車両が参戦しているのがわかる。

 参戦車両はE(エキスパートクラス)、S(スポーティングクラス)、C(チャレンジクラス)の3つにクラス分けなされているが、それは過去のチームの成績を基にしたもの。車両に貼られるゼッケンが、Eは赤、Sは白、Cは黄色と分けられている。

散水車の導入がレース戦略を左右する

 2022年のダート4時間耐久シリーズ開幕戦は、午前10時過ぎにローリングスタートで始まった。今回も好天に恵まれレーススタート直前とレース中に4度散水車が導入された。散水車がコースに入る際は、競技車両は一旦退避路で待機することとなる。散水車導入直前にピットに戻った場合はピット回数のカウントがなされ、赤旗が解除されるまでコースには戻れないが、散水車がコース全域に水を撒くのに時間を要することもあって、通常のピット作業以上の作業時間が取れる。しかし散水車導入中のピットインはピット回数のカウントに含まれないので、この散水車導入の見極めも重要で、これをいかに有効に活用するかが重要な作戦のひとつとなる。

 ただ、今回はいつもよりレースはヒートアップ。レース経過1時間半を前にトップを走行していた車両が横転。さらにレースも折り返しを過ぎた終盤。4度目の散水車が入った直後に、車両の転倒が相次ぎ、レースは最終盤で赤旗中にレース時間を超過したため、ペースカー先導のままチェッカーとなった。

 通常ならレース最終盤で、最後の追い上げをするためにエースドライバーを投入したり、終盤で規定のピット回数の消化などといった作戦を取っていたチームは、それらの作戦ができないままにレースを終えることになってしまう。

 長年このシリーズ発足当初から長年参戦を続けている「#21 ONTA・S(スポーティクラス)」が172周を走行して総合優勝となった。総合2位には「#19 K‘s河合塾同好改(エキスパートクラス)」、そして3位には「#51 エイドリアン1号車(チャレンジクラス)」が入った。このダート耐久シリーズ、続くシリーズ第3戦は、6月19日(日)に、同じオートパーク今庄で開催となる。

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