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キャンプに来てテントで寝ないってアリ? いま急増する車中泊キャンプの納得せざるを得ない理由

キャンプ女子

脱テントで幸せが膨らむ車中泊キャンプが注目される理由とは

 近年のキャンプブームを受け、休日のキャンプ場は大盛況を呈しています。キャンプ人口の増加は喜ばしいことではあるものの、「マナーの低下」や「ゴミ問題」など、数多くの弊害を生んでいるのも否めない事実。また、キャンプ人口が増えたことにより「グランピング」や「車中泊」など、スタイルの多様化も近代キャンプの大きな特徴だと言えるでしょう。最近はテントを張らずにクルマの中で宿泊をするお手軽な「車中泊」が注目を集め、テントが主役を務めるキャンプの常識が揺らぎ始めています。

キャンプの形態にも変化か? オートキャンプ場で車中泊族が急増中

 車中泊はキャンプブームを支える大きな要因となり、数多くの自動車メーカーが純正オプションとして車中泊用のキットを用意。なかには、車中泊ありきで開発の段階から自動車を設計しているメーカーも登場し始めています。従来のキャンパーからすれば「キャンプ場に来たのにクルマに泊まるのはもったいない」、「テントに泊まらないのはキャンプじゃない」と言う意見もあるようですが、これも時代のニーズであることは間違いありません。

 一方で車中泊を楽しむ人たちは「防犯を考えれば車中泊は安心」、「テントは野生動物に襲われそうで怖い」、「テント泊は設営や撤収が面倒くさい」などと考えているようです。また、最近のミニバンやSUVブームに後押しされ、クルマ自体もアウトドアでの使い勝手を高めるべく進化を遂げ、フルフラット化が可能なシートレイアウトやラゲッジルームの容量拡大など、車中泊を楽しむ環境がブームを後押ししているのです。

キャンプの醍醐味「テント泊」を捨てることは決して間違いじゃない

 色々なメディアで「テント泊vs車中泊」のような図式が取り上げられていますが、正直な話「どちらが正解」という答えが出るものではありません。キャンプは自分が好きなスタイルで楽しめば良いのであって、他人にスタイルを押し付けられるいわれはありません。

 個人的な意見としては「日本酒よりもビールが好き」、「ウイスキーよりも日本酒が好き」とお酒の好みが分かれても「酒好き」が肩を並べて仲良く居酒屋でワイワイと楽しんでいるように、テント泊であろうと車中泊であろうと「キャンプが好き」な同志として肩を並べて楽しめば良いだけのこと。キャンプが好きという共通点を分かち合い、それぞれのスタイルを尊重する姿勢がこれからのキャンプには必要になりそうです。

防犯や時短につながる車中泊はもはや究極のキャンプスタイル

 日本らしいキャンプスタイルと言える車中泊ですが、アメリカや欧州諸国のように長期間のバカンスや休暇が取れるのであれば、テントを張ってゆっくりとキャンプを楽しむのも悪くありません。しかし、多忙を極める日本の企業戦士たちは、土日を使った一泊二日でキャンプに臨むことが多く、設営や撤収に時間をかけたくないのが正直な気持ち。急ぎ足のキャンプでは、車中泊を選ぶことで時間の短縮、設営の簡単さが大きな味方となり、急速に普及したことは間違いありません。

 女性のキャンパーは防犯という部分でも施錠ができる車中泊は身を守るための安心感も大きく、キャンプを気軽に楽しむための選択肢になっているようです。最近ではキャンプ場での盗難事件が多発し、目を離した隙にテントが荒らされ、高価なキャンプ用品が盗まれることも増えています。車中泊であれば大切なキャンプ用品を入れ、しっかりと施錠をすることで盗難を防止できるのも大きなメリットです。キャンプの人気が高まり、キャンパーの分母が増えることで歓迎できない輩が現れ始めているのが悲しい現実。自衛のために車中泊を行う人も少なくないと言うことです。

 また、テントの設営は複雑そうでビギナーには敷居が高く感じてしまうのも事実。テントの設営に手間取るのであれば、車中泊はキャンプの入門編として受け入れやすいのかもしれません。テントを選ぼうと思ってもドーム、パップ、ワンポール、ソロ、ツールームなど種類が複雑すぎてどれを選んだら良いのか分からず、さらには耐水圧(性)問題やガイロープの結び方、ペグ打ち、フライシートやグランドシートの必要性など、初心者には理解できないことばかり。アウトドアショップで見積りを取れば目玉が飛び出そうな価格になり、クルマをテント代わりにできる車中泊の人気が高くなるのは当然のことかもしれません。

メリットが大きい車中泊キャンプ人気はまだまだ続きそうだ

 ちなみに車中泊のルーツを遡ればキャンピングカーに辿り着きます。日本がセカンドカーとしてキャンピングカーを所有できる国であれば良いのでしょうが、駐車場代や保険、車検、税金など莫大な維持費が課せられるわが国では、日常と非日常(キャンプ)を一台のクルマで賄わなければならないのが、悲しい現実です。本来ならキャブコンやバンコンなどのキャンピングカーが欲しいところですが、現実は軽ワンボックスやミニバンが最大限の譲歩になっているのです。

 しかし、キャンプ場で車中泊を楽しんでいる人たちの多くは、軽ワンボックスやミニバンでも日本人らしい器用さで快適な空間に作り変えているのが素晴らしいところ。限られた室内空間を寝台やリビングルームとして工夫する知恵が車中泊をより楽しくさせているのかもしれません。

 キャンプ場に到着したらタープを張るだけでサイトが完成する車中泊。安(安全)・近(身近)・短(時短)ではありませんが、テントの代わりにクルマを使うことで手軽に楽しめるキャンプスタイルは今後も大きなムーブメントとして人気が高まっていくことでしょう。

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