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タイムスリップしたかのような優雅すぎる趣味! クラシックカー・ピクニックに憧れしかない

ランチボックスを持ってアウトドアを楽しむピクニック

埼玉県の秩父地域で開催された「皆野サンデーピクニック」

「月と六ペンス」などで知られるイギリスの文豪、サマセット・モームは、「ピクニック・ランチほど楽しいものはない」と語っている。アリなど虫たちに好まれようとも、自然のなかで陽射しを受けて過ごす、気ままなランチには牧歌的な心地よさがある。

デイキャンプよりお手軽なカー・ピクニック

 ピクニックは、18世紀に本格的に貴族のたしなみとして行われるようになったが、モータリゼーションの波とともに、1920年代には貴族だけでなく富裕層にもその楽しみは広がり、行動範囲や様式も変化していく。そして1950年代から自動車のさらなる大衆化が進み、日本でも60年代にマイカー時代を迎えることとなり、クルマを使ってのピクニックはわが国でもレジャーとして多くの人が楽しむようになった。

 そうした黄金期のクルマとモーターサイクルの愛好家によって、5月22日に埼玉県秩父エリアの皆野町にて「皆野サンデーピクニック」が行われた。

クラシックカーを通じた地域おこしの一環

 皆野町では昨年度より「地域おこし活動」の一環として、クラシックカーの展示ミーティングや、「コマ図」と呼ばれるルートマップの指示にクイズなどを加えゲーム性を持たせたラリーイベントなど、クラシックカーをテーマにしたイベントを積極的に行っている。1960年代には地場産業である養蚕から自動車部品製造へと転業した工場も多い地域であり、じつはモータリゼーションの波との関わり深い歴史もあるのだ。

 そうしたクルマを使った地域おこしを行ってきた皆野町であるが、今回は少し趣きを変えてのアプローチ。のんびりとゆったりした時間を過ごせる「ピクニック」がテーマだ。

のどかな旧小学校に40台のクラシックカーが集合

 皆野町の旧日野沢小学校は、県道沿いを流れる日野沢川を渡ったところに校舎があったレイアウト。現在は「ふれあい広場」として、かつては童児たちが休み時間を過ごした川原も散策できる、町の多目的広場となっている。

「かつて人々が集い笑顔があふれていた場所に再び笑顔を」というテーマで開催された「皆野サンデーピクニック」に、遠くは愛媛県から1966年のブルーバード、最古は1928年のオースティン・セブンなど、約40台が集まった。

クルマと同年代のライフスタイルを粋に演出

 参加者たちも、クルマ+ライフスタイルのイベントという趣旨をしっかりと理解し、愛車が現役時代だったころのファッションを楽しみ、年代に合ったピクニックアイテムを持参し、どこを切り取っても「映える」サイトを演出。かといって肩肘を張ったものではなく、ライフスタイルのひとつとしてクラシックカーと普段から共存している様は、それぞれの笑顔が物語っていた。

かわいい愛車と過ごすゆったりした時間

 旧小学校の卒業生である石木戸純治さんも現行アバルトで参加した。在りし日の小学校での行事などの写真を展示し、山間部の生活や懐かしいエピソードを披露。参加者も熱心に耳を傾けていた。

 また秩父地域を中心に活動している「ミルクオアダーク」の演奏に加え、自身も大のクルマ好きとして知られる「ペトロールズ」&「東京事変」のギタリスト長岡亮介さんも今回のイベントの趣旨に賛同し出演。たまたま訪れた公園利用者も公共の広場での思いがけないライブに参加者たちと聴き入る。演奏後も参加者たちとクルマ談義に花を咲かせていた。

 用意されたランチボックスも、「ビブグルマン」の評価を受けているルノー4乗りの料理人によるサンドイッチは、自家製酵母を使ったパンが人気の地元皆野の「COCO」のバゲットを使用したもので、こちらでもみな大満足。その後も紅茶専門店ピュア・ティップスさんの協賛によるチャイのほか、エキュマアール鎌倉さんからのフィナンシェが全員に配られアフタヌーンティーを楽しんだ。

 楽しい時間も風が冷たくなりはじめた夕刻に散会となったが、「ヒストリックカーの展示イベント」にひとつの要素を追加した誰もが楽しめる1日は、これからのクルマイベントのひとつの指針となるような気がした皆野サンデーピクニックであった。画像ギャラリーに写真を多数アップしてあるので、そちらをゆっくりお楽しみいただきたい。

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