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80万円の日産「NV200バネット」や「キャラバン」で車中泊キャンプを満喫! 一瞬でどハマリしたキャンプ好きが語るバンライフの魅力

2年半お世話になったNV200バネット

借りたハイエースでバンライフ(車中泊)に開眼

 かつて私にとってキャンプといえば、普段乗っている乗用車に荷物を満載して行くものでした。それでも不自由は感じていませんでしたし、なによりテントという居住空間をコツコツと自然の中で構築していくのが楽しみで、毎週末が待ち遠しくて仕方ありませんでした。

 そんなある日のこと。たまたまトヨタ・ハイエースを借りてキャンプに出かけてしまったおかげで、別の世界への扉がガラガラガラっと開いてしまったのです。それまで毎回キャンプの行きも帰りも、乗用車のラゲッジやルーフキャリアにどうにかアイテムを格納するというパズルに知力も時間も割いていたのですが、ハイエースでは何も考えずにザクザク積みこんでも荷室はまだ余裕たっぷり。また自然の中で四方を鉄の壁に囲まれたスペースで寝られる安心感と、それによって省ける手間という魅力が、テントにまつわるすべての楽しさを上まわってしまったのです。到着して早々に最低限の椅子など並べてしまえば、あとはビールをプシュッと開けてリラックスするだけなのですから。

 この快感を一度味わってしまうと自分はもうダメなタイプなのだ……と私は悟り、早々にバンの購入を検討し始めました。もちろん数多あるミニバンでも差し支えないのでしょうが、なによりも卓越した収容力と、道具然としたたくましさを持つ商用バン以外、まったく考えられなくなったのです。

 しかし正直ちょっとハードルが高いお買い物に思えたため、即ハイエース購入というルートを私は選択しませんでした。盗難リスクの高さもありますし、キャンプのみに用いる趣味車としての増車ではなく1200ccの乗用車との入れ替えとなるため、ハイエースではボディサイズや取り回しの上でさすがに不安があったのです。

中古のNV200バネットを80万円でゲット

 そこで現実的な選択肢として浮上したのが日産の「NV200バネット」。中古車物件をチェックしてみると期待したほど安くはなかったのですが、よくよく見てみると完全お仕事仕様の簡素な「DX」や「VX」ほど高めな値段が付けられており、乗用のワゴンに準じた装備を持つ「GX」や「GXプレミアム」となると案外お買い得な物件がちらほら点在する事に気がついたのです。

 営業車の代替や増車というニーズに対しては、GXでは敬遠されてしまい引き合いがあまりない、という事情もありそうです。 車中泊で必須となるスライドサイドウインドウの装着率も高く、また後席が長距離移動や普段のファミリーユースにも耐えうる分割可倒式のヘッドレスト付シートとなっているのも、「マツダ・ボンゴ」や「トヨタ・タウンエース」のバンにはない最大のポイント。まさにうってつけの1台だったのです。

 そんなGXの5年落ち・走行10万kmの禁煙車で、車両本体68万円・車検丸1年付けた乗り出し価格は80万円という物件がヒット。10万kmといってもバンにとってはまだまだ余裕ですし、これが5万km以下となると倍近い値段になるため、距離はあまりこだわらず大目に見ることにしました。さっそく契約を済ませましたが、この時点でハイエースでのキャンプの安楽さに衝撃を受けてから10日も経っておりませんでしたので、私のバンライフはそんな勢いまかせで始まったのです。

 ちなみに商用車の中古車物件で喫煙車の場合は、ヤニ臭さが半端ない個体も多いため要注意。たとえご自身が喫煙者であっても耐えられないほどですので、現車確認は必須です。

毎週快適な車中泊キャンプをエンジョイ

 そんなこんなでNV200で日常的なファミリーカーとしても賄うバンライフを始めてみたわけですが、それで困ったことは、じつのところ皆無。車両感覚も把握しやすく、そもそもコンパクトなため取り回しにはまったく不自由しません。手動のスライドドアも子どもが乗り降りするうえで心配でしたが、実際にはそれほど差し支えず、鉄板むきだしの荷室スペースも磁石でシェード類やフックなどを張り付けられるため非常に便利。純正から1インチアップしたアルミホイールとホワイトレターのオールテレーンタイヤを履かせることにより、商用車の実用的すぎる雰囲気の払拭にも成功しました。

 室内には、2列目を倒した際にフラットとなり、またテーブルにも使えるよう採寸したボードを荷室部分に追加。4ナンバーの商用バンゆえ車検は年に1回なため、常時積んでいたキャンプ道具を降ろすのが大変でしたが、荷室に後付けしたボードはそのままでも問題ありませんでした。さらに言うとその費用は2年車検の乗用車1回分の半額以下。自動車税も年額1万6000円で済みますので、維持費はコンパクトカーよりも安く済むほど。燃費は決して良いほうではありませんでしたが、ミニバンのガソリン車と同程度と考えれば納得できる範囲内でしたので、無理なく毎週キャンプに出かけられるという非常に充実したバンライフを送っておりました。

子どもの成長とともにより大きな空間が欲しくなる

 しかし、そんななかふたつの問題点が浮上してきたのです。問題点その1は子どもの成長。実際のところ子どもが小学校低学年から中学年になってくると、約1900mmの長さはともかく、実質的な室内幅が約1200mmほどのNV200のスペースでは家族でゆっくり寝るには不十分になってきてしまったのです。

 問題点その2は、車内で横になっている人とテーブルに座っている人がそれぞれいる、という状況を両立できない物足りなさ。前席以降の荷室長が1900mmほどのNV200では、シートをフラットにすると車内空間はそれだけでおしまいになってしまうため、到着後はあくまで車内はフラットにして寝そべる場所、ゆっくり座って食事やお酒を楽しむのは車外、という棲み分けがどうしても強いられてしまうのです。もちろんキャンプに来たわけですから屋外で過ごすのは当たり前なのですが、車内でも天候を気にすることなくくつろげる空間があれば……というさらなる欲が湧いてしまったのです。

 子どもの成長にともなう就寝スペースの都合と、さらにイージーにリラックスしたい、というふたつの理由によって、取り回しや維持費の面で最高だったNV200でのおよそ2年に及ぶバンライフを卒業し、新たな道へと進む決意を固めたのでした。

じつはリセールバリューも優秀なNV200

 そんな私が選んだ進路は「常設2段ベッドを装備したキャンピングカーへの乗り換え」という道でした。キャラバンやハイエースのロングボディのハイルーフ車をベースに常設2段ベッドを備えた仕様であれば、フロアの右半分に上下2段のベッド、通路を挟んで左半分にソファとテーブルというレイアウトがとれるため、私の望みが叶ってしまうのです。もちろんソファを倒せばゆっくりと寝られるスペースがさらに生まれますし、ベッドと運転席の間にはそれでもなお1300mmほどのスペースが残る、というのも大きな魅力です。

 従来のフラットな就寝スペースの上にもう1段設ける、というスタイルの2段ベッドは頑張ればNV200でも可能なのですが、車内を一斉にお片付けしないと就寝モードにできません。さらに、各階の高さがカプセルホテル以下となってしまうのも厳しいところですので、やはり常設2段ベットという魅力にはかないません。

 とはいえキャンピングカーへの乗り換えで、もっとも気になるのは車両価格も含めた経済的な部分ですが、しかしそこでもバンライフの素晴らしい恩恵が待ち受けておりました。NV200の売却にあたっては、数社が続々とやってきて査定する、というシステムにあえて申し込んでみたのですが、2年ほど乗って傷も距離も増えたにもかかわらず、ついた値段はなんと購入時の本体価格からわずか3万円落ちただけ。折からの半導体不足やコロナ禍の影響により中古車価格がやや高騰気味になっているとはいえ、この手堅さは驚くばかりです。

 その間の維持費も自動車税や車検費用も安く済んでいますので、ミニバンのような3列シートさえ望まなければ、NV200のGXは非常におすすめできます。もちろん勇気を出して最初からハイエースを選択していても、手放す際はさらに堅調なリセールバリューによって全て救われるでしょう。

 ただしこの査定額はすぐノーマルの状態に戻せる程度に手を入れていたおかげで出た金額でして、内装のパネルに穴を開けるレベルでガッツリ手を入れてしまった場合は、それが大きなマイナスとして反映されてしまう可能性が高いことも覚えておいてください。

 このリセールバリューの高さのおかげで次車への乗り換えというハードルも非常に低く飛び越えることができました。将来的にキャンピングカーを考えている方であれば、まずは手の届きやすいバンライフを経由してみるのも大いにお勧めできます。決して無駄な回り道にはならないでしょう。

キャンピングカーも意外なほどハードルは低かった

 結果的に私はキャラバンベースの常設2段ベッド完備の中古キャンピングカーに乗り換えたのですが、そのお値段は新車の軽自動車よりも安いほど。全幅はノーマルの1695mmにサイドタープ分を足した1710mmですし、アイポイントが非常に高いおかげで狭い道でもそれほど難儀しません。難点らしい難点といえば、4990mmの全長よりむしろ2330mmの全高で、駐車場の高さ制限によって立ち寄る場所に縛りが出てしまうくらいです。

 燃費は6〜7km/L程度ではありますが、このクルマでできることを考えればあまり苦には感じません。また8ナンバーということで任意保険料の高さも懸念していましたが、無理だと思われていたネット通販系でも保険会社によっては加入が可能。しかもその金額は商用車ゆえにやや割高だったNV200の年額保険料より、なんと1万円も安くなったほど。

 バンライフもキャンピングカーも実際に所有する上でのハードルはそう高くはありませんので、SNSで眺めているだけでは本当にもったいない世界です。お気に入りの1台を見つけてぜひ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

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