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昭和にヒットした「ドアガード」は日本のガラパゴス装備だった!? 80年代に流行した理由とは

ドアのフチを守るのが目的のアクセサリー

クローム装飾したドアガード

80年代日本で大ヒットしたアクセサリーパーツ

 80年代に日本車のアクセサリーとして大ヒットした「ドアガード」や「ドアエッジモール」というアイテム。現在でもディーラーオプションとして用意されているクルマもある。おそらく日本で独自の進化を遂げたと思われるこのアイテムはどうして存在するのだろうか? そしてどんな役目を果たしていたのか?

「ドアガード」「ドアエッジガード」「ドアプロテクター」など呼び名は様々

「ドアガード」というアイテムをご存知だろうか? クルマのドアエッジに貼り付けたり、ドア開口部にU字形状のモールを挟み込むことで、ドアエッジを傷から守るだけでなくドレスアップも兼ねたアイテムだ。ドアに挟み込むタイプは、現在でもネット通販などで「ドアエッジガード」、「ドアエッジモール」、「ドアプロテクター」といった名称で樹脂製の汎用品が1台分のロールで販売されている。最近では日陰の存在となっているが、かつてこのドアエッジモールが驚くほどポピュラーだった時代があったのだ。

アメリカでは異なる手法でドアをプロテクトしていた

 アメリカでは、似たような用途のアクセサリーとして「ドアモール」、「ドアサイドモール」がポピュラーだった。純正にモールの設定がない車種にボディモールを追加するもので、これはドアだけでなくボディ側面をどこかにこすったり、ボディに何かを立てかけた際に、ボディの塗装面を傷めないためのものだ。各自動車メーカーはオプションやアクセサリーとしてドアモールを設定している場合も多く、またドレスアップアイテムとしての側面もあり、アメリカの一般的なカーショップでも汎用品(長さは自分でカットする)が販売されている。

狭い日本だからこそ発展したドアガード

 一方の日本では事情が異なるため独自の進化を遂げている。そもそもボディ側面に樹脂のモールが設定されている車種が多いうえに、日本ではボディに物を立てかけないため、社外のドアモールを装着するカルチャーはあまり発展しなかった。代わりにポピュラーとなったのが、ドアガードだ。こちらはドア全体ではなくドアエッジを中心にプロテクトする製品が多く、ドアを開閉する際に壁に当ててドアエッジの塗装が剥がれるのを防ぐという、駐車場の狭い日本に適応したアイテムだ。

ドレスアップの定番アイテムだった時代もあった

 このドアガードは文字どおりドアエッジに挟み込むだけと装着も簡単なうえに、日本の環境にマッチしていたたため、日本でのみ発展を遂げることになる。70年代にはすでにドアガードが存在していたようだが、80年代にはドレスアップ目的も兼ねてクローム装飾されたものがポピュラーとなり、ディーラーでも純正オプションアクセサリーとして設定されるようになる。とくに白や黒のボディカラーが多く売れた80年代から90年代にかけては多くの車両がドアエッジモールを装着しており、日常の風景に溶け込んでいた。

衰退したものの今でも細々と販売中

 その後は徐々に姿を消し始め、2000年ごろになるとあまり見かけなくなってしまう。これはクルマ自体が豪華装備となり、純正のクローム加飾も一般的になってきたことも理由に挙げられるが、単純に流行の終焉が大きな理由であると思われる。

 ちなみに今でもディーラーオプションに設定されているクルマもあり、カー用品店などではドアエッジモールが販売されているため、完全に廃れたわけではなく、自宅駐車スペースが狭いユーザーなどには根強い人気を誇っているニッチなアイテムなのだ。

 

 

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