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「パジェロ」や「エクストレイル」にハイパーモデルがあった!? モータースポーツ直系SUVのハートとは

三菱パジェロエボリューションのフロントスタイル

280馬力を軽々と発揮する懐かしのハイパーSUV3選+α

 SUVは大きくて重く、鈍重なクルマ……そんな先入観があるなら、いますぐ改めるべきだ。例えば新車で購入できる(納期遅れの問題もあるが……)国産SUVのなかで、ピカイチに速いのがBEV(バッテリーEV=電気自動車)の日産アリアだ。最高出力394ps、0-100km/h加速は5.1秒。この数値はほとんどスポーツカーのようなポテンシャルを持ち合わせていることを意味する。

 さらにマツダ最新のCX-60 PHEV、トヨタRAV4 PHVもかなりのハイパワーぶりを誇る。電動車ならではのアクセルを踏んだ瞬間からトルクが立ち上がる動力性能は、過激な速さではないもののスムース至極に速度を上げていくバカッ速の持ち主と言っていい。だが、過去にはガソリンエンジンで血の気が引くような加速力が自慢の強者SUVが存在した。懐かしさとともに3台のハイパーSUVを振り返りたい。

パリダカマシン譲りの大馬力&走破性が自慢
「三菱パジェロ エボリューション」

 その代表格が国産車の280ps自主規制の最中、頂点を極めた三菱パジェロ エボリューション(1997年発売)だ。パワーユニットは3.5L V6を搭載し、最高出力280ps/最大トルク35.5kg-mを発揮。トランスミッションは5速ATまたは5速MTを選ぶことができた。レカロのセミバケットシートを標準装備するほか、ボディ、足まわりも強化され、それはサスペンションやアクスル構造の変更、専用設計された1ピース構造の16インチアルミホイールにまで及んでいた。まさにパリダカなどの過酷なラリーレイドで培われたスペシャルモデルに相応しい高性能ぶりだった。

巨大なインタークーラーをフロントに搭載!
「日産エクストレイルGT」

 280psと言えば、日産エクストレイルGT(2001年発売)も、クロスオーバーモデルとして、当時頂点に登りつめた1台だ。2000年代はエクストレイルが絶大なる人気を誇っていた時代で、280ps自主規制の上限となる最高出力280ps/6400rpm、最大トルク31.5kg-m/3200rpmを発揮する2Lターボエンジンを搭載。ボンネットの下に収まるインタークーラーは、当時、GT-Rに次ぐ巨大なものだったと言われていたほどで、無論、ブレーキやサスペンションもハイパワーに合わせて専用パーツが奢られた。しかも速さだけでなく走破性にも凄みを見せたエクストレイルだったのである。

300台限定のSTIコンプリートカー
「フォレスターtS(SJ型)」

 2010年代にはSJ型スバル・フォレスターの一部改良に合わせて登場したフォレスターtS(2014年11月発売)がある。tSとはチューンドバイSTI(スバルテクニカインターナショナル)の意味で、スバルのモータースポーツの技術力と経験値を市販車にフィードバックしたマニア垂涎のモデルだった。このフォレスターtSは300台の限定車で、最高出力280ps/最大トルク35.7kg-mのスペックを誇り、専用スピードメーターは260km/hスケールとなっていた。

 また、ドライブモードのSI-DRIVEのS#モードを専用化したほか、ブレンボ製ブレーキキャリパー(フロント4ピストン、リヤ2ピストン)やBBS製19インチ鍛造アルミホイール、STI製フロント&リヤアンダースポイラー、そして足元は専用チューニングサスペンションと245/45R19サイズのBSトランザER33で武装されていた。単純に馬力&トルクを増強したのではなく、STIのコンプリートカーとしての完成度を誇ったスペシャルなフォレスターだった。

ニスモ仕様のコンパクトなハイパーSUVも!

 このほかにも214psとはいえ専用化されたオールモード4×4-i、トルクベクタリングコントロール、真紅のブレーキキャリパー、8速CVT、18インチタイヤなどが奢られた日産ジューク16GT FOURベースのジュークNISMO RS(2014年発売)なども、ハイパーSUVとして注目を浴びていた。

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 並みのスポーティカーがブチ抜かれるほどの実力を持つ国産激速SUVは、いまでも中古車で探すことが可能だ(経年数が経つ個体はコンディションを要チェック)。流通台数は極めて少ないものの、現在の電動化に合わせた新車価格高騰の時代からすれば、性能対価格という点では、比較的コストパフォーマンスが高いと言えそうだ。

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