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「バンライフ」をスクールバスで! 元大工職人が仕上げたログハウスのような車内とは

アメリカのスクールバスをバンライフ仕様にカスタマイズ

バンライフを実践するスクールバス

 最近よく耳するようになった「バンライフ」という言葉。これは広大な土地を持つアメリカ発祥のライフスタイルのひとつで、定住生活から抜け出して、バンタイプのクルマを改良し、生活に必要な道具を積み込み、自由で冒険心に満ち溢れた放浪の旅を満喫するスタイルのことを指す。そこには、キャンピングカーやトレーラーハウスとは違った世界が広がっている。

元大工職人の細やかな作業

 バンライフの王道は、身近にある安価な商業用バンをベースに、自分のライフタイルに合わせたクルマに仕上げること。我々のよく知る車中泊仕様とは少し違っていて、一時的にベッドを展開して仮眠できるスペースを作るのではなく、クルマの中で寝泊まりしながら長距離を快適に過ごせることを前提に車内を大幅に改造する。

 最近の傾向は、まるでログハウスのような感覚で過ごせる天然木材を使った内装装飾を施すケースだ。木の温もりが雰囲気を高めてくれるだけでなく、車内の湿度調整にもひと役買っている。また、ベッドについては、簡易的な物ではなく、寝心地の良いマットレスを敷くケースもある。

 必要な快適装備を厳選し、バンという限られたスペースの中で自分なりに工夫しながら作り込むのもバンライフの楽しみ方。市販のキットなんて販売されていないので、必要な物すべてを自分で作って仕上げていくしかない。そんな手作りDIYを楽しむこともバンライフの魅力なっている。

 ここで紹介しているアメリカンスクールバスもバンライフを楽しむオーナーが製作した1台。その圧倒的なスケールの大きさに驚いてしまう。

 オーナーは、元大工職人の鈴木大地さんだ。以前から、好きな場所に移動して、好きな場所で寝ながら過ごす優雅で自由なバンライフの魅力に魅了されていて、これまでにもメルセデス・ベンツのトランスポーターなどをベースに、数多くの車両を作ってきたという。

 鈴木さんは20年以上も大工をやっていたこともあり、木材の扱いには慣れている。その腕前も確かで、木材の加工もお手の物。現在のようなキャンピングカーが流行る前から、自らの愛車をバンライフ車として仕上げていたそうだ。

 これまでに数多くの大小様々なバランライフ車を製作してきた経験を持ち、それらのバンをSNSに載せると、購入希望者や製作依頼をしてくれる人達が急増したという。そこで現在は、東京都足立区で「earth」というバンライフ専門工房を立ちあげ活動しているそうだ。

インパクト重視で選んだスクールバス

 アメリカンスクルールバスは、これまでのバンライフの概念を変える1台として製作したと言う。ベースはトラックでも良かったが、どうせ作るならインパクトがあるアメリカンスクールバスの方が面白いという理由から、バンライフ仕様として内装を作り込んだそうだ。

 ベースになっているスクールバスは1995年製。もちろん自走できる車両をアメリカで買い付けて日本に運んできた。よく、自走できないほど古くなったスクールバスをベースに、キッチンカーなどに仕上げるケースがあるが、earthの鈴木大地さんが手掛けるスクールバスはバンライフがコンセプトなので、このまま普通に走ることが出来きなければ意味がない。だから、しっかり公道を走れるようにナンバーも取得している。

 製作した中で苦労した点は、とにかく大きな車体ゆえに大量の木材の加工が必要だったこと。主にパイン材を使って内張はすべてウッドが貼られている。木材のあたたかみが感じられるよう張り方に工夫を加えて、包み込まれる感覚の内装処理を施している。

 冷蔵庫やシンクを装備し、冷暖房完備のスクールバスはその広さから言ってもまさに家と呼びたくなるほどだ。このサイズであれば、例えば移動式のカフェにもなるし、商談ルームや事務所としても使うことも可能だろう。

 はじまりはバンライフ、しかしその先にある豊な活用法を鈴木さんは我々に想像させ、見せてくれているような気がする。

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