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「トヨタ7」がお出迎え!「2000GT」や「マツダ787B」など「富士スピードウェイホテル」の博物館のラインアップがすごすぎました

伝説のグループ7マシン「トヨタ7ターボ」がお出迎え

富士モータースポーツミュージアム&ホテルがオープン

 富士スピードウェイの敷地内にホテルが建設される、という噂は数年前からレースファンの間で話題にのぼっていたようだが、その噂は事実だった。2022年10月7日、「富士スピードウェイホテル」が大々的にグランドオープン、しかもその1、2階は本格的な自動車博物館が設けられているという。

 そこでグランドオープンに先立って、われわれ報道陣向けにも一部が公開されたので、そのレポートをお届けしよう。

サーキット隣接と侮るなかれ、これはホンモノの高級ホテル

 富士スピードウェイホテルは、「アンバウンド コレクションby Hyatt」と名づけられたハイアットのコレクションブランドとしては日本第1号となるハイクラスホテル。トヨタ不動産が所有・経営し、ハイアット・グループによって運営されるという。

 富士スピードウェイ西ゲートにほど近い巨大な施設は、地上9階/地下1階建の宿泊棟、平屋建てで専用ガレージ付きのヴィラ、地上2階建てのウェルネス棟で構成され、客室数は宿泊棟115室/ヴィラ5室の計120室となる。

 地上4階から8階までを占めるホテル客室は、富士山と富士スピードウェイの間という好立地を生かして、全室が富士山ビューないしはサーキットビューとなる。とくにレースファンにとってのサーキットビューは、富士スピードウェイの最終コーナーが目の前に広がる極上の観客席となるに違いない。

 またエスカレーターで上る3階には、イタリアンレストランと鉄板焼き専門店も出店。それぞれ大小の個室も用意されているほか、1Fに設けられた大小の宴会場でパーティなどを開く際には、ホテル側の料理長を筆頭とするバンケットスタッフが対応するとのことである。

 さらに同じく3階のフロント正面に配された「テラス ショップ&カフェ」は、軽井沢を皮切りにこれまで数々のプロジェクトを手掛けてきた「MOTOTECA」が運営。富士スピードウェイの壮大なパノラマを眺めつつ、広大なテラスでコーヒーブレイクを楽しむことができるほか、カーマニアのみならずアウトドア愛好家にとっても楽しいアイテムをそろえたセレクトショップで、ショッピングも満喫できることになっている。

 いっぽうウェルネス棟では、小山町周辺では唯一という天然温泉を掘り当て、富士山を一望できる露天風呂つきのスパを設けたほか、サーキットを楽しむエンスーに同行されるパートナーには嬉しいであろう本格的なリラクゼーションスペースや、ナイトプールも楽しめる大型プール、あるいは24時間使用可能なジムなど、宿泊者が長時間逗留できる場所となっている。つまりは、すべてが本格的な高級リゾートホテルなのだ。

モータースポーツ130年の歴史が一堂に会する博物館

 富士スピードウェイホテルとともにオープンした「富士モータースポーツミュージアム」はホテル棟の1階と2階を占める壮大なもの。創成期から約130年にわたるモータースポーツの歴史を、トヨタ車のみならず、世界各国のレーシングカーの展示で追想できるようなレイアウトがなされている。

 伝説のグループ7マシン「トヨタ7ターボ」が真横に立てかけられたエントランスからミュージアムスペースに歩みを進めると、館内は1階/2階合わせて15のテーマに分かれており、巨大な支柱にテーマ番号とそれぞれのコーナーごとの解説が記されている。展示されるクルマは愛知県長久手市のトヨタ博物館から移送されたほか、国内の自動車メーカーや愛好家からレンタルされた車両(一部は公式レプリカ)もあるとのことである。

 19世紀末の「パンァー(パナール)エ・ルヴァッソール」から始まる1階は、創成期のモータースポーツや、欧米でのモータースポーツの発展を示す「スタッツ・ベアキャット」や「ブガッティT35B」を展示。

 そのかたわら、トヨタ自動車販売店の技術者たちの手で復元されたばかりの「トヨペット・レーサー」から始まる日本車コーナーは、往年の日本グランプリとして鈴鹿サーキットや富士スピードウェイを走った「日野コンテッサ900」や「トヨタ7」、「日産R382」が、豊富な写真とともに展示される。

 エレベーターで2階に上がると、まず正面にはイタリアのタルガ・フローリオで入賞歴もあるという「ポルシェ904/8」がお出迎え。そのあとはミッレ・ミリアやWRC選手権などの国際ラリーで戦ったマシンたちが展示される。

 また「ベントレー4 1/2リッター」で始まるル・マン24時間レースのコーナーでは、「マツダ787(レプリカながらサウンドエフェクトのサービス付き)」や「トヨタGT-One(TS020)」も展示。となりではトヨタ最後のF1マシン「TF109」や、国内のグラチャン選手権やグループAツーリングカーレース、GT選手権などで活躍したマシンたちにも再会できる。

 そして2階の最後を飾るテーマ「15」では「カーボンニュートラル実現に向けた新たな挑戦」と銘打ち、水素燃料やバイオフューエルを活用したGAZOOレーシングの活動を紹介して締めくくられている。こちらにはまだ展示車両はなく写真だけの構成だったが、遠からず「カローラH2コンセプト」あたりの姿が見られるかもしれない。

 オープン間際ということもあり、博物館としての「スピリット」のようなものはまだまだ薄い気もしたものの、規模・内容とも素晴らしいのは間違いのないところ。これからキュレーション担当者たちが企画展などを積極的に展開し、トヨタ博物館とは異なる個性を打ち出してくることを期待したい。

 ちなみに富士モーターミュージアムは、スピードウェイホテル宿泊者でなくとも観覧可能で、入場料は大人1名1800円(休祝日は2000円)。オンライン予約すれば200円の割引となるとのことである。

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