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日本発の「GRヤリス」や「WRX」のモンスターマシンが公道走行可能に!? 2023年は全日本ラリーの最高峰「JN1」クラスに注目

スバル「WRX」

久しぶりのWRC「ラリー・ジャパン」開催! 全日本ラリーも盛り上がる!

 2022年11月10日~13日に開催されるWRC第13戦の「ラリー・ジャパン」にはトヨタ、ヒョンデ(ヒュンダイ)、Mスポーツがハイブリッドシステムを搭載した「Rally1」を投入。各ワークスチームのオリジナルモデルが日本のワイディングで、どのようなパフォーマンスを見せるのか、その走りが注目されているが、2023年の全日本ラリー選手権では、日本発のオリジナルマシンを見ることができそうだ。

全日本ラリー選手権の最高峰が「JN1」クラス

 というのも、2023年の全日本ラリー選手権はテクニカルレギュレーションを一新する見込みで、最高峰の「JN1」クラスに関しては「FIA公認車両およびASNの公認車両または承認車両」が出場可能。つまり、FIA(Fédération Internationale de l’Automobile/国際自動車連盟)のR5規定モデルに加えて、ASN(AutoriteSportive Nationale/ナショナル・スポーツ・オーソリティー、各国を代表するモータースポーツ統括団体)公認&承認のオリジナルマシンも出走できるようになったのである。

 これまで全日本ラリー選手権の最高峰クラス「JN1」は、国内規定の「RJ」車両で争われてきた。主力モデルはスバル「WRX」、三菱「ランサーエボリューション」などの国産4WDターボで、2021年からはトヨタ「GRヤリス」も登場。RJ車両はロールケージなどの安全装備に加えて、ECUの変更やドグミッションの採用、ダンパーやブレーキの変更などさまざまな改良が行われていたものの、それでも「ナンバー付き車両」であるがゆえに、大幅な変更は行われていなかった。

2021年から解禁の「R5」マシンが席捲

 このJN1クラスに大変革が行われたのが、2021年のことだった。仮ナンバーを取得することでFIA公認車両も出走可能になり、これに合わせて「R5」規定モデルのシュコダ「ファビアR5」が登場した。

 ちなみに、R5規定とはFIAがプライベーターのために2000年代中盤に導入した車両規定で、当時のWRCの最高峰モデル、WRカーと同様に1600ccのターボエンジンが搭載され、駆動方式も4WDを採用。R5規定モデルにはプライスキャップが設定されていたことから、「WRカーの廉価モデル」と言われたが、それでもR規定の最高峰モデルとして世界各国のナショナル選手権やリージョナル選手権で採用されるようになり、シュコダ、シトロエン、フォルクスワーゲン、フォード、ヒョンデ、プジョーなどなど各メーカーもR5規定モデルをラインアップしていった。

 現在、R5規定は「Rally2」規定へと変更されたものの、プライベーターの最上位モデルとしてWRCのほか、世界各国のナショナル選手権で定着。遅ればせながら、前述のとおり、全日本ラリー選手権のJN1クラスでもR5/Rally2に門戸が解放されたのだが、やはり、純レーシングカーとして開発されているだけにマシンのパフォーマンスは高く、導入初年度となる2021年にはシュコダ・ファビアR5を駆る福永 修が3勝をマークした。

 さらに2022年は最低重量を増減する性能調整を導入していたが、それでもヘイッキ・コバライネンがシュコダ・ファビアR5を武器に計6勝をマークし、JN1クラスのチャンピオンに輝いている。

2023年から「安全タンクさえ装着すれば何をやってもOK」に?

 もはや、全日本ラリー選手権のJN1クラスは、R5/Rally2規定モデルを導入しない限り、タイトル争いでは勝てない状態となりつつある。だが、その状況を打開すべく、2023年はレギュレーションが一新される予定で、前述のとおり、仮ナンバーを取得したFIA公認車両に加えて、同じく仮ナンバーを取得したASNの公認車両または承認車両が出場できるようになる。

 FIA公認車両とはシュコダ・ファビアR5などのR5規定モデルおよびRally2規定モデルだが、ASNの公認車両または承認車両とはどのようなマシンなのか?

 ASNの公認車両とは、APRC(アジアパシフィックラリー選手権)などのリージョナル選手権に合わせて開発された「AP4」車両などが含まれており、かつてキャロッセが開発した「ヴィッツ4WD」や「C-HR」なども出場可能となる。

 AP4車両は足まわりの構造変更や材質置換による軽量化、レース専用ギヤボックスの採用など大幅な改造が可能となっているだけに、トヨタGRヤリスやスバルWRXをベースに、R5に匹敵するオリジナルのレーシングマシンを開発可能だ。レギュレーションの詳細はまだ明らかになっていないが、「安全タンクさえ装着すれば何をやってもOK」という話も伝わってきているだけに、日本発のモンスターマシンが登場する可能性が高い。スバルであれば、VAB型のパワートレインを組み込んだS4……のようなマシンが参戦してきても面白いだろう。

* * *

 当然、開発コストが増加するだけにJN1クラスに参戦してくるエントラントとしては、R5規定モデルの所有チームとトヨタのワークスチームであるトヨタGAZOOレーシング、あとはスバルのサポートを受けるアライモータースポーツとシムスレーシング、独自でAP4モデルを持つキャロッセのワークスチーム、クスコレーシングなど6台前後に留まりそうだが、それでもレギュレーションの一新にともない、事実上のプロクラスとして新たなステージへ進もうとしているだけに、2023年は全日本ラリー選手権のJN1クラスにも注目したい。

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