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【実録】スズキ「ジムニー」は最強の相棒だった! 2年半の森の開拓ライフで分かった「強み」と「弱点」をお教えします

ジムニーのイメージ

仲間もジムニー乗りが多い。アクセスする林道の狭さを考えるとランクルじゃ大きすぎるかも

山遊びを始めると同時に購入した

 昨今の「山を買いました」ブームに乗ったワケじゃないが、知人が所有する森の開拓をスタートさせてまもなく2年半。最初は立ち入ることすら難しかった雑木林を切り開いて、小さなログハウスを建てたりファイヤピットを作ったり、少しずつ快適かつ安全に過ごせるよう仕上げている。

 街から遠く離れた携帯電話も圏外の山奥で遊ぶため、相棒として手に入れたのが平成12年式のJB23型スズキ「ジムニー」だ。といっても冬や雨の日を除けば2WDでも問題なくたどり着けることができ、動けなくなっても3kmほど歩けば民家に助けを求めることが可能である。

なにかあったときの絶大な安心感がある

 ジムニーの走破性が必須な立地条件ではないため、実際に2WDのミニバンで通う仲間もいる。それなのに自分を含めジムニーが多い理由は、想定外の事態が起きたときの絶対的な安心感だ。

 開拓地までのアクセスは当然ながら未舗装の林道で、ほとんど人が訪れず整備されているとは言いがたい。轍が深い部分もあれば岩が剥き出しの場所もあり、おまけに土は堆積した落ち葉のせいで滑りやすい。資材を運んだトラックが空荷になると坂を登れなかったり、ぬかるみにハマって牽引してもらうことも過去にあった。ほかに誰かいれば別として、周囲にはクマやイノシシもおり、ひとりで人気のない林道を歩いて脱出するのはさすがに怖い。そんな万が一に備えての相棒がジムニーなのだ。

 無雪期なら正直いってタイヤすらノーマルで十分、40cmくらいの積雪も「4L」を使えば余裕でクリアできる。高い走破性がゆえの絶対的な安心感に加え、倒木をロープで片付けるような作業にも役立ち、自分のアウトドアには欠かせない存在といっていい。

愛車として使ってみて見えた難点も……

 もっともアウトドアのスタイルによっては難点もある。最大のウイークポイントは積載量が少ないこと。今はログハウスが完成し大半の荷物は置きっぱなしだが、以前は毎回キャンプ道具すべてと水のタンクをふたつ、さらにチェーンソーなど工具もジムニーで運んでいた。

 この状態で大人ふたりが移動するとなれば、後席の座面を外してフラットにしてもギリギリ。苦肉の策としてルーフにキャリアを装着したものの、リフトアップしたせいで積み下ろしが意外に面倒で、正直なところ有効活用しているとはいえない状況だ。

 まして大量に荷物を運ぶ必要がなくなってしまった今となっては、ロール式のサイドオーニングに交換したほうがいい気もする。ちなみに仲間のジムニーは背面のスペアタイヤを外し、道路交通法の基準に収まるサイズ(全長の1.1倍以内)のボックスを自作。泥だらけの長靴や灯油のタンクを積むにはピッタリで、ヒッチキャリアを使うより手軽で、安く済んだとのこと。

 自分がジムニーに乗り始めてまだ2年と日が浅いうえ、コロナ禍でキャンプ場が混雑しているとの話もあり、行き先は自分たちが開拓している森がほとんどだ。一般的なキャンプ場であれば、アクセス路が未舗装でも2WDのノーマル車で問題なし。積載量を考えれば、ジムニーではファミリーどころかふたりが限界じゃないかと思う。キャンプを軸とするアウトドアであればジムニーの必要性はなく、荷物をたくさん積めるミニバンやステーションワゴンでいいだろう。

燃費の悪さも気になるが非日常を味わえる貴重な存在

 もうひとつのウイークポイントは燃費の悪さだ。頑強な作りだけに重くなるのは致しかたなく、自分の愛車は街乗りで10km/Lに届くか届かないか。さらに高速道路を法定速度で巡航すると、9km/Lに落ちお世辞にもエコとは言いがたい。100km/hで5000rpm近く回っているためエンジン音もうるさく、普通の軽自動車と同じ感覚で長距離ドライブに行くと後悔する。

 ただし、自分のようにコンディションの悪い林道を走る機会が頻繁にあったり、ひとりまたはふたりで野営に近いシンプルなキャンプを楽しむのであれば、ほどよいサイズを含めジムニーほど頼りになる存在はないのも事実だろう。

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