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20代前半でスバル「インプレッサS201」を購入! 初代「インプレッサ」に乗るために整備士になったオーナーのリアルライフとは

憧れのGC8は夢に見た以上に魅力的な名車だった

 スバルのSTIコンプリートカーの最高峰として名高いSシリーズ。その記念すべき第一弾にして、いろんな意味で伝説となったS201は、今もなお、多くのスバリストを仰天させる幻の存在です。

 S209にも通じるSシリーズの元祖といえるS201は、特徴的なエアロフォルムが、当時はなかなか受け入れられず、販売台数は限定台数の300台に達していなかったと言われています。しかし、STIの手掛けたS201は「国産車の280馬力規制」がされているなか、初代インプレッサ(以下:GC8型/GF8型)で唯一の300psを発生するハイパフォーマンスモデルでした。

 初代インプレッサが110台以上集まったオフ会の現場でも、あの22Bや555レプリカ(ラリー仕様)など正統派の神車とはまったく異なる類いのオーラを放ち、GC8愛好家たちを唸らせました。

 数あるGC8のなかでもっともレア度が高いインプレッサS201。2019年、群馬県の榛名山で開催されたGC8オフ会の場で出会ったオーナーさんにお願いをして今回の取材が実現しました。

(初出:SUBARU MAGAZINE Vol.27)

GC8に乗るためにプロの整備士を目指した

 20歳代前半にしてS201のオーナーになったSさん。3代目(BH型)や4代目(BP型)のレガシィに乗っていた父の影響を強く受けてSUBARU車に興味を抱くようになり、WRCのビデオでGC8の存在を知って憧れ、いつか所有することを夢見るようになったそうです。

 Sさんが高校生になる頃にはすでにGC8は古くなっていたこともあり、長く乗るには整備の知識や技術が必要と考え、プロの整備士を目指すようになったというから驚きです。まだ見ぬ未来のGC8を末長く愛し続けるために整備士という職業を選択。整備学校へ通っているうちに、いつか修理やレストアで手がかかるようになっても乗り続けられそうだと、一定の手応えを感じるようになりました。

偶然出会えたS201にひと目惚れ

 そして免許を取得後、中古車屋さんで初めて触れたインプレッサ WRX STiバージョン6は思いのほか乗りやすく、クルマとしての基本性能の高さを実感。憧れが確信に変わります。そこでネットの中古車物件情報に出ていたS201を発見。

 WRCでの勇姿にも痺れたが、サーキットのレーシングカーイメージを追求したエアロパーツで武装した姿にも惹かれ、純粋にS201というクルマに惚れたとのこと。在庫する「スバルショップ佐和」の対応の良さに安心感が高まり、レストアや整備を依頼。2019年の6月に満を持して納車されました。

 S201の走りは想像以上に硬派で、エンジンは12万kmを走破した個体とは思えないほどパワフル。細部にお金がかけられた特別感など、Sシリーズの名は伊達ではなかったと期待以上の性能と質感にシビれ、同時にGC8というクルマそのものの素晴らしさもあらためて実感。子どものころから憧れていたGC8は夢に見た以上に魅力的で、まさに今は、S201という究極のGC8を所有する喜びを満喫する幸福を味わっている蜜月期間という感じです。

 整備士になったとはいえ、知識や経験はまだ乏しいとの自覚から、メンテナンスはGC8の整備経験が豊富なショップに依頼しているとのこと。その慎重さがあれば、この先もどんどん調子が良くなっていくことでしょう。悲運の希少車S201、今が一番輝いています!

限定車用のEJ20は新旧を問わず官能的!

 軽くて速いGC8の美点をさらに高めた動力性能は、オーナー自身が猛烈に気に入っているポイントだということも納得です。20年と13万kmを後にした個体とは思えないパワフルさに筆者もビビりました。さすが”S”のエンジンという感じですね! 

 GC8世代のEJ20はノーマルだと最終型でもターボラグの大きさが目立つものの、S201はターボラグの小ささも印象的で回転フィールも凄まじく官能的! WRX STI ファイナルエディション用など最終型ユニットももちろん良いですが、バランス取りされたEJ20の魅力は新旧を問わないものであると再認識させていただきました。

 オーナー的にはスパルタンでハードに感じられるという足まわりは、やはりコーナリングや高速域で真価を発揮するのでしょう。市街地では確かに硬め。それでもGC8としては接地感が高く、路面追従性もしっかりしている印象で、以前取材した走行距離の少ないS201の乗り味と変わらないと感じました。エンジンも車体も本来の性能と乗り味を損ねていないということで、現状を維持する値打ちもあるというものです。

 中身はともかく外装部品は替えが利かないことから、末長く乗り続けるために外装を痛めないことにもっとも気を遣うそうです。フロントバンパーなどは吊り下げの仕方が独特らしく、ぶつけたりしないでもヒビ割れしやすいなどの難点もあるとのこと。しかしSさんの愛と情熱、そして慎重さがあればきっと乗り越えられるでしょう。

 これからも素晴らしいSシリーズは誕生するでしょうが、商品企画面から考えてもS201のような仕様のクルマが再び出ることはあり得ないので、まさに奇跡の存在。どうかいつまでも至福のカーライフを満喫し続けてください。

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