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HKSが手がけた1000psを誇る究極のR35GT-R

HKSの技術を結集したフルチューンモデル

HKS R35GT-R「Racing Performer GT1000R」

HKSが開発した1000psを誇る究極のR35GT-Rのチューニングカー「GT1000R」に静岡県の富士スピードウェイで試乗した。「GT5700/GT600」を皮切りに、「GT800レーシングスペック」、「GT800PLUS」と着実に進化してきたパッケージは、ついに「GT1000R」に昇華。純正タービンの性能をフルに発揮するGT570/600に対し、GT800ではHKS内製のオリジナルタービンに加え、鍛造ピストン/コンロッド/カムシャフトを開発。いわゆるフルチューンの領域に到達している。

今回ステアリングを握ったHKSのR35は、同社オリジナルの4.1LキットにGT1000R専用タービンキットを装着。ブースト1.8kg/F時に最高出力=1000ps/最大トルク=120kg-mというスペックを誇る。
新品タイヤということもあり、まずはトレッドの皮むきと熱入れを兼ねて2周ほどウォームアップ走行。トランスミッションは、前号で紹介したHKSオリジナルの強化品に換装されている。クラッチの圧着力が高められているためか、Rモードでのシフトチェンジはノーマルよりも格段にダイレクトだ。加えて、100φフルストレートの直管マフラーが発する猛々しいサウンドも、軽く流しているだけでこのマシンがただ者ではないことをヒシヒシと伝えてくる。
タイヤが暖まったところで、恐る恐るアクセルを全開。最終コーナーを3速で立ち上がり、7500rpmでシフトアップを繰り返す。6速に入ったかと思うと、気付けばスピードメーターは310km/hに到達! しかし、意外にも恐怖心は襲ってこない。パナソニック・ブリッジを過ぎて270、280m辺りでブレーキングを開始すると、強烈な減速Gを伴って一気にスピードが削がれていく。

専用の鍛造削り出しピストン/コンロッド/クランクシャフトを採用する4.1Lキット。ボア×ストロークは95.5×95.5のスクエアタイプだ。GT1000R専用のタービンはHKS内製のGT II。サイズ的には従来のGT3040に近いという。GT800同様シンメトリーレイアウトを可能とする左右逆回転を踏襲するインタークーラーはGT1000R用の試作大型タイプ。トランスミッション用のDCTクーラーを追加しているが、エンジンオイルクーラーとラジエータは純正を使用。HKSオリジナルの強化トランスミッションは、クラッチASSY/ギヤ/シフトフォーク/シャフト類/センタープレートなどをすべて自社で独自開発。4.1Lキットでエンジン本体を強化。95.5φのボア径はそのままに、ストロークアップで排気量を上げている。HKSオリジナルのハイフローサージタンクには575インジェクターを6本追加しF-CON V PROで制御

富士のストレートで驚異の316km/hを計測

あまりにも挙動が安定しており、精神的な緊張感はあっけなく解かれた。
試乗前は「恐くて踏めないだろう」と予想していた。しかし、実際にはVDCオフでもコーナーからの立ち上がりでリヤが暴れることもない。
100kg-mを超えるトルクを横方向に逃がすことなく、トラクションへと変換できる。クルマ側にまったく不安要素はなく、初試乗でもアクセルを積極的に開けていくことができた。

走行後のサーキットアタックカウンターは「316km/h」の最高速を表示。気温30℃というコンディションと、1コーナーのブレーキングにマージンを取った走りであることを考えると、GT1000Rのポテンシャルがいかに凄まじいかがおわかりいただけると思う。
1000psと聞くと、エンジンのパワー特性に意識が奪われがちだ。しかし、実際にサーキットで乗ると、エンジンだけが速いという感覚はなく、信じられないほどバランスが取れている。
一度、最終コーナーを誤って4速で立ち上がってしまったのだが、それでも楽に300km/hを突破。ピークのみならず、低・中速トルクもしっかりと確保されていることが確認できた。
パワーだけが一人歩きするのではなく、冷却系や駆動系、サスペンションなども含めてトータルでバランスが整えられている。加速だけではなく、減速やコーナリングなどすべての要素が高い次元で求められるサーキットで乗ると、数字だけを追い求めた仕様ではないということが実感できる。
富士で300km/hを軽々と超える異次元の世界。HKSがR35の開発当初からこだわり続けてきた「パッケージ」としての性能と完成度は、究極のGT1000Rにも脈々と受け継がれている。

ホイールはADVAN Racing GT。これにスリックタイヤのA005を組み合わせる。ブレーキは前後共にエンドレスのMONO6で強化。300km/h超からでも強力かつ安定した制動を発揮する

排気音量をフルオートで制御するHKS製「3sxマフラー」。GT1000Rで究極の速さを追求すると同時に、現在はまったく新しい発想のR35用マフラーもリリースしている。特徴的な異形3連テールを採用する「3ステージエキゾーストシステム」は、エンジン回転数に応じてアクチュエータ式バルブを開閉することで3段階に音量をコントロール。低回転時には極力静かに、中回転域では心地よく、高回転域では迫力あるエキゾーストサウンドを発する。性能的にはノーマルからフルチューンまで対応する。100万円(税別)

エッチ・ケー・エス TEL0544-29-1235 http://www.hks-power.co.jp/

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