サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

「ABSユニット」のオーバーホールを可能にした敏腕ショップ

ユニット交換で約35万円というABS不良を
「Jスクエア」は技術力で修理を可能にした

年々クルマを制御する電子デバイスが増えている。それゆえ故障するとパーツ代は高価。
BMWディーラーでABSユニット不良の修理(交換)を依頼すると、その見積金額は約35万円。
とはいえ、命を預けているABSなどの車両安定装置を故障したまま乗り続けるのは、あまりにも危険だ。

ところが、そんな”ユニットの交換”を宣告されたABS系の故障を、神奈川県横浜市にある「Jスクエア」は本来は修理不能というABSユニットをオーバーホールしてしまうという。
その修理件数は、なんと年間1300基。輸入車でもとくにドイツ車の修理依頼が多いようだ。
1980年代のクルマは、ABSさえオプション。トラクションコントロールも装着されているクルマは少なかった。しかし、今やABSはあたり前、スタビリティコントロール(車両挙動安定装置)も一般的に装着されるようになっている。
一度でもABSの恩恵を受けた人ならわかってもらえると思うが、作動させる頻度は少なくても「万が一」ということを考えると、機能しない状態はもの凄く不安だ。これはシートベルトと同じような感覚。

大昔、人は裸で歩いていた。
だが、パンツを履くことを覚えたところから、二度と裸で歩けなくなった。
それと同じように自動車の安全装置も、あるものがなくなる、作動しなくなるのは、パンツを履かないのと同じくらい不安なはずだ。

エラーメッセージが消えても直ったわけではない

今回のサンプル車となったのは2007年式のBMW・E90型335i。エラーメッセージにはABS不良と表示されているが、実際にはDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール=車両安定装置)も、トラクションコントロールも作動しなくなる。
そのような状態で、雨の日に少しアクセルを踏み込めばカンタンにリヤタイヤはホイールスピン。まさにじゃじゃ馬なクルマになってしまっていたのだ。

ところが、エラーメッセージは、必ずしも点灯し続けているとは限らない。
サンプル車のように、約6カ月の間に点灯しては消えるを3回も繰り返すケースもある。
確かに、ランプが消灯すればABSもDSCも一応は作動する。
しかし、OBD車両診断機で調べるとコンピュータには、シッカリとABSユニットのポンプモーターの不具合の記録が残されていた。

ディーラーで修理の見積もりは以下の通り。
サンプル車はDSCハイドロリックユニット(=ABSユニット)の交換。ユニット代が約31万円で、工賃が約3.6万円。見積書のトータルは35万円弱!

中古車で購入した場合、個体によっては修理費が車両購入額の5分の1以上になるケースもあるだろう。
命を預けるパーツだから仕方がないとはいえ、なかなか勇気が必要な金額だ。
ディーラーでは、ABSユニットの修理は基盤交換はするようだが(それでも20万円くらい)、モーターが故障している場合はユニット交換となる。

上の写真はABSユニット。左からモーター、アクチュエータ、基板と3つのパートで構成されている。
BMW・E90型のABSユニットはAte製。日産R35型GT-Rも同タイプのユニットを使用しているらしい。

ABSユニットのオーバーホールは工賃込みで17万円弱!

「Jスクエア」での診断も、ディーラーと同様にABSユニットの不良となった。

Jスクエアの診断機は、どこが不具合なのかが判別できる。診断ソフトはBMW、アウディ、VWといったドイツ車系なら対応できるそうだ。

早速とABSユニットの修理見積もりを作成してもらうと、ユニットを交換ではなく「修理(=オーバーホール)」で脱着工賃なども含めトータルで17万円弱となった。

17万円弱といっても決して安いとはいえない金額ではある。
だが、BMWディーラーでのユニット交換(約35万円)の半分以下の金額で「安全」を買えるのであれば、間違いなく安い。

サンプル車のABSユニットはAte製だったのでユニットの修理費が約11万円だが、BMW・E46型3シリーズやE39型5シリーズのBOSCH製ユニットは約6万円〜。車種(ユニット)によって修理価格はかなり異なっている。

ちなみに「Jスクエア」によるとエラーメッセージのランプが点灯したまま放置し続けると、ユニット本体の不具合が大きくなり修理不能になるケースもあるそうだ。

オーバーホール作業は非公開!しかし7年間の保証付き

作業はABSユニットを取り外して、検査機にかけてオーバーホールとなる。

ユニットを取り外して「Jスクエア」へ郵送してくる修理工場も多い。実際、取材中も宅急便でユニットが送られて来たり、問い合わせの電話が多数はいっていた。
ただし、BMWディーラーでは交換修理のため取り外しは受けてくれない(修理後の保証問題があるため)。

ABSユニットを検査機にかけるJスクエアの永井順一代表

外したABSユニットは、検査機にかけてチェックした後、修理となる。
修理内容については企業秘密ということで取材はできなかったが、故障箇所以外で不具合が出そうな部分は同時に修理をしているそうだ。
ちなみに、修理に関して7年間の保証付きである。

修理が完了したABSユニットを装着

ブレーキフルードを完全抜き替え
さらに丁寧なエア抜き作業を施す

フルードのエア抜きは3回。圧送しているので、もともとパイプ内にエアが入りにくいそうだが万全を期す。使用するフルードは、サーキット走行にも耐えられるAteのDOT4だ。

このようにして、無事にABSユニットの修理は完了した。
レポート中でも記したが、「Jスクエア」では遠方のユーザーのためにユニットを送付しての修理も受け付けている。
今回のように直に車両を持ち込む場合、診断から修理までで約4時間。近隣には大型商業施設があるので、そちらで待ち時間を過ごすようにする必要はある。
いずれにしても、いきなりの修理はできないようなので、事前に電話などによる問い合わせは必要だ。

Jスクエア TEL045-511-7418 http://abs-repair.com/

【関連記事】

モバイルバージョンを終了