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12年の歳月をかけ「15系マジェスタ」を極上VIP仕様に仕上げる

家族の協力なしでは語れぬ僕のVIP人生。

クルマをドレスアップするオーナーは多いが、藤野クンのように心から「VIPセダン」を愛している人はどれだけいるのだろうか。
挫折を味わったり遠回りもしたが、今回のリメイクでやっと理想のスタイルに仕上がった愛車のトヨタ15系マジェスタ。
ただここまで長く趣味を続けられるのは、強くて暖かい支えがあったからであることは忘れない。

トヨタ15系マジェスタ歴は12年。九州は年式が新しいセダンの活躍が目立っている地域だが、「年式が古い15マジェ(マジェスタ)で新しいクルマを(イベントで)倒したい」という強い意気込みを持ち、他のセダンには目もくれず一途に愛し続ける藤野クン。
彼にとって15系マジェスタは、「自分の一部」。マジェスタがいない生活なんて考えられない。今や家族の一員と言っても過言ではないほど、かけがえのない存在となっている。

テールはフルでLED加工。寒冷地仕様のリアフォグもLEDで彩る。トランクには小振りなシルクブレイズのウイングを添えた

「正直ここまで長く乗るとは思っていなかった。昔はイベントでも坊主(入賞なし)続きで、降りようと思ったことは何度もありました。でも諦めたらそこで終わりだし、大好きなクルマだから頑張ってみようと思いました」。

彼は15系マジェスタの前に、14系マジェスタに乗っていた。
廃車になり、トラックに積んで持って行かれる姿を見て泣きそうになった。あの時のような悲しい思いはしたくない。だからただひたすら、一台に全力を注ぐ。

ライトに仕込んだLS460プロジェクターは、ハイ/ロー切り替え可能で実用性バッチリ。コーナーのLEDは白とオレンジを交互に並べる

しかし、いくらVIPセダンが好きとは言っても、「家族」という良き理解者がいなければ、ここまで乗り続けることはできなかったかもしれない。
妻の麻梨サンは、「この人からクルマを取ったらダメだろうね」と夫の性格を良く分かっているから、節約でサポートする。食料はスーパーでまとめ買い。電気代を抑えるために、夏でもエアコンは付けない。

「多少不満はあるかもしれないけれど、何だかんだイベントに行く時には『行ってらっしゃい』と、優しく送り出してくれるんですよね。僕のわがままに付き合ってくれて、本当にありがとうと言いたいです」。

シートはオレンジレザーと黒スエード、さらに大人っぽい茶色のオーストリッチで張り替え。座面と背もたれは生地を2枚重ね、パンチングの奥からオレンジを見せるという凝った作り

悔しさを乗り越えて自信がついた今
あえて「原点」の黒に戻して勝負に挑む

まだ小さな藤野クンの子どもたちも、VIPセダンの第一線で戦っているパパを応援している。
それは2年前の七夕の時。藤野クンが近所の山から取ってきた笹に、長女の絵麻チャンが吊り下げた短冊にはこう記してあった。

「パパのクルマが、VIPスタイルの表紙になりますように」。

ママが手を添え、小さな小さな手で一生懸命書いてくれた願い。
思わず目に涙が浮かんだ、忘れられぬエピソードである。

こうした家族一丸での応援を背に、藤野クンは各地のイベント会場へと向かう。
麻梨サンが作ってくれたお守りも持って。

「以前大阪のイベントに行く時、『気を付けて行ってきてね』とお守りをもらったんです。今も持っているとは思っていないだろうけど、遠征する時は必ず身につけています」。

純正のフレームとKブレイクのインナーをニコイチしたグリル。メッキが良いアクセントとなり、高級感がさらにアップした。フロントはアンクエルションをベースに、Kブレイクの16系アリスト用のフォグ周りとレクサスLS460用のリップ部をスマートに合体させた3コイチ

イメージがガラッと変わった現在の仕様は、2016年のCK杯でお披露目。
ボディカラーは以前の明るいオレンジゴールドから一転、202ブラックで再オールペン。全体が引き締まった印象を感じる。
実はベース車の純正色はもともと202ブラックで、いつかは黒に戻したいと思っていた

ブレーキはXYZ。ホイールを変更したことで、そのキャリパーが良く目立つようになった

「黒時代の6年間はイベントでもなかなか入賞できなくて、本当に悔しかったです。でも今の仕様なら、黒でも通用する自信があった。でもその前のガンメタから黒に塗っても目立たないので、一度明るい色を挟んで変わった感を出したんです」。

オールペンと同時にフェンダーのラインやドアパネルの歪みを修正し、モールやバイザーなどを新品に交換。細部まで妥協を許さない。

クッキリとしたオバフェンは、どの角度からでもキレイに見えるように製作。
車高調は326パワー、アームはフルTディメンド。ツラは当たらずに走れる限界まで攻める。
「リアはあと3mm外に出したいですが、フェンダーが割れたらイヤなのでこれくらいにしています」

「この15マジェスタは、自分の体の一部です」

さらにホイールも変更。今回は5本スポークと決めていて、悩んだ結果、当時発売されたばかりだったワーク・グノーシスGR203に決定。
しかし当初は好みのインセットがなく、2016年の福岡カスタムカーショーでワークの担当者を見つけて、「作ってください!」と頭を下げた。リアに履いている11.5Jは、当時はカタログにも載っていない最大リム幅だった。手元に届いたのは、発注から4ヶ月後。

「イベントデビューはちょっと遅れてしまいましたが、スペーサーを噛ませて中途半端なサイズを履かせるくらいなら待つ方を選びました」。

中身に関しては、ラゲッジオーディオが進化。
ウーハーの下やアンプ手前にアクリルを追加し、さらにマルチカラーLEDを仕込んで夜でも魅せられる幻想的な空間を作る。

アンプの手前に設置したアクリル板は、曲げ加工でアールを付ける。お世話になったショップ名も入れた

「見た目だけではなく音のキレイさにもこだわり、配線ひとつにしても品質が良い物を選んでいます」。

CK杯ではセダン総合優勝、後の大分イベントでは念願の全体総合優勝に輝いた。まさに、継続は力なり。

福岡県 藤野 満(33)
トレードマークは立派なあごヒゲ。
だからニックネームは「ひげマジェ」。
近場のイベントは、麻梨サン・絵麻チャン・迅クンと一緒に参加する。

VIPスタイル12月号(2016年)
交通タイムス社

(レポート:VIPスタイル編集部)

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