サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

「ツライチ度」を高めるホイールサイズ選び

この記事をまとめると

■タイヤサイズの最後の2桁はリム径のこと
■インセットはホイールを外側もしくは内側に調整する値
■正しい装着にはハブ径も大事

ホイールのサイズは基本的にインチ表示
ミリ換算すると攻めたサイズが選べる!

 ドレスアップにもチューニングにも非常に影響の多いホイール。ホイールを選ぶときは、デザインや価格も気になるが、なによりサイズが重要。

 まず、ホイールのサイズの意味を確認しておこう。これを間違えると、タイヤがボディと干渉したり最悪のケースではホイールを装着できないこともある。

ホイールのカタログを見ると、「19×8.0J  5-114.3 48」といった具合に、ホイールのサイズが表記されている。

ホイールの幅を0.5インチ増やすと

リム幅は内側と外側に6.35mmずつ広がる

 はじめの「19」は、ホイールのリム径。単位はインチなので、19インチのホイールなら、リム径は482.6mm(1インチ = 25.4mm)となる。「8.0」は、リムの幅。単位はインチなので、8.0=203.2mm。

 困ったことに、タイヤの幅はmm単位なのに、ホイールの幅はインチ単位なのでややこしい……。しかし、リム幅は、ドレスアップ(ツライチ)する際に重要なので、ミリ単位の数値を覚えておこう。

 リム幅が「0.5インチ」大きくなるというのは、12.7mm広がることになる。このとき、リムはホイールのイン側とアウト側それぞれ「6.35mm」ずつ均等に広がっている。これもツライチにするときに重要なところなので、ここも覚えておいてほしい。

 タイヤのサイズ表を見ると、サイズごとに最適なリム幅が書かれているので、必ずチェックしておこう。
例えば、245/40R19のタイヤなら、標準リム幅は「8.5(J)」とあり、別項の「適用リム幅」という欄には、「8.0~9.5」などと記載されている。

 ドレスアップ的にはやや幅の広いホイールに、細めのタイヤを履かせた方が、カッコいいと思う人もいるかもしれない。だが、ワイドホイールを楽しみたい人でも、この「適用リム幅」の範囲内に収めておかないと、タイヤが設計通りの形状にならず本来の性能を発揮できない。リムに対して細いタイヤを組み合わせると、最悪の場合、タイヤが外れてしまうこともある。「J」とか「JJ」は、ホイールのフランジ=耳の部分の形状(ほとんど気にしなくてOK)。

「5」は、ホイールを車両に取り付けるボルトの入る穴の数。乗用車は4穴か5穴がほとんど。穴の数が合わないホイールは、当然装着できない……。「114.3」は、P.C.D.(ピッチサイクルダイアメーター)。ナットが配置されている円の直径。単位はmm。P.C.D.も車種ごとに異なるので要注意。

 最後の「48」はインセット。リム幅の中心線とホイール取り付け面との距離で、単位はmm。この数字が小さくなると、ホイールは車体の外側に近づいていく。反対にこの数字が大きくなると、ホイールは内側へ向かう。

インセットとリムの幅の変更でツライチに

 ドレスアップで「ツライチにしたい」ときは、このインセット値が重要。ノーマルがインセット48のクルマで、タイヤの位置を10mm外側に出したければ、インセット38のホイールを選ぶようにする。 また、上記とおりリム幅が0.5インチ広がれば、6.35mmほどタイヤは外側へ向かう。つまり、リム幅を変更したときは、リム幅で広がった分+インセットを減らす分を合わせて計算しないと、フェンダー側面からのタイヤ・ホイール本体がはみ出して、保安基準違反となるので気をつけよう。下の写真で示した前方30度、後方50度まででタイヤやホイールがはみ出るとアウトだ。

具体的にどのくらいタイヤが外に出るかというと、ホイールのインセットを48から38に変更して、リム幅を0.5J広げた場合、10mm【インセット48mm-38mm】+6.35mm【(0.5インチ=12.4mm)÷2】=16.35mmとなる。これはタイヤも同様なので、タイヤとフェンダーのクリアランスは16.25mm狭くなるというわけだ。

 この計算は、ワイドトレッドスペーサーの厚みを決めるときにも応用できる。ちなみに、同じホイールサイズでも車高を下げるとタイヤはより内側に向かう傾向があるので、ローダウン+ツライチにはそれなりのノウハウが必要。
専門店なら、ツライチ用のホイールマッチングデータを持っているだろうし、インターネットでもシミュレーションできたりするので、それらを参考にするといい。 ルックス的には、カッコいいと評判のツライチだが、インセットを変更した攻めすぎたサイズのホイール選びをすると、保安基準のクリアが厳しくなるのに加え、スクラブ半径が広がる影響で、ハンドルが重くなり、轍などの路面の影響によって走行時にハンドルが取られやすくなったりする。

 サスペンションのレバー比が変わり、同じスプリングレートでもサスがソフトになったような印象になる。さらにトレッドが広がることで、ピークグリップが下がり、挙動がマイルドになる傾向もある。

 上の写真は、厚さ20mmワイドトレッドスペーサーでトレッドを広げた例。これだけでも乗り心地やハンドリングが変化する。

 もし、フェンダー内部の余裕があるなら、インセットは大きく変えずにリム幅を広げてツライチにすることもできる。このようにインセット変更量が少ないというのは、ホイールの中心の位置が変わらないので、ハンドリングへの影響は少ない。

 ツライチにするには、さまざまな手段があるが、純正ホイールのサイズやインセットを基本に、上記の計算式を使ってサイズ選びをしてほしい。
もちろん、攻めたサイズをチョイスするときは、メリット・デメリットを知ったうえで、サイズ変更を楽しんでほしい。

ハブ径が合っていないとホイールの真円は出ない

 もうひとつ、ハブ径も重要。ホイール(裏側)の中央の穴の径で、純正ホイールは、車体側のハブと、ホイールのハブ径がピッタリなので、真円を出しやすい。だが、社外品のホイールは、装着できる車種を増やすために、ほとんどがハブより大きなハブ径になっている……。「特定の車種専用ホイール」と謳っていても、ハブ径が一致するアフターのホイールがほとんどないのは残念でしかない。
できれば、別途ハブリングなど装着して、ハブとハブ径の一致にはこだわりたいところ。

スポーツ性を高めたいなら軽量な
1ピースのスポークタイプ

 最後に、ホイールの構造について。1ピースホイールは、リムとディスクが一体構造で、真円度が高く、バランス面でも有利。2ピース・3ピースホイールは、リムとディスクを別々に作り、組み付けるので、サイズの自由度が大きい。 形状的には、軽量化で有利なスポークタイプが、スポーツ用ホイールの主流。デザイン的には、メッシュタイプも人気が高く、輸入車などにはよく見られる。剛性も高いが、重量面ではスポークタイプに分がある。車体が大きなクルマには、ディッシュタイプも似合うが、重量面でのメリットは少ない。

(レポート:藤田竜太)

【関連記事】

モバイルバージョンを終了