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正しい「車高調サスペンション」選びに必要な10基礎知識

全長調整/減衰力/単筒式/バネレート…
意味や構造を理解して最適な車高調を選ぶ

クルマをローダウンさせる手法は、ダウンサスペンション(以下ダウンサス)/車高調整式サスペンション(以下車高調)/エアーサスペンション(以下エアサス)と大きく3つに分かれる。
ダウンサスは、純正もしくは社外のショックアブソーバにストローク量の少ないスプリングを組み合わせて車高をダウン。エアサスは、スプリングの変わりとなるエアバッグへ空気を出し入れすることで車高を変化させる仕組み。
前者はリーズナブルだけど車高の調整は不可能、後者はワンタッチで車高を変えられるけど高価と、どちらもメリット&デメリットは存在する。
車高の調整が可能でエアサスほど割高ではない「車高調」は、バランスに優れたローダウン法といえる。

現在、多くの車高調がラインアップされるが、メーカーのホームページや雑誌では難しい単語が並ぶ。
全長調整式/減衰力/調整/単筒式など、なんとなく理解しつつも、本当の意味を知らずに購入した人も多いはずだ。
そこで、購入時に役立つ10の基本ワードを紹介。失敗のない車高調選びとならないためにも知っておきましょう。

 

その1 構成部品の名称と働き

車高調は、ショックアブソーバやスプリング、アッパーマウントなど、数多くの部品で構成される。
まずは、それぞれの名称と働きについて知っておこう。

スプリング

車体に加わる衝撃を最初に吸収する役目を果たし、バネレート(スプリングを1mm縮めるために必要な力)と呼ばれる固さによって、その乗り心地が変化する。
真っすぐに成型した直巻き、樽型、ノーマル形状などカタチもさまざまだ。

ショックアブソーバ

伸縮するスプリングを適切に制御し、スプリングの動きとバランスさせることで、良好なハンドリングや乗り味を生み出す役目を果たす。
放熱製が高く安定した減衰力を発生する単筒式、乗り心地に優れる複筒式がある。

アッパーマウント

ボディと車高調との間を接合するパート。純正を流用するもの、乗り心地を重視したゴムブッシュ式、ハンドリングが向上するピロボール式など、数タイプあり。
足まわりの構造によっては、車高調のアッパー部をスライドすることで(下写真)、キャンバー調整可能なモノも存在する。

ブラケット

ショックアブソーバを車体の下側で取り付けるためのパート。
全長調整式では、このブラケットを上下に変化させて車高を調整することも可能だ。

その2 車高調の構造や機能

車高調を構成する部品は理解したうえで、次に知っておきたいのが構造と機能について。
ショックアブソーバの構造だったり、減衰力調整機能の有無など、モデルによってスペックもさまざまだ。自分にとってベストな構造を持つ車高調を見つけよう!!

 

全長調整式とネジ式のちがい!!

ネジ式はスプリングを下側で支えるロワシート(スプリングロックシート)を上下させることで車高を調整。全長調整式は、これにブラケット(ブラケットロックシート)の位置を変化させる機能が加わり、車高を調整する。
イラストのように、全長調整式はスプリング側のロワシート位置を固定したまま車高を変化できるので、スプリングのストローク量が確保できるためローダウンしても乗り心地が変化しにくい。
逆にスプリングロックシートのみで車高調整するネジ式では、シート位置を下げすぎるとスプリングの”遊び”が発生してしまう。この遊びがなく、スプリングが縮んでいない状態のことをプリロードゼロと呼ぶ。また、車高を下げようとスプリングロックシートを上げすぎるとスプリングのストローク量が少なくなり乗り心地は悪化する。

ネジ式車高調

 

全長調整式車高調

減衰力調整機能は必要か!?

段差やカーブで生じたスプリングの伸縮は、ショックアブソーバ内で発生する減衰力によって抑えられる。
車高調には、あらかじめ減衰力が決められた固定式と、調整可能な2タイプが存在する。
減衰力調整タイプは、調整ダイヤルを緩めれば乗り心地が柔らかくなり、締めるとスポーティな走りが可能と、乗り味を変えることが可能だ。まずは、メーカー推奨値(真ん中に設定されることが多い)から試すことをオススメしたい。
ちなみに固定式では、最もバランスに優れた減衰力を発揮するように設計。価格もリーズナブルなので、走りや乗り心地の変化にこだわらない人はコチラがいいだろう。

 

こんな人に「減衰力調整付き」がオススメ

こんな人には「減衰力固定式」がオススメ

 

単筒式と複筒式のちがい

減衰力を発生させるショックアブソーバは、ピストンのロッド&バルブ、オイル、バルブの体積変化を吸収するガス室などで構成される。
ショックアブソーバーを構成する筒がひとつの場合は単筒式(写真右)、ふたつになると複筒式(写真左)だ。単筒式はシェルケースがそのままシリンダーとして役割を発揮するため、ロッドの伸縮をオイルとガスで効果的に吸収する。複筒式は、シェルケースの中にもう1本の筒が入っており、この筒の中でピストンバルブが上下する仕組みとなる。

単筒式では、大径ピストンを採用できるので減衰力をリニアに発生できるうえ、オイル量を多く確保できるため熱ダレしにくい。そのためスポーツモデルに使用されることが多い。
また複筒式は構造上、ガス圧を低くできるため突き上げ感が少なく、乗り心地を確保しやすいと言われる。よって、ストリート向けモデルに採用されることが多いのが特徴だ。

 こんな人に「単筒式」がオススメ

こんな人に「複筒式」がオススメ

 

ということで、ネジ式と全長調整式、減衰力調整機能の有無、単筒式と複筒式など、
どちらが優れているというワケではなく、それぞれにメリット&デメリットがあるのです。

近年はリーズナブルな海外製も増加し、以前よりも買いやすくなった車高調。
構成パーツや製法(国産)といった品質にこだわるメーカーもあるため、同じようなスペックでも価格差に開きがあることも。あまりにも安い車高調は、オイル漏れや減衰力がヘタリやすいというハナシも聞きます。

とはいえ、愛車を2年くらいで手放すならば、場合によっては無理して高価なモデルを買う必要はないのかも。逆に長く乗り続けたいという人は、オーバーホール対応の高性能品を狙ってみるなど、買い方や選び方はさまざまである。
ちなみに、”いい車高調”ほど、愛車を乗り換えてもリピーターが多いと聞きますよ。

貴方にとって素晴らしき車高調ライフとなりますように!

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