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乗り心地とハンドリングを良好にする正しいダンパー「減衰力」調整法

スプリングの動きをコントロールして
サスのストロークスピードを制御する

多くの車高調整式サスペンションのダンパーには、減衰力調整機能がついている。
ダンパーはスプリングとセットで、サスペンションの硬さ・柔らかさを決めるパーツ。しかし、それぞれが担う役割は異なっている。
簡単にいえば、スプリングはサスペンションのストローク量(車高も)をコントロールし、サスペンションのストロークスピードをコントロールするのがダンパーだと思えばいい。

つまり、コーナリング時のロール量が大きいとか、ブレーキ時のピッチング量が多いなどの理由で、ダンパーの減衰力調整ダイヤルを硬い方向(減衰力を高める)、といった使い方は基本的に間違いだ。
そもそものサスペンションのストローク量は、スプリングレートの問題なので、これらはスプリングで解決する。
一方、もう少し乗り心地が良くならないか、といった場合は、減衰力をソフト側に調整するのが有効。

非常に大雑把な言い方をすれば、減衰力の調整幅のうちソフト側の3分の1は街乗り用のコンフォートな領域。中間の3分の1は高速でのスタビリティ重視。ハード側の3分の1はスポーツ走行用のきびきびとしたハンドリングになる味付け。このような仕様のダンパーが多い。

ただ実際は、スプリングとダンパーがセットになった車高調キットが主流なので、メーカーが推奨する減衰力の値で走ってみるのが一番。
そのうえで、もう少しコンフォートに振りたいと思えば、減衰力調整ダイヤルを1段か2段ソフト側に回せばいい。反対にもう少しスポーティーに振りたいときは、ハード側に1~2段回してみる。

目安としては、最大調整幅が10段以下なら、とりあえず1段だけ調整。
調整幅が20段近くあるダンパーなら、一気に2段ぐらい動かした方が変化がわかりやすい。
最初は、フロントを1段動かしたら、リヤも1段といった具合に、前後とも同じように調整するのがベターなセッティングの決め方だ。

ダンパーの減衰力を高めすぎず
サスペンションをしなやかに動かす

今のクルマはタイヤのグリップが高く、それに合わせ車高調整式サスペンションのスプリングレートも高めなので、ダンパーは逆に柔らかめにして、サスをしなやかに動かす方向にするのがオススメ。

サスが固く、タイヤのたわみも少ないと(低偏平タイヤのような)、コーナリング限界付近でグリップが一気に抜けやすくなる。スプリングを硬くした場合は、その分減衰力をソフトにしてバランスをとるのが定番。たとえば、バネレートをノーマル比の115%にアップしたら、減衰力(減衰比)は85%にセッティングするというイメージだ。

タイヤをよりハイグリップなものに交換したり、インチアップしてよりたわみの少ない(重い)タイヤに交換した場合も、ダンパーが固いと接地性が悪くなって、タイヤの性能を活かせないので、減衰力は少しソフト側に調整するといい。
前後別々に調整する場合は、基準を決めないとわかりづらくなる。

例えば、ブレーキ時のノーズダイブがもっとゆっくりの方がいいと思えば、フロントの減衰だけややハードにしてみる。反対に、ブレーキ時にリアがムズムズと不安定気味になるのなら、リヤをハードに。

トラクションを考えると、FF車ならコーナリング中にフロントをインリフトさせたくないので、フロントはサスが伸びやすいようにソフト気味に。リヤはハード気味に。FRならその反対にフロントハード、リヤはソフトに持っていくのが基本的な考え方。
逆にいえば、駆動輪の減衰力が高すぎると、トラクションが抜けやすくなるということ。発進時やタイトコーナーの立ち上がりなどで、一気にアクセルを踏み込んだ時ホイールスピンしやすいようなら、駆動輪の減衰力をソフトにする。

ハンドリングに関しては、ステアリングの転舵スピードが低い領域はいいが、素早く切り込んだ時にアンダーステアやピッチングが出やすいといった場合は、フロントの減衰力を少し落としてやるといい。
サスペンションのセッティングを出すのは、プロでも時間と手間のかかる作業。

一般ユーザーなら、メーカー推奨値を基準に、前後同じ段数だけ動かして方向性を確認するか、フロント側をハード側に固定して、リアだけソフト側からハード側へ少しずつ調整していき、好みのバランスが見つかったら、フロントを少しずつソフト方向へ調整し、さらに美味しいところがあるか探してみるのがいいかもしれない。

伸びと縮みそれぞれで減衰力を調整できる
2ウェイ方式のダンパーを使いこなす

一般的な減衰力調整機能は、ダイヤルを回すと伸び側と縮み側、どちらの減衰力も一緒に変化する機構になっているが、より高機能なダンパーには、伸び側/縮み側、さらには低速域/高速域の減衰力を、それぞれ別々に調整できる機能があるタイプもある。

伸び側/縮み側の調整は、スプリングとの兼ね合いが大きく、スプリングレートが高くなった場合は、縮み側はソフトに、伸び側はハードするのがスタンダード。

また、荷重をゆっくりかけたいときは、縮み側をハードに。加速時などにフロントの荷重が抜けにくいようにしたい場合は、伸び側をハードにするなどの微調整ができる。
さらにダンパーのピストンスピードの低速域/高速域で、減衰力を調整できるタイプ(伸び縮みの調整も含め4ウェイ)も使いこなせれば便利。

低速域からある程度しっかり減衰力が立ち上がると、操舵の初期の応答性が向上し、よりスポーティーなフィーリングになる。高速域は、ギャップなどで短時間に大きな入力があったときのサスストロークスピードなので、できるだけソフトにしておいた方が、突き上げ感はなくなる。

このように減衰力調整もこだわり出すときりがない世界になるので、一番重要なのは、はじめからきちんと基準セッティングが出ているいい製品を購入すること!
いいダンパーの、いい推奨値でしっかり走り込んで、気になるところだけ、少し自分の好みの操縦性に近づけるように微調整するのがベストの使い方。

一番ダメなのは、少し前の安価な車高調キットに多かった、ただ固いだけのダンパーで、減衰力調整機能がついていても、最弱のメモリ以外使い道がないタイプ。
ノーマルのサスと比較して、さらに固くできるだけでなく、ある程度ソフト側にも振れる調整幅があるダンパーでないと、減衰力調整機能も生かしきれないので気をつけよう。

(レポート:藤田竜太)

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