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GT-Rの祭典に『事故車』が展示された理由とは【R’s Meeting 2017】

納得できる仕上がりの板金塗装は
メカニックと会話することが大切

世界最大級の日産スカイラインGT-R&R35型GT-Rの祭典「R’s Meeting 2017」が、9月10日に静岡県・富士スピードウェイで開催された。
好天に恵まれたこともあり、朝から場内の駐車場を目指すクルマの列が長々とできるほど、多くのGT-Rファンが訪れていた。
“GT-R Magazine”が主催する「R’s Meeting 2017」のメイン会場であるイベント広場には、GT-Rを得意とするメーカーやショップが過去最大の84コマのブース出店があった。各メーカー&ショップのブースには、現行型のR35型GT-Rのデモカーや新製品などを並べ、訪れるファンから注目を浴びていた。
そんなブースの中で異彩を放てっていたのが板金塗装を行う「カナザワ ボディー リペア」。
どこのブースもピカピカに磨き上げられたGT-Rを展示しているのに対し、なんと2台の事故車を披露していたのだ。
「他人が事故を起こしたクルマをマジマジとは見ることは、心情的にもしにくいですよね。今回は、じっくりと見てください」と金沢代表は語る。

そもそも、この2台の事故車を展示した目的は、ここまで壊れても修理することができることを知ってもらいたいということ。さらに、日産から供給されているR32〜R34型スカイラインGT-R用のパーツが、年々減少して修理が難しくなっている実情を踏まえ、事故を起こさないようにという啓蒙活動もあるという。

白いR32型GT-Rは、フロント左セクションにダメージを負っているが、実はフロント左右のフレームが曲がり、右側のフロアにも歪みが出ているそうだ。
現在、R32型スカイラインGT-Rのフロントフェンダー、第1メンバー、ヘッドライトなどは製造廃止となっているため、メーカーから入手することはできない。

「フレーム系はまだメーカーから入手できるので、そのほかのパーツは今ならなんとかして修理できます。しかし、GT-Rのパーツはどんどん製造が中止されているので、ニスモが再販するというところに期待するしかありません」と金沢代表は言う。

一方、ガンメタリックのR32型スカイラインGT-Rは、リヤセクションを大破。部品取り用のクルマを用意して修理することも可能ですが、別途ボディを用意してエンジンなどの中身を入れ替えるほうが、時間も予算も節約できるそうだ(いわゆる箱替え)。

「時間と費用は、修理の程度によって異なってきますが『直せない』と諦めないでほしい」と金沢代表は強く語る。

ブースで行われたトークショーでは「板金塗装を依頼するときに、できれば作業をする人と話しをすべき」と言う。
というのは、メンテナンスではメカニックと「こんな症状だから直してほしい」などと会話することはあっても、板金塗装はディーラーなどの場合、外部委託をするためオーナーと作業する人との接点がほとんどない。
そのため、こちらが意図することが伝わりにくく、金額面あるいは仕上がりで満足できないことが多々あるそうだ。
さらに板金と塗装を一つの店舗でしていることも少なく、それぞれの組み合わせによって仕上がりが異なるケースもあるという。

「板金塗装にしても、錆の修理にしても、大切なのはどのような作業をしてほしいのかを作業者に伝えることです」と金沢代表。
具体的には、今後パーツ交換をする予定があるから、現在はとりあえずよいから安く仕上げるのか、長く乗り続けるために予算をかけてしっかりと直すのか? これを金沢代表は「目的を持って修理を依頼する」という。

メンテナンスでは、交換したパーツや使用した部品を明記するのと同じように、板金塗装でも明細を出してもらうようにすることで、オーナーとショップとの信頼関係が構築できるそうだ。そんなショップ選びをすることで、納得した仕上がりや費用を得ることができるという。ちなみに、ここの展示したクルマを完全復活させて、来年の「R’s Meeting」で再展示をするという。

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