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似て非なる両車!チューニングカーとカスタムカーの違いとは

走行性能 or ルックスの向上だけなのか

 走りを突き詰めたクルマは「チューニングカー」で、見た目を重視してイジったクルマは「カスタムカー」。なんとなくだけど、それぞれの言葉から感じるイメージは、多くのクルマ好きがこう認識していると思う。単語が持つ本来の意味などを踏まえつつ、呼び分けの理由や今後の流れを考察してみたい。

 まずはチューニングという言葉の意味から考えてみよう。Tuning(チューニング)を翻訳すると調律/調弦/同調などと訳されるが、クルマに関していえば”調律”を使うのが一般的だ。調律とは楽器の音高を適切な状態に調整することを指し、クルマに置き換えれば各パーツを最適な状態に調整する、と解釈するのが自然だろう。つまりアフターパーツに交換することだけじゃなく、純正パーツを使った調整も広義でのチューニングに含まれる。

 ではパーツ交換だけで調整が不要なら、チューニングとは呼ばないのだろうか? コストや快適性といった問題から、純正パーツは万人受けするような仕様にしなければならない事情がある。それをユーザーが後から手を加え、クルマ本来の走行性能を引き出すのは、立派なチューニングと呼んでいいと思う。

 そしてカスタムという言葉には、さらに多くの意味を持つ。ざっと挙げただけでも習慣/慣例/因習/俗習/関税/特別注文などなど。何だか方向性がバラバラに思えるけど、クルマに当てはめるなら「特別注文」が最適かもしれない。

 すなわち、チューニングが走行性能を高める調律ならば、カスタムはそれ以外を目的とした特別注文。チューニングも広義ではカスタムのひとつといえるが、現状ではカスタム=ドレスアップを始め、走り以外のジャンル、と分類するのが妥当だろう。

 例えば走行性能の向上を目的に、エンジンのパワーを上げて足まわりや駆動系にも手を入れたらチューニングカー、ドレッシーなエアロパーツを装着してルックス重視にローダウンしたならばカスタムカーというイメージ。とはいえ、最近はカテゴライズが難しいケースも増えている。

 1990年代ごろまでのチューニングカーは見た目はシンプルで快適装備は取り払ってしまうなど、考え方としてはレーシングカーに近い場合が多かった。ところが合法チューンやスポコンの隆盛といった流れを受け、徐々にレーシングカーとチューニングカーの住み分けが進み、速さの指針であるサーキットのタイムも「快適装備つきで○秒台!」的なアピールが増えた。

 さらにバイナルグラフィックやガルウイングといった、ドレスアップの専売特許だった技法を取り入れるのも今となっては当たり前。チューニングカーは走りでカスタムカーは見た目という大前提は残しつつも、ボーダーレス化は今後もますます進みそうな予感がする。

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