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格安ドライブレコーダーは使えるか? 国産メーカー品と比較テストしてみた

スペックデータだけでは判断できない

 今や広く認知されるようになったドライブレコーダーだが、その機種数はあまりに多く、選ぶにもつい迷ってしまう。ここでは数千円で買える低価格機と、型落ちして安くなっているがかつては2万円クラスの旧製品で、どのぐらい実力差があるかを画質を中心に検証してみた。

 今回採り上げたドライブレコーダーは、ネット通販で低価格を武器に人気を集めているAGM製ドラレコと、3年前に発売されて既に在庫品のみの販売となっているパイオニアのND-DVR10の2機種。AGM製は製品としては新しいけれど、Yahoo!ショッピングで3880円という低価格がドラレコとしてどの程度の実力を発揮するのかが気になるところ。

 一方のパイオニア製は発売当初は2万円を超えていたモデル。今では在庫処分とはなって価格がかなりこなれてはいるものの、オートバックスの通販でも1万6350円。AGMの4倍の価格だ。果たして両者の画質の実力差はどのぐらいあるのだろうか。ちなみに、どちらも編集部員が購入しプライベートカーに装着。

 まずは簡単に両者のスペックを簡単にチェックしてみよう。

 AGM(型番の記載がない)は、「高画質FHD(フルハイビジョン)、WDR(ワイドダイナミックレンジ)Gセンサー内蔵、駐車監視、音声録音、ループ録画、150度広角・・」とある。これだけを見ればAGMはドラレコのとしての基本的な機能は備えていることになる。一方のパイオニア(ND-DVR10)もスペックはほぼ同じ。

 ここでスペック上の大きな違いとなっているのがレンズの画角で、AGMは水平で150度なのに対し、パイオニアは105度にとどまる。表記だけを見ればかなり大きな差があることになる。

 また、AMGにはないパイオニアのアドバンテージとしてあるのがGPSの内蔵で、これによって映像に位置情報が記録され、再生時には地図とのリンク表示も可能になる。また日時も自動的に修正される(AGMも日時は表示)。この違いは価格差が反映されたものと言っていい。

トンネルに入って分かった両者の価格差

 テストは、それぞれのドライブレコーダーを装着した2台のクルマで、白いトヨタ・ノアの後ろを走行。日中と夜間走行を想定したトンネルの2パターンをできる限り同条件で試してみた。

 まずは両者の画質をチェックしてみる。AGMはFHDによる高画質記録を謳っているが、その映像はどう見てもその解像度は得られていない。被写体の輪郭も曖昧で、先行車のナンバーは近距離であれば確認できるが、少し離れれば判別はできなくなる。

 コントラストも低くいため、映像にメリハリ感はほとんど感じられない。レンズの歪みも結構大きめで、特に周辺部はフォーカスが外れているのではないかと思うほど。全体にノイズが乗っており、トンネル内に入ると輝度が不足する影響もあって解像感はさらに低くなった。

 対するパイオニアは明らかに解像度が高い。FHDがきちんと確保されているかは若干怪しいが、それでも先行車のナンバーも十分把握でき、高コントラストの映像は自然な感じを伝えてくる。特に評価できるのがレンズの歪みの低さで、周辺部に行っても甘さはほとんど感じられないし、その得られている解像度もほぼ均一。

 トンネル内に入っても先鋭感はそれほど落ちて来ない。画質としての実力差はパイオニアに軍配が上がると断言できる。ドラレコとして、映像を鮮明かつ正確に記録するという意味では、両者の価格差を実感した次第だ。

 ただ、レンズの画角は両者ともほぼ同じレベルだった。パイオニアは元々特別に広くはないとして評価されていた機種でもあり、“105度”というスペックは妥当なところ。その状況からするとAGMの“150度”はかなり盛り過ぎたスペックと言わざるを得ない。

格安ドラレコでも周囲の状況を記録できている

 ではこれらの実力差はドラレコとして致命的になるのか。実はこれがそうでもないのだ。アクシデントが発生した際の状況を捉えるという観点に立てば、解像度など画質面で差があるにしろ、ドラレコとしては両者とも十分にその機能を果たしているからだ。

 もちろん、当て逃げされた時などは少しでも解像度が高い方が相手車を判別する意味で有効だろう。ただ、そうしたケーズが必要になるのはまれで、むしろ重要なのは周囲の状況を捉える画角。今回のチェックでは両者はほぼ同じぐらいの画角であったわけで、その意味では4倍もの価格差をカバーできるほどの違いはないとも言えるのだ。

 ただ、AMGで注意すべき点がいくつかある。それは本体をウインドウに取り付けるマウントについてだ。マウントはかなり大きめで、これが視界を妨げる要因にもなりそうということ。さらに取り付けが吸盤式を採用しているため、気温が高くなる夏場は吸盤内の空気膨張によって外れやすくなるかもしれない。両面テープでしっかりとウインドウに取り付けることをオススメする。

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