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純正はなぜ重たい!? アルミホイールの軽量化によるメリットとデメリット

軽量ホイールを装着すると走りが軽快に

 一般的に、同サイズなら純正アルミホイールは重く、社外のスポーツ系ホイールのほうが軽い傾向です。また社外ホイールは、様々なデザインが選べることから、交換する恩恵は多いのではないかと思います。そこで、デザインだけではなく、軽量なホイールを装着するメリットを紹介しましょう。

 アルミ(軽合金)ホイールには、JWL(基準適合)とVIA(品質検査適合マーク(VEHICLE INSPECTION ASSOCIATIONの略)という、技術基準や保安基準を満たすマークが刻印されてます。

 JWLというのは国土交通省が定めた検査基準で、回転曲げ疲労試験、半径方向負荷耐久試験、衝撃試験があり、各項目について細かく検査方法と基準が決められています。このマークが刻印されていないと国内では基本的に車検に通りません。

 VIAマークは、第3者機関である「自動車軽合金製ホイール試験協議会」がJWL基準に定めた適合品質であるかどうかを、厳格な強度試験や品質検査を行って確認し、合格した者についてVIAマークを表示できる、というもの。

強度面のデメリットを回避するため重くなりがちな純正アルミホイール

 製造基準の説明が長くなってしまいましたが、純正ホイールおよび国内で販売されている社外アルミホイールは、そうした性能をクリアしているのが基本です(並行輸入品や格安ホイールは、検査を受けていないケースあり)。

 安全と安心のための”刻印”なのですが、純正ホイールは自動車メーカー独自の社内基準(強度、耐久性や防錆性能等々)にも合致させながら、なおかつ低コストで作らなければならないという、もう一つのハードルがあります。自動車メーカーの開発者によると、縁石のような背の高いクルマ止めを乗り越えても曲がらない強度が必要とか。そのような理由から純正ホイールは、重たくなる傾向にあります。

純正ほどコスト管理がシビアではない社外ホイールは製法により軽量と強度を両立

 一方、社外ホイールは、自動車メーカーほどの厳しい基準は設けていません。コストを掛けられるスポーツホイールならば、製法を変えて強度や剛性を高めつつ、軽量に仕上げることができます。そういう意味では、社外アルミホイールのほうが、設計自由度は高いといえるでしょう。

 ホイールの軽量化によるメリットは大きく、レースの世界では、足回りの1kgの軽量はボディ10kgの軽量に匹敵するといわれているそうです。確かにホイールが軽くなるとフットワークが軽快になり、スッキリした乗り味になります。また、バネ下重量が軽くなるため、足の動きがスムーズになりやすく、路面への追従性が高まるため、クルマの運動性能も高まります。

 ただし、メリットを受けるのはサーキットなどのスポーツ走行を行なう場合。よく言われている燃費の向上も思ったほど期待できないので、街乗りメインの人は特別に意識する必要はないでしょう。もちろん、JWL+VIAマークが付いているのが、ホイール選びの基準です。

 では、純正の重いホイールにメリットはないのかというと、特にプレミアムクラスの高級車用セダンの場合、ホイールの重さも含めてしっとりした乗り心地を作り出しているので、ホイールを軽くすると、前述のように路面の微細な凹凸を拾って、低中速域では逆に乗り心地が悪くなることもあります。

 運動性なら軽量化のメリットはありますが、乗り心地に関しては、無暗に軽量化するとかえって悪くなる可能性があることも覚えておいてほしいと思います。また、リヤエンジン(リヤミッドシップも含む)のように、前軸重量の小さいクルマは、軽いホイールを装着するとジャイロ効果が低下して直進安定性が低下するケースもあります。

 アルミホイールはデザインに目が行きがちですが、トラブルがそのまま事故につながる重要なパーツなので、品質は必ず頭の隅に置いておいてほしい項目といえるでしょう。

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