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元祖ハイブリッドカーはポルシェ? モーターのみで走行できないシステムもある

ハイブリッドシステムというのは一種類ではない

 ハイブリッドカーは、もはや珍しくありません。ハイブリッドシステムを搭載した軽自動車も増えていますし、登録車の販売ランキング上位は軒並みハイブリッド専用車か、ハイブリッドグレードを設定しているモデルばかりです。しかし、ハイブリッドシステムというのは1種類ではありません。クルマによって意外なほど異なっています。そこで、国産車を中心にあらためてハイブリッドシステムを整理してみましょう。

あくまで複数のパワーソースを示す言葉

 そもそもクルマのパワートレインにおいて「ハイブリッド」と呼ぶときは、あくまで複数のパワーソースを持っているという意味でしかありません。現実的ではありませんが、風力とエンジンで動くハイブリッドカーがあってもいいわけですし、ゼンマイとエンジンで動くハイブリッドカーというのは研究されたことがあります。ただし、現実的にはハイブリッドカーはエンジンと電気モーターを搭載しているクルマという意味になっています。

 元祖ハイブリッドカーといえばトヨタ・プリウスでしょうが、マニア的には1901年のパリモーターショーに出品された「ローナーポルシェ・ミクステ」を思い浮かべるかもしれません。かの、フェルディナント・ポルシェ氏が開発した電気自動車をベースに、発電用エンジンを搭載したハイブリッドカーです。

発電機と駆動モーターを持つのがシリーズ式

 このように、エンジンが発電だけを担うタイプのハイブリッドシステムを「シリーズ式」と呼んでいます。シリーズというのは直列という意味ですが、たしかにエンジンから駆動モーターまでエネルギーは直線的につながっています。シリーズ式ハイブリッドでは、エンジンで発電した電力をバッテリーに溜めることができます。国産車でいうと日産ノートやセレナの「e-POWER」が典型的なシリーズ式ハイブリッドです。

パラレル式はエンジンとモーターが独立

 一方、エンジンとモーターが同時にタイヤを駆動するタイプもあります。初期のアイデアでは前輪をエンジン、後輪をモーターで駆動するというものがありました。並列的に駆動力が伝わっているため、こうしたタイプを「パラレル式」ハイブリッドと呼びます。

 ただし、現実的にはエンジンとモーターの駆動力をミックスしてタイヤに伝えるタイプが多数派となっています。そのため、エンジンとトランスミッションの間に薄型モーターを置いたり、トランスミッション内にモーターをレイアウトしたりしていることがほとんどです。

 また、モーターとエンジン、トランスミッションの間にクラッチを置くことで複雑な制御が可能になっているタイプもあります。また、ISG(インテグレーテッド・スタータージェネレーター)といってエンジンとベルトでつながっている発電機を、駆動用モーターとして活用するタイプの簡易的なハイブリッドもパラレル式に分類されます。

 国産でいえば、SUBARUの「e-BOXER」、ホンダの「スポーツハイブリッドi-DCD」、日産スカイラインなどに搭載される「1モーター・2クラッチハイブリッド」などが挙げられます。簡易的なISGを用いたタイプとしてはスズキが軽自動車やコンパクトカーに採用しているシステムなどがあります。

 ごく一部を除いてエンジンの力で駆動用バッテリーを充電することはできないので、パラレル式ハイブリッドの場合は、減速エネルギーを利用した回生ブレーキのみによって駆動用バッテリーを充電するというのが特徴です。

 そして、ハイブリッドカーの代名詞ともいえるプリウスをはじめとしたトヨタ車が採用しているハイブリッドシステムは、「シリーズ・パラレル式(スプリット式)」に分類されています。シリーズ式とパラレル式の良いとこどりをしたといえるシステムで、動力分割機構(プラネタリギヤ)を用いることで、エンジン出力を発電と駆動の両方に振り分けることが特徴。

 初期のシステムでは駆動用モーターはアシスト的でしたが、いまではモーターだけで走行できる領域も拡大しています。また、レクサスなどに採用される縦置き型のハイブリッドシステムでは多段ATを組み合わせることで、幅広い速度域でハイブリッドの良さを引き出すことができるように進化しています。

 また、ホンダの「スポーツハイブリッドi-MMD」は動力分割機構こそ持ちませんが、エンジンが発電に専念するモードとダイレクトにタイヤを駆動するモードを持つため「シリーズ・パラレル式」と分類できます。

ストロング、マイルドといった区別もある

 ここまでは駆動力の流れにおけるエンジンとモーターの位置関係による分類ですが、それ以外に「マイクロ」、「マイルド」、「ストロング」といった区別の仕方もあります。この区別については明確な基準はなくたぶんに主観的な部分が含まれていますので、個々の判断で微妙に見解が異なりますが、大きくはモーターやバッテリーの出力によって分類されています。

「マイクロ」というのは前述したISGを用いたタイプ、「マイルド」はモーターだけではほとんど走行できない程度のエンジンアシスト型、そして「ストロング」はEVモードを持ち、駆動モーターだけで走れるクルマのことを指していると考えてよいでしょう。

外部充電に対応するのがプラグインハイブリッド

 さらに、最近増えてきているのが「プラグインハイブリッド」です。これは駆動用バッテリーを大きくして、さらに外部充電できるようにしたシステムです。ドイツ車など欧州車では「パラレル式」のプラグインハイブリッドが多いようですが、国産のプラグインハイブリッドは、基本的に「シリーズ・パラレル式」をベースとしています。

 元祖プラグインハイブリッドといえる三菱アウトランダーPHEVも基本はシリーズ式ですが、高速域などではエンジンが直接タイヤを駆動するパラレルモードを持つシステムを搭載しています。また、プラグインハイブリッドでは大きなバッテリーを活かして、エンジンを動かさずに走行できるEVモードの航続距離が数10kmレベルになっているのが特徴です。

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