サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

昭和を代表する自動車チューニングの神器「ソレ・タコ・デュアル」とは

日産旧車チューンの定番

 旧車の世界では今でもチューニング用語として「ソレ・タコ・デュアル」という言葉が使われるし、その昔に憧れていた人もいるのではないだろうか。逆に知らないとなにやら”おまじない”のようで、なにがなにやらだろう。

 ソレ・タコ・デュアルとは、いわゆるチューニングにおける「三種の神器」と呼ばれているもので、ソレは「ソレックス」、タコは「タコ足」、デュアルは「デュアル管」のことなのだが、それでも意味がわからないという人は多いだろう。

 順番に紹介していくと、ソレックスとはガソリンと空気を混ぜるためのキャブレターを製造する、フランスに本社を構えるメーカーのこと。ただ付いているだけでなく、口径が純正よりも大きくて、さらに4気筒なら2つ、6気筒なら3つ装着することが凄かった。

チューニング向けの高性能キャブレターは吸気の高効率化が図れた

 チューニング向けの高性能キャブレターは、2気筒分の機能がひとつになっている(ツインチョーク)で、実質は1気筒に1個ずつのキャブレターが付いていることになり、吸気の高効率化が図れた。ちなみにほかには「ウェーバー」や「デロルト」などのキャブレターも人気で、日本ではライセンスもので『三國(ミクニ)ソレックス』というのも存在している。

 インジェクションに切り替わってしまった今では世界的にキャブレターは絶滅したと言っていいが、小径タイプではあるがバイクでもまだ採用されている。またクルマ用の大径タイプも、アフター向けでは生産されてはいるが、数が少ないので市場価格は高騰している。

 次に「タコ足」は今でも目にしたり、耳にすることは多いだろう。排気効率を高めるためにエキゾーストマニホールドを太くするだけでなく、排ガスの流れをスムースにすることが目的。基本的には各気筒のエキゾーストマニホールドを等長(同じ長さ)するため、タコの足のようにクネクネと複雑に組み合わせされているので、この愛称がついた。

チューニング手法に愛称が付くという昭和の良い時代だった

 そして、最後の「デュアル」とはマフラーの管が2本あるものを指す。本来はタコ足(エキゾーストマニホールド)との接合部分から管が2本になって排気しているマフラー。2本にするメリットは1本より管が多い分、合計のパイプ径が太くなり、効率良く排気できるからだ。しかし、見た目的にレーシーなイメージの2本出しテールパイプもデュアルと言われていた。

 このように「ソレ・タコ・デュアル」は、吸排気のトータルチューニングの定番のことを指す、愛称のこと。純正でもいろいろと改造していたが、なかには純正の状態でソレ・タコ・デュアルを実現していたクルマもあって、日産のC10型スカイラインGT-RやS30型フェアレディZはお馴染みのところ。ちなみにS30型フェアレディ240Zは、純正でも2本の排気管が縦に並んでいるのはかっこ良かった。

 最近ではノーマル状態で高効率を実現しているし、構造的にも手を出しくくなっているだけに、チューニングそのものが難しい時代になってきている。チューニング手法に愛称が付くという昭和は、いい時代だったのかもしれない。

モバイルバージョンを終了