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「バイアスタイヤ」と「ラジアルタイヤ」の特徴と違い【自動車マメ知識】

現代のクルマや道路事情にマッチできなくなった

 クルマが履くタイヤの構造には大きくふたつあって、現在主流となっている「ラジアルタイヤ」と、1970年代までは一般的だった「バイアスタイヤ」となる。この30年ほどで乗用車に使われなくなったことで、そもそもバイアスタイヤという存在を聞いたことのない人もいるだろうし、比較対象がなくなったのでラジアルタイヤという言葉すら知らないこともあるだろう。「タイヤはタイヤ」という意識だ。

 まずは主な違いから解説したい。構造的にはタイヤの骨組みといえる「カーカス」という繊維の向きがポイント。中心から放射状に直線で繊維が伸びているのがラジアルタイヤで、これをベルトで締め付け。一方のバイアスタイヤは複数枚のカーカスを斜めに配置しており、トレッドとカーカスの剥離を防ぐブレーカで締め付けている構造。これらの名称は”放射状=ラジアル”、”斜め=バイアス”となることに由来している。

 当然ながら性能も大きく違ってくる。バイアスは比較的に安価であり、柔軟性を持たせているため乗り心地や操縦性もごくマイルドで、オールマイティな感じ。衝撃に対する強度は高いものの、転がり抵抗が大きいというデメリットがある。

 一方のラジアルはコストこそ高くなるものの、限界が高く、しっかりとしたフィーリングが魅力。バイアスタイヤに比べて転がり抵抗が小さいため、燃費向上にもメリットがある。

 昔は高速道路の整備も進んでおらず、乗用車のポテンシャルも低かったことから、バイアスで十分だったということで普及していた。逆に貴重なラジアルはスポーツカーの証でもあった。古い自動車カタログを見ると、大々的にラジアル装着とか、スペックのタイヤの欄にはサイズ以外に”ラジアル”と記載。それだけ、昔はありがたかったのだ。

 クルマ好きからしてみれば、ちょっとした憧れもあったのも事実。「いつかはラジアルタイヤを履きたいな」と思っていた。つまり、一種のチューニングパーツ的な扱いで、なかにはラジアルみたいなバイアスタイヤという製品もあったほど。1970年代後半あたりからバイアスが減り、ラジアルが主流になってくるのは、クルマの高性能化が理由で、バイアスでは役不足になってしまったからだ。

 いまでは乗用車では絶滅してしまったと言っていいが、バイクの世界ではラジアルよりもバイアスのほうが主流。もちろん、マイルドな乗り心地を求めるクルマの旧車オーナーにもいまだ支持を得ている。他にも荷重が大きくないし、軽快感重視などが理由で生き残っているが、最近ではハイグリップのバイアスタイヤというのも出てきていて、なんだか複雑なことになっている。

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