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自衛隊の足として活躍する「パジェロ」 市販モデルと異なる点や活動内容を聞いてみた

陸上自衛隊で活躍する最も身近な1台

 三菱が誇るクロカン4WD車「パジェロ」が、昨年8月に生産を終了したことは記憶に新しい。1982年より40年近くも販売されたが、パジェロとしては4世代と、1代あたりがじつにロングライフだったことがわかる。なかでも2代目(1991-1999)といえば、RVブームを牽引した立役者であり、同時に自衛隊とも縁の深いモデルだった。

 この2代目パジェロをベースに開発された自衛隊車両の正式名称は「1/2t トラック」(初期モデルは”73式小型トラック”)。自衛隊車両の中では小型で、装備なども一般車両に近い。とはいえ災害派遣などでも自衛隊車両だけに、独特の装備なども搭載されている。

 通称”パジェロ”は汎用トラックとして、ほぼすべての部隊に配備されている車両で街中で見たことはあるだろう。「大阪オートメッセ2020」では『自衛隊大阪地方協力本部』協力のもと、本物の車両が展示されていたので、その使い方から装備に関することまで、同本部所属の長谷川さんに話を伺ってみた。

乗車定員は計6名が乗ることができる

 まず、ボディサイズは全長4140mm、全幅1765mm、全高1970mm、車両重量1940kg。外装はパジェロらしい角ばったボディ形状のソフトトップ(幌)仕様であり、市販モデルにも”Jトップ”という2ドアのソフトトップ仕様が存在したが、それぞれのボディサイズは少し長い程度で特別に大きいという印象はない。

「少人数での人員輸送や演習、災害派遣などでの使用がメインですが、通信機材を搭載して指揮官車として運用することもあります」と長谷川さん。乗車定員は前席2名、後席2名、最後席(横向き)2名の計6名(市販モデルは4名)が乗車可能。基本的に火器の搭載はないが、ドア内側に小銃を固定するための取り付け具が装備されていた。

ラジオやエアコン装備で運転もしやすい

 外装で市販パジェロに付いていないものといえば、夜間上空の敵から見つけられにくくするヘッドライトや、通信装置を設置するための台座(フロント左)、乗降用のサイドステップ(通常よりも車高が高いため)、ボディを草木でカモフラージュするためのフックなどだ。内装は内張りがなく鉄板ムキ出しの点を除けば、普通のパジェロとそれほど大きくは変わらないように見える。

「自衛隊車両といえば、エアコンやオーディオなどの快適装備は皆無というのが普通なのですが、パジェロは民間向け車両をベースにしていることから、エアコン(マニュアル)もAM/FMラジオも装備しています。特にラジオは災害派遣時の情報収集で必要になるため大切な装備といえますね。ミッションもオートマ(4速AT)なので、運転しやすいのことも特徴といえるでしょう」とが長谷川さん。

 それ以外では、ヘッドライトのスイッチが手袋をしたままでも操作しやすい「プル式+ロータリースイッチ」となっているのが特徴。基本的にライトスイッチだけでは点灯せず、ロータリースイッチ(灯火管制切替)との併用で、どのライトを点灯させるか(一般道走行用なのか、戦地で敵に見つからないようにするライトなのか)を選択できるようになっている。ちなみに車検や整備については、各基地内に配備された整備士が行なっているそうだ。

 特殊な戦闘車両とは違って、隊員の移動や演習などで、走行している姿をよく見かけるのだが、どんな装備が付いているのかまでは知らないことが多い。それだけに本物の自衛隊車両をじっくりとチェックできるようなイベントは、自衛隊ファンから特殊車両好きの子供たちまで大人気。自衛隊では隊開催のイベント以外に、今回のような外部の催しにも参加し、自衛隊の活動や隊員募集といった広報活動を積極的に実施している。

 実車を見たいという方は自衛隊大阪地方協力本部をはじめ、自衛隊のホームページでチェックすれば、イベント情報が手に入るはず。日頃の活動に敬意を表しつつ、普段は聞けないような話を伺ってみてはいかがだろうか。

 

【詳しくはこちら】

「自衛隊大阪地方協力本部」イベント一覧
https://www.mod.go.jp/pco/osaka/

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