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パンク修理剤だけで大丈夫? 消えゆく「スペアタイヤ」 が”オススメのオプション装備”なワケ

タイヤのトラブルによるロードサービスが急増

 JAF(一般社団法人日本自動車連盟)の愛媛支部は、2010年代(2010年~2019年)に実施したロードサービスの件数から傾向を分析した。まず、この10年間における「交通事故によるロードサービス件数」は約45%減少。一方、愛媛県警察によると交通事故件数も同じ10年間で約65%も減っていたことがわかった。

 しかしながら「タイヤ関係のトラブルによるロードサービス件数」は、じつに約38%も増加。ロードサービスの要請や事故件数は大きく減少しているにもかかわらず、ロードサービス件数の全体に占める割合についても10年間で約8ポイント上昇したそうだ。

 その理由として、JAF愛媛支部では「スペアタイア(テンパータイヤ)」を指摘する。いまやスペアタイヤを採用していないクルマが主流となっており、代わりに「パンク応急修理キット」が搭載されるようになったことを要因として挙げている。

 スペアタイヤの搭載が減った理由は、道路整備が進んで路面状況が良くなったためにパンクが減ったため。廃車までに一度も使われずに破棄されることがほとんどであり、タイヤは天然ゴムを使用しているだけに資源問題にも関わってくる。また、燃費向上のためにスペアタイヤやそれに伴う工具は大きな重量ハンデとなり、自動車メーカーにとってはスペアタイヤから修理キットに変更すれば、軽量化と車室内のスペースの有効活用ができると好都合なのだ。

 しかし、パンク応急修理キットは、せいぜいトレッド面にクギやネジが刺さった程度の軽微なパンクしか直すことができない。スペアタイヤではクリアできたはずのタイヤのトラブル(バーストなど)には対処できず、泣く泣くロードサービスを要請するしか手がないのが現実だ。現地で修理できない状態(タイヤ側面の裂傷や破裂など)の場合、修理できる場所まで「搬送する」という解決策を取ることになるため、ユーザーがその場でトラブルを解決することが難しいのが現状である。これがタイヤのトラブルによる応援要請が増えている背景なのだろう。

 そもそも自分でスペアタイヤに交換できない人は別として、人里離れた奥地でロードサービスを待つのは辛い。スペアタイヤさえあれば20分あれば走行できる状態にできるはずが、パンク修理剤の普及によって修理できないことに納得できない人もいるだろう。なおさら、キャンプやバーベキューといったアウトドアを楽しむ人は、悪路も走るためにパンクの危険性も十分にある。邪魔者扱いされているスペアタイヤは、ケースによっては非常に頼り甲斐があるのだ。

 こういった使い方をする人(自分で交換できる人)は、新車注文時にスペアタイヤを頼むといいだろう。じつは、スペアタイヤはメーカーオプション設定となっていることが多く、トヨタのディーラーマンいわく、1本1万円で搭載できるそうだ。値段が高いと判断するかは別として、安心感という意味では非常にお値打ちな装備だと思うが、皆さんはいかがだろう。

(ちんサブ)

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