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「トヨタスマートデバイスリンク」とは? iPhoneの「Apple CarPlay」も使える「最新カーAV」徹底解説

スマホ内のアプリがDAでも楽しめる

 トヨタは4月10日、ディスプレイオーディオ(DA)のオプションサービスとしていた「Apple CarPlay/Android Auto」を標準装備とし、6月発売の新型車より対応していくと発表した。合わせて、既に販売済みのDA装着車についてもT-Connect通信を介したバージョンアップで6月中旬以降、順次、同機能を付与していくとしている。

そもそもディスプレイオーディオとは何か

 DAは一言で言えばナビゲーション機能のないカーAV機器のこと。代わりにスマートフォンで機能するナビゲーション機能を専用アプリか、あるいはミラーリングで連携させて活用するというものだ。当初はミラーリングを採用するDAが多かったが、いまではほとんどが専用アプリの「Apple CarPlay」「Android Auto」を使うのが大半となっている。

 今回の対応は、トヨタが進めるオープンソースプラットフォームの「SDL(スマート・デバイス・リンク)」にも対応しつつ、「Apple CarPlay」「Android Auto」への対応も標準装備化することが最大のポイント。ユーザーの端末がiPhoneならば「Apple CarPlay」、Androidなら「Android Auto」を介してほぼスマホ内のアプリがDAでも楽しめるようになる。

 まさに、トヨタ車の大半で標準装備とされていくというのは朗報と言っていいだろう。 メリットは手持ちのスマホを接続するだけで、スマホとほぼ同じ機能がそのまま使えるようになること。スマホ自体が通信機器なので、地図の更新もアプリ側で自動化されているので、従来のナビゲーションのようにアップデートの必要もない。

 目的地を音声で一発検索できるのもスマホならではの便利さで、これを実現できるのもスマホとしての通信機能を活かせているからだ。同じく通信機能を活かして定額制の音楽や動画等のストリーミングサービスが楽しめるのも大きいだろう。

車速パルスを用いない弱点もある

 しかし、デメリットがあることも知っておきたい。スマホ連携で使えるナビ機能は従来型ナビに比べて機能面で劣るのだ。自車位置測位は基本的にスマホ側のGPSで行なうため、車速パルスや車載ジャイロセンサーを組み合わせた従来型ナビには及ばない。

 一応、トンネルなどGPS信号受信できないときは、推測(自律)航法とも言えるデッドレコニングに対応しているものの、特にビルが多い都市部での不安定さは否めない。ルート案内の品質も従来型ナビ比べて劣るだろう。個人的にはこの2点がスマホと組み合わせて使う上での最も大きな弱点と考えている。 また、今回のトヨタが標準装備するDAで言えば、CDやDVDが再生できるディスクドライブが装備されておらず、TVチューナーはオプションであることも知っておきたい。

「スマホさえ楽しめれば十分」ならばいいが、まだまだCDを聞く人も多く、このスペックにガッカリする人も多いと思われる。さらにスマホと組み合わせる上では車内での置き場所にも注意しておく必要がある。特にダッシュボード上に置いて使うことは止めるべき。スマホは耐熱性が低く、夏場はスマホの破損や熱暴走の原因ともなりかねない。 とはいえ、時代の流れとしてDA化は躊躇なく進んでいくはず。グローバルでは既にその流れが当たり前となっており、海外でレンタカーを借りればほぼ「Apple CarPlay」「Android Auto」をナビ機能を使うことが求められる。

 現状では車載側とのリンクがないために思うような性能が出せないでいるが、その意味ではトヨタが進めるSDLへの期待度は高い。現状では対応できるアプリは少ないものの、その中でもLINEがメッセージやナビ機能で対応している。今後は参入するアプリが車載側と上手にリンクしていくことで、より満足度の高いナビ機能が実現していく可能性は十分にあると見ていいだろう

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