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手に冷や汗をかくモデルも存在した! 「ミッドシップ」を採用した国産車5選【後編】

煮詰められたら名車入り間違いなし

 重心がクルマの中心に集まっている「ミッドシップ」は、運動性能を考えたら一番有利なレイアウト。しかし、単にミッドシップであれば無条件で走りがいいわけでもなく、これまでの国産ミッドシップは、その強みを活かしきれてこなかった。

 なぜ、せっかくのミッドシップレイアウトを採用したのに、国産車には名車と呼べるモデルが少ないのか。その理由を前回取り上げることができなかった車種を語りつつ、探っていくことにしよう。

トヨタ・MR2(SW20)

 トヨタ「MR2」は、1989年に2代目(SW20)にフルモデルチェンジ。同じ1989年の同級生といえば、日産スカイラインGT-R(R32)やユーノス・ロードスター(NA6)、そして初代トヨタ セルシオで日本車の歴史に残る豊作の年だ。

 デザインはかなりアカ抜けたイタリアンチックなスタイルとなり、エンジンはセリカなどでおなじみの2リッターの3S-G(直4)に排気量&パワーアップ。ターボモデルも追加され、動力性能は一気に向上した。

 しかし、開発コンセプトは「遊び心のあるオトナが、満たされた時を享受するための道具」という、“スポーツ”からはかなり腰が引けたもの。その影響か、FF流用で重心高の高いエンジンとリア周りの剛性不足、サスペンションのジオメトリーの問題、タイヤのキャパシティ不足などから、じゃじゃ馬というより、デンジャラスなクルマという印象が強かったのも事実だ。

 その後はマイナーチェンジ(II型)で、タイヤを大径化(15インチ)し、ビスカスLSDやダンパーにビルシュタインを採用。ブレーキも強化されたが、まだまだという印象。III型でサスペンションジオメトリーを見直し、サスペンションの取り付け部の剛性をアップ。足まわりもファインチューンされ、ようやくまともなスポーツカーになった。

 そして、最終型のIV型は、全車にスポーツABSが標準化されたのがトピック。モータースポーツでは先代に続き、ジムカーナで無敵の存在だったが、シャシー性能の問題でサーキットは苦手。チューニングカーとしてはゼロヨン用として注目されたが、初期型が余りにもトホホで、まともなクルマになるまで4年(2回マイナーチェンジ)と、時間がかかったのがマイナスだった。

 

ホンダ・ビート

 NSXの翌年に登場した軽自動車のミッドシップスポーツ「ビート」。軽量産車として世界初のミッドシップ&フルオープンモノコックボディで、エンジンはNA3気筒660㏄ながら自主規制上限の64馬力を達成した。

 3連スロットルでレスポンスもよく、ミッションはMTのみ用意。デザインにはピニンファリーナかその一党が関わっていると噂され、評価している人も多い。

 総生産台数は3万3892台。1986年に生産終了となったが、いまでも2万台近い個体が残っていて、現存率の高さは国産車随一。ホンダとしては珍しく、補修部品の再販をはじめている。

 ただし、ホンダらしいといえばホンダらしく、“ゆっくり走ったときにワクワクするか?”といえば疑問あり。かといって、元気よく“スポーツする”には64馬力では物足りない。ミッドシップの名車リストに入れるかというと、もうひと声といったところだろう。

 

マツダ・オートザムAZ-1

 ビートに遅れること約1年後に登場した、マツダが作ったガルウイングのミッドシップスポーツが「AZ-1」だ。スズキのアルトワークスのF6Aターボエンジンを流用し、720kgの車重にロックトゥロック2.2回転というクイックハンドリングは、正直乗り手を選ぶレベルだった。

 デビューが、バブルのはじけた時期と重なったこともあり、わずか二年で生産終了。総生産台数は4409台という希少モデルは、いま思えば買っておいてもよかったのかもしれないが、補修パーツは非常に入手しづらくなっている。


トヨタMR-S

 MR2の後継車として1999年にデビュー。AW11、SW20と違って、ソフトトップのオープンカーというのが大きな特徴。NA1.8Lの1ZZ-FEは140馬力とやや非力だが、車重は970kgと軽く、先代までと違って、シャシーとエンジンのバランスは非常によかった。

 ワインディングなどを走ると非常に楽しいクルマで、MTの他に国産量産車としては、はじめてのシーケンシャルマニュアルトランスミッション(SMT)を用意。走りはとっても評価できるMR-Sだが、唯一の欠点はカッコが悪かったこと。

 初代MR2に続いて、またしても居住性を重視したため、ポルシェボクスターの出来そこないみたいなクルマになってしまったのが残念。価格も安かったのでカッコさえよければ、スポーツカーの殿堂入りも夢ではなかったはずだ。

 

ホンダNSX(NC1)

 ホンダの二代目「NSX(NC1)」は、エンジンは確かにミッドシップに搭載しているが、”SPORTHYBRID SH-AWD”で、「MR」とはいえないモデル(フルタイム4WD)。ボディは大きすぎるとはいえないが、V6ツインターボエンジンにリチウムイオンバッテリーと3つのモーターを積んだ1800kgという車重は、やはりスポーツカーとして重すぎる。

 カーボンセラミックブレーキローターや、9速AT、パワーユニット全体で581馬力というパワーもすごいが、1800kgではどうしてもタイヤへの依存度がかなり大きくなってしまう。

 この車重では、どんなにハイテクを盛り込んでも、物理的に、スポーツカーの本質から離れていくことは避けられない。さらに厳しくいえば、この二代目NSX(NC1)には、スーパースポーツとしてのオーラ、貫録が決定的に不足しているので、高く評価することは難しい。

 こうして国産ミッドシップスポーツの歴史を振り返ってみると、ミッドシップスポーツなのに居住性を重視して、不細工なスタイリングになってしまったり、妙に操縦性が過激になって、自滅してしまったクルマが多いのも事実。スポーツカー好きが期待するパフォーマンスとスタイリングを両立できたのは、かろうじて初代NSXだけではなかろうか。

 ミッドシップスポーツをきっちり仕上げることは容易ではないかもしれないが、ここまましぼんでいくのではなく、幻に終わったMID4にトライした日産を含め、各メーカーが奮起して、もう一度本格的なミッドシップスポーツ作りにチャレンジしてほしいところだ。

 それもできれば、スーパースポーツだけでなく、比較的安価でボディサイズがコンパクトなライトなミッドシップスポーツが欲しい。

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