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ナメてかかると大事故に大ケガ! 初心者がサーキット走行でハマりがちな落とし穴8つ

サーキット走行を安全に楽しむための注意ポイント

 スポーティなクルマに乗っていたり、あるいはモータースポーツに興味がある人なら一度は「自分も愛車でサーキットを走ってみたい!」と思ったことがあるだろう。近年、ビギナー向けのサーキット走行会も増えていて、サーキット走行の敷居はどんどん低くなっている。ミニバンなど背の高いクルマを除き、乗用車なら軽自動車やオートマ車両でも(オープンカーはロールバーが必要な場合もある)サーキット走行を気軽に楽しめるハズだ。

 とはいえ、サーキット走行というのは一般道路を走るのとは訳が違う。サーキット走行初心者が気を付けたい、いくつかのポイントを挙げてみよう。

事前の準備を忘れずに

 サーキット走行会当日は、時間に余裕を持って行動すること。ありがちなのは、寝坊や出発の遅れ、渋滞にハマったりして現地到着が遅れるパターン。ドライバーズミーティングや走行前説明に遅れるのは最悪だ……。早く到着すればパドック内の良い位置に駐車できたり、落ち着いて準備もできる。サーキット走行はその日の起床から始まっていると考えておこう。

 準備としてはサーキット到着前にガソリンを満タンにしておくこともけっこう重要。一般的にサーキットは市街地から離れた場所にあり、しかも走行会当日は朝が早いので、周辺のガソリンスタンドは締まっている場合が多い。場内にガソリンスタンドがあったとしても、街中より値段が高かったりする。現地まで高速道路を使うなら、最寄りのインターチェンジ周辺のガソリンスタンドで給油しておくのがベターだ。

 あとは車内から降ろせる荷物は全部降ろすこと。レーザー探知機やアクセサリー、工具、スマホホルダーなど、クラッシュしたときに飛んでいきそうなものは、確実に降ろしておこう。そして、実際の走行でサーキット走行ビギナーがやりそうなことは…。

1)ヘルメットのあご紐が締まっていない

 ヘルメットは被るだけでなく、きちんとあご紐を締めることが重要なのだが、その重要性がわからずに、被っていればOKと思っている人や、自分の走行時間がきて慌てて準備すると閉め忘れることがあるので、ピットロードに入る前に、あご紐が締まっているか忘れずにチェックにしよう。同様にグローブをはめていなかったり、グローブの手首のマジックテープがきちんと留まっていないこともあるのでここも要チェックだ。

2)シート位置が普段乗りのままでポジションが遠い

 本当はサーキットでのポジションも街乗りのポジションも同じで良いのだが、普段のポジションがリラックスポジション(?)で、手足が遠く、背もたれが少し寝ていて、座り方が浅い人が多いので、走行中のGをしっかり受け止められ、手足を自由にしなやかに動かせるポジションを追求し、普段から正しい姿勢で運転する習慣をつけよう。

3)運転席側の窓が開いている

 クルマが横転したときに窓から手が飛び出さないように、運転席側の窓を全閉にするのはサーキットの常識。走行前説明でも話があるだろうが、暑いとついつい窓を開けてしまいがちなので気をつけよう。

4)黄旗やチェッカーの見落とし

 自分の走りに熱中・夢中しすぎて、視野が狭くなり、重要な黄旗やチェッカーフラッグを見落としてしまうことも初心者にはありがち…。しかし旗の見落としはアクシデントにつながる危険な行為なので、コーナーポスト、フラッグタワーは通過するたびにチェックすること。

5)フロアマットがペダルに引っかかる

 これも意外と多いトラブル。運転席のフロアマットは走行前に外して、助手席のフロアットの上に重ねておくのがベスト。滑り止めや固定用のフックがあっても油断しないこと。普段一度もズレたことがないマットでも、サーキット走行ではなぜかズレる! そしてマッドがペダルに引っかかったときの恐怖といったら…。

6)脱水症状

 サーキット走行で一番疲れるのは、じつは脳で、短時間にたくさんの情報処理をするために、脳はたくさんの酸素や血流量を必要としていて、汗をかいて体内の水分が少なくなると血流が悪くなり、集中力がダウンする。初心者ほど心臓がバクバクした状態が続くので、こまめな水分補給と塩分補給がかなり大切。

7)ありがちな走り方

 走り方については、練習あるのみ。ビギナーはブレーキ開始は速いが踏力が弱く、それでオーバースピード気味になりやすい。つまり「ダラダラしたブレーキが長くて止まらない→曲がらない」ということ。できればドライビングスクールなどを利用して、フルブレーキの特訓をすると一番良い。

 またアンダーステアが出たときに、さらにステアリングを切り込んでしまうというのもよくある話。オーバースピードの時や、ブレーキを強く踏んだままではステアリングを切っても曲がらない。

 この加減を掴んで、良い塩梅にコントロールするのがスポーツドライビングの上達なので、まずは「スロー・イン・ファーストアウト」に徹して、コーナー進入で無理をしない走り方から身に着けていこう。

 またクリッピングにつけない、入り口と出口でコース幅をアウト一杯まで使えない、というのも初中級者にありがちなパターン。これは車両感覚を磨く必要もあるが、自分の車載カメラ、あるいは一緒に走った友達の車載カメラ、できればコース脇から撮影した動画などを見ながら、主観と客観がどれだけ違うか確認することからはじめると良い。

8)クルマの変調

 いまのクルマならオイルや冷却水がきちんと入っていて、タイヤやブレーキの残量がきちんとあれば、そうそうトラブルが出る心配はない。

 しかし10分、20分とサーキットを連続して走っていれば、タイヤの温度は上昇、空気圧も上がり、ブレーキは熱でフェードしたり、フルードにエアが入って効きが悪くなってくる。水温や油温も当然上がってくるので、こうした変化がないか気を配り、途中でクーリングラップを入れるようにしよう。

 ちなみにペースが遅すぎるクーリングラップは、他車と速度差が大きくなって危険だし、風が当たらないので冷えない。極力高いギヤを使って、回転数を上げずに速度は高めをキープするのがコツだ。もちろんハードブレーキは使わない。

 ドライバー本人もコーナーの度に息を止めて走っていることもあるので、ビギナーなら5周ぐらい連続で走ったら、一度ピットインして休息をとることもけっこう大事。休憩時にボンネットを開けて、エンジンルームの熱気を抜くのも良いが、ときどきボンネットが完全に閉まっていないまま走り出す人もいるので要注意だ。

 クルマについてもうひとつありがちだけど気をつけてほしいことは、ホイールナットの増し締めをしないこと。ホイールナットは走行前にトルクチェックするのが基本だが、トルクチェックと増し締めは違う。走行後、ホイールが熱くなっているときに増し締めしようとすると、ボルトが伸びたり折れたりすることにもつながる。ホイールナットは常温時に、トルクレンチを使って、規定トルクに合わせること。オーバートルクで締める方のもリスクがあるということを覚えておこう。

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