サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

寝られて積める! イマドキ1BOX乗用車の常識「ベッドキット」とは

フレーム式のベッドキットなら取り付けも超カンタン

 ハイエースやキャラバン、またはエブリイなどの軽1BOXを買ったら、導入の検討をオススメしたいのがベッドキットの設置。ビジネス用途にもレジャー用途にも、どちらにも「効く」アイテムだ。

 というのもバンの特徴とも言える、大きな荷室空間を無駄なく効率よく使うためにはどうするか……、この課題をクリアできるか否かで、今後のバンとの付き合い方やバンライフが大きく変わってくる。

 そこで、ベッドキットとはいったいどんなものなのか? キットの値段や取り付け費用は? など、初見の方にとって気になるポイントをいろいろと調べてみた。

荷物がもっと積めて、車中泊もできる

 クルマを使って好きな場所や景色の良いところまで行って、ホテルの場所や予約のことなど考えずにその場で寝る……、そんなお洒落で欧米ちっくなバンライフ。なのだが、それは平たく言ってしまえば誰もが知るキャンプや車中泊にほかならない。そしてまずはコストをかけずシンプルに車中泊を楽しみたいという人に持って来いなのがベッドキット。

 ベッドキットは何かを平たく説明すると、ハイエースやエブリイの荷室空間を上下に分けることで、上段と下段にそれぞれにスペースができ、最大約2倍の面積が確保できることが最大のメリット。

 仕事でたくさんの道具や材料を積まねばならず、それをスムーズに出し入れしたい場合に、空間が上下に分かれていればとても助かることは想像に容易い。同じ容量で1段のタンスと2段のタンス、どちらが効率よく洋服などを収納できるか想像すれば、どちらがいいかは容易に想像できるだろう。

 アウトドアでもそれは同じで、キャンプグッズをはじめサーフボード、フィッシングでも使える特大クーラーボックスは下段に積み、上段で休憩したりそこで寝たり。ハイエースやエブリイにとってはベッドキットは欠かせないアイテムになっているというワケだ。

「ウチでハイエースやエブリイを購入してくださる方のベッドキットの装着率は90%です」と語るのは、大阪のカスタム系メーカー「ハーテリー」の四方代表。

ベッドキットにはどんな種類がある?

 ハーテリーはエブリイにめっぽう強いアフターパーツメーカーとして有名で、長きに渡りオリジナルのインテリア系アイテムも多数手がけ、もちろんベッドキットもラインナップ。コンプリートカー販売にも力を入れており、ベッドキットが装備されたエブリイやハイエースもたくさん販売してきた実績がある。そんなハーテリーの代表 四方さんにベッドキットにはどんな種類があるのか聞いてみた。

「まず骨格となるフレームの素材はスチールとステンレス、木の3つになり、そのフレームも脚の長さ(高さ)が調節できる調整式と調節できない固定式に分かれます」。

「フレームの上に“横板”と呼ばれる板を置きます。最もベーシックなベットキットは固定式のスチール製のフレームに横板という組み合わせですね。ステンレス製のフレームはサーフィンやフィッシングなどで濡れても錆びないようにするためです」。

「横板はたくさんの種類があります。車中泊を前提にしているものは、人が寝ても変形しないように造りがしっかりしていて、クッション性にも優れています。なかにはリクライニングするタイプ、なんてのもあります。ウチでの1番人気の組み合わせは、脚が調整式のスチール(またはステンレス)製フレームと、クッション性の高い横板ですね」。

「キャンプブームで注目を集めている木製のキットは、ハイエース専門店で施工込みで取り扱っているケースが多いですね。基本的な構造は荷室の左右側面に“二の字”の木枠をつくってベースにします。横板は同様の役割ですが、横板を取りはずせば間にバイクや自転車が積めます。また木枠のなかにも小物が収納できるようになっているものがほとんどでで、脚の長さはだいたいのものが固定式。ハイエースをトランスポーターとして使う方なら、こちらが便利ですね。ちなみにスチール製のフレームタイプでも、マットが左右に跳ね上がるタイプも今はありますよ」。

 このようにベッドキットは専門店が架装してくれるものから、通販で購入して自分で取り付けられるベーシックなものから、予算や用途に合わせてたくさんのなかから選ぶことができるようだ。

通販でも買えるベッドキット その価格や取り付けは?

 気になる予算だが、通販サイトで多く販売されているフレームタイプであれば、5万円前後から高くてもせいぜい20万円ぐらいにまでに抑えられているようだ。脚が調整式か否か、フレームが走行中に「きしみ音」が出ないように対策されているか、横板(ウレタンマット)のクッション性の高さ、カラーやデザインなどにより、価格は変わる(高くなっていく)傾向にある。

「色々な用途を考えれば、やはり脚の長さが調節できるほうが断然便利です。かつ“きしみ音”が出ないようにしっかりと対策されているものであれば、だいたい10万円前後~のベッドキットを選んだ方が後々間違いないでしょうね」。

 なので購入前にどんな使い方をするか、しっかり検討しておくことが必要だという。例えば大きなクーラーボックスを下段に積む場合、だいた50cmぐらいの高さを保せねばならない。そのあたりを検討しておくと、より間違いがないそうだ。

 そして簡単に取り付け方法について。スチール(ステンレス)製のフレーム式の場合、ハイエースなら4箇所の純正タイダウンフックのボルト穴を利用する設計のものがほとんどで、取り付けにかかる作業時間 は10分~30分程度。エブリイの場合も同様で、車体にあるサービスホールや付属のアタッチメントを利用して取り付けるのだが、スペースがハイエースより狭いので若干手間が増えるものの、1時間もかからないとのこと。

「フレームタイプの取り付けはビックリするほど簡単です。DIYでも十分にできます。取り付けをプロに頼んだ場合でも、作業時間1時間あたりの単価で計算すると、数千円程度の工賃で収まるのではないでしょうか」という。

軽自動車用だから安い、という事もない!?

 ベッドキットの相場感を全体的に見たとき、意外(?)にもハイエースよりも軽自動車のエブリイのほうが若干割高感がある。軽自動車のパーツだから一概にも安いとは言えないようだ。その理由は、ハイエースよりもエブリイの方がスペースが限られていたり、純正2列目シートの機能を生かすべく、フレームに伸縮構造が備わっていて、パーツ構成(点数)が多くなるため。

 最近「ソロキャンプ」や「夫婦2人で車中泊」のベースとして人気のエブリイ。シートをフラット状態にした上に直接敷くベッドクッションが用意されているが、車中泊用に簡単にベッド化できるという点で人気が高く、アフター品も多数販売されている。荷室を上下に分けて荷物をたくさん積みたいという用途からは外れるが「ベッドクッション」や「車中泊マット」と呼ばれるものも、ベッドキットを購入する際には候補のひとつに入れて検討してもいいだろう。

【取材協力】
ハーテリー
◆tel.072-339-7778
https://www.heartily.co.jp

モバイルバージョンを終了